モーターサイクル・リポート

スズキの新型小排気量モデル、GSX250R&GIXXER

  • 河野正士
  • 2017年3月24日

扱いやすさを追求しながら、デザイン性の良さと低価格を実現したスズキの“軽二輪”カテゴリーを担う新型車。「GIXXER(ジクサー/写真左)」と「GSX250R」

  • 往年の「GSX-R750」など、スズキのフラッグシップモデルに採用された“赤黒”カラーを採用した「GSX250R」。中低速域のトルクを向上させ、それによって扱いやすくなった車体を、スーパースポーツモデルをイメージしたスポーティーな外観でまとめ上げた

  • 「GSX250R」のデザインスケッチ。スタイリングコンセプトは“アーバンアスリート”。スーパーカーではなく、アメリカンGTカーがモチーフになったという。設計や生産の段階で問題が発生したときは、デザインを優先しその解決方法を探ったという。写真=スズキ

  • 欧米では、スズキのスーパースポーツモデル「GSX-R」シリーズを“ジクサー”という愛称で呼ぶ。このモデルに「ジクサー」と名付けたのは、スズキのスポーツDNAを受け継ぐ証しなのだ

  • 「ジクサー」のデザインスケッチ。テーマはグラマラスな造形と機能性の両立。日常的にバイクを使用する際に求められる機能性や実用性、使い勝手や乗り心地の良さの追求など、さまざまな要件をクリアしながら、スタイリッシュでオリジナリティーの高いデザインを目指したという。写真=スズキ

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 2017年に入りスズキは、「軽二輪」と呼ばれる排気量126~250ccエンジンを搭載するカテゴリーにニューモデルを多数ラインアップ。国内販売において重要度を増す軽二輪市場において、存在価値を高めるために動き出した。その先鋒(せんぽう)となるのが1月に国内発売を開始した「GIXXER(ジクサー)」と、4月に発売を控えている「GSX250R」だ。

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 毎年秋に開催される欧州でのモーターサイクルショーにおいてスズキは、昨年10モデルを発表。それまでの数年、主要モデルの新作発表が少なく、欧州のモーターサイクルショーでの存在感が薄れかけていたスズキだったが、昨年はドイツ、イタリアの両会場で話題の中心となった。

 欧州や北米などの先進国市場のユーザーにとってはスーパースポーツモデル「GSX-R1000/1000R」やスポーツネイキッドモデル「GSX-S750」、またアドベンチャーモデル「V-Strom1000/650」といった大排気量モデルの新型車に大きな注目が集まった。インターネットによってタイムラグ無しで情報発信および受信が可能ないまとなっては、欧州のモーターサイクルショーはアジアや南米といった新興国市場にとってもニューモデルをまっ先に確認できる重要な場所となっている。そこで125ccから250ccの、しかもミッション付きのスポーツバイクは、自動車の“Bセグメント”と同じ、先進国ではコンパクトバイク&エントリーバイク、新興国市場ではハイエンドモデルという新たな世界戦略車となっている。また欧州市場においては、日本同様、免許保有者の高齢化と若者のバイク離れが進んでおり、その打開策として同カテゴリーの注目度も高い。そのカテゴリーにスズキは、「GSX250R」「V-Strom250」「GSX-R125」「GSX-S125」を発表。「GSX250R」を皮切りに、順次日本市場にも導入されるという。

GSX250R

 12年からスズキがラインアップする「GSR250」をベースに、扱いやすさと燃費性能、そしてスタイリングを向上させた発展モデルが「GSX250R」である。そのためにエンジンの中低回転域でのトルク増大を目指し、多くのパーツを改良および新設計している。したがってスーパースポーツシリーズである「GSX-R」や、そのスポーツネイキッドシリーズである「GSX-S」とは切り分け、スズキの4ストローク・モデルの代名詞である「GSX」の名を冠したという。

 エンジンは「GSR250」の水冷4ストロークSOHC2バルブ2気筒エンジンをベースにカムプロファイルを変更し、高回転域の出力を維持しつつ中低回転域でのトルクを向上。バルブを動かすロッカーアームのカム側接点にローラーベアリングを使用し稼働時の抵抗を低減させるローラーロッカーや低張力のピストンリングを新たに採用するほか、ピストンが上下する際に接するシリンダー内壁のホーニング方法を変更することでオイル保持性を高めたり、オイルポンプの吐出特性を変更したりしてフリクションロスの低減も図られている。またインテークバルブはステム部分を細くし混合気の吸入抵抗を低減し効率を高めることで、高い出力と優れた燃費性能を両立。エキゾーストパイプを左右不等長とし、チャンバー室の形状を最適化することで、高回転域の出力を維持しつつ、低中速の出力を向上させている。

 軽量化も大きなテーマだったという。フルカウルを装着する「GSR250F」に比べ10kgの軽量化を目標に、GSRではパニアケースの装着を想定したリアフレーム周りを軽量化したり、センタースタンドを取り払ったり、シングルサイレンサーへの変更や肉薄のカウル素材を採用するなどしてその目標を達成。それによって燃費向上とともに、同時に目指していた軽快なハンドリングにも大きく貢献したという。

ジクサー

 「ジクサー」は空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ154ccエンジンを抱く、ミッション付きモデル。14年からインドで販売がスタート。そのスタイリッシュな外観、高い燃費性能と走行性能が評価され好セールスとなり、その年にインドのバイク・オブ・ザ・イヤーを総なめにした。その後多くのフォロワーが出現し、150ccバイクカテゴリーの競争が激化するとさらに販売台数が伸びるなど、インド・バイクシーンにおけるマイルストーンとなった。同時にそのマーケットはアセアン諸国や中南米にも広がっているという。

 1月に国内販売を開始したものは、日本の市場に合わせ各部を変更した日本仕様モデルとなっている。新規開発したエンジンは、吸排気バルブを挟角に配置することで燃焼室をコンパクト化し燃焼効率を高めるとともに、「GSX250R」と同じ、バルブを動かすロッカーアームのカム側接点にローラーベアリングを使用し稼働時の抵抗を低減させるローラーロッカーや軽量ピストンを採用しフリクションロスを低減。高出力と低燃費を両立している。日本仕様では、このエンジンをフューエルインジェクション化。始動性と燃費性能がさらに高まり、低速域での扱いやすさが向上し中速域でのトルク感もしっかりと感じられる。また単気筒ながらエンジンの振動が少なく、ロングツーリングにも向いているという。

 フレームも「ジクサー」のために開発したスチール製ダイヤモンド式。高速域において安定性を確保すると同時に、スポーティーなスタイルながらアップライトなポジションを実現している。直径41mmの正立式フロントフォークや前後ディスクブレーキを採用。日本仕様は、フロント/バイアスタイヤ、リア/ラジアルタイヤを採用。軽快なハンドリングに磨きがかかっている。

 スポーティーなデザインと扱いやすさを目指したネイキッドモデルを作るという開発コンセプトは、インドの若年層をターゲットとし成功を収めた。そして、そのコンセプトやパフォーマンス、スタイリングや扱いやすさ、そして低価格は日本の若者にも受け入れられるとスズキはいう。同時に、「ジクサー」によって日本にも“150スポーツ”という新しいカテゴリーをつくりあげたいと語った。

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PROFILE

河野正士(こうの・ただし)ライター

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二輪専門誌の編集部員を経てフリーランスのライター&エディターに。現在は雑誌やWEBメディアで活動するほか、二輪および二輪関連メーカーのプロモーションサポートなども行っている。ロードレースからオフロード、ニューモデルからクラシック、カスタムバイクまで好きなモノが多すぎて的が絞れないのが悩みのタネ

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