時計のセカイ

味わいを増した名作 モリッツ・グロスマン アトゥム エナメル

  • 広田雅将
  • 2017年4月20日

名作「アトゥム」にエナメル製の文字盤を載せた限定版。手巻き。18KRG(直径41mm)。3気圧防水。限定25本(WGも25本)。410万円(WGは440万円)。(問)モリッツ・グロスマン・ジャパン 03‐5615‐8185

 筆者はドイツの新興メーカー、モリッツ・グロスマンの大ファンである。誰も知らないニッチなメーカーだし、時計の価格も安くない。加えて時計の見た目は昔の懐中時計にそっくりだ。しかし時計作りの確かさは現行メーカーでも有数で、つまり生涯使うことができる設計と製法がふんだんに盛り込まれている。手あかの付いた表現は使いたくないが、物作りが大変に良心的なのだ。

 もっとも筆者は、最近追加された、モダンなモデルには懐疑的だった。文字盤に穴を開けたり、変わった装飾を施したりといった試みは、他の新興メーカーがやればいいのであって、グロスマンのような王道を目指すメーカーがやるべきないだろう。そう思っていたところ、同社は「いかにもな」モデルを追加した。エナメル文字盤を持つ「アトゥム」の限定版である。

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PROFILE

広田雅将(ひろた・まさゆき)時計ジャーナリスト

写真

1974年大阪府生まれ。サラリーマンなどを経て現職。現・時計専門誌クロノス日本版(www.webchronos)編集長。国内外の時計賞で審査員を務める。趣味は旅行、温泉、食べること、時計。監修に『100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』『続・100万円以上の腕時計を買う男ってバカなの?』(東京カレンダー刊)が、共著に『ジャパン・メイド トゥールビヨン』(日刊工業新聞刊)『アイコニックピースの肖像 名機30』がある

BOOK

「ジャパン・メイド トゥールビヨン-超高級機械式腕時計に挑んだ日本のモノづくり-」(B&Tブックス)

独立時計師の浅岡肇さんと由紀精密、工具メーカーであるOSGとの共同企画である「プロジェクトT」をまとめたものです。現役の独立時計師が時計作りについて書いた本は、これを含めても数冊しかないでしょう。その中で広田は日本の時計産業がいかにして興り、衰退したかを書かせていただいています。ベースになったのはクロノスの連載記事ですが、内容は大幅に変えてあります。今の時計作りに興味のある方はぜひぜひ。

「アイコニックピースの肖像 名機30」(東京カレンダーMOOKS)

各メーカーのいわゆる「アイコン」モデルを、第一作と最新作を中心に取りあげたものです。各モデルのファーストモデルをこれだけ撮り下ろした本は、おそらくこれのみでしょう。また、プロジェクトの当事者たちのインタビューや、ムーブメントの詳細解説なども記しています。価格の高い時計が中心になってしまいますが、各モデルの概要をコンパクトに知るには分かりやすい書籍ではないかと思います。

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