モーターサイクル・リポート

徹底した軽量化と電子制御技術が満載のホンダCBR1000RR

  • 河野正士
  • 2017年4月20日

新型「CBR1000RR」(左)とそのハイグレードモデルであり電子制御サスペンションを持つ「CBR1000RR SP」

  • 会場となった箱根周辺は、その数日前にやってきた寒波によって、積雪が残る。路肩に積もった雪からの雪解け水で路面はウェット状態であったにもかかわらず、進化した電子制御システムによってスポーツライディングを楽しむことができた

  • ボディーパーツも機能部品として、コンセプトであるトータルコントロールに基づく進化を追求したという。クレーモデルから型どりしたサンプルカウルを装着した車体で走行実験を繰り返し、そのサンプルカウルを削り込んで空力特性を追求。その際サンプルボディーを削り込んで面がなくなり、裏から樹脂を当ててさらに削り込むという作業を行ったという

  • 新型「CBR1000RR」の開発陣。異なるライディングスキルや経験を持つライダーが、あらゆるシーンで操る楽しさを体感できること。つまりワインディング、公道を楽しめるモデルがCBRであることから、新型「CBR1000RR」は前モデルから車体の大きさを大きく変更しなかったという。写真提供=ホンダ

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 2017年3月17日、ホンダはフルモデルチェンジを果たした大型スーパースポーツモデル「CBR1000RR」と、そのハイグレードモデルであり電子制御サスペンションを持つ「CBR1000RR SP」の発売を開始した。これにより国産4メーカーのスーパースポーツモデルのアップデートがコンプリートされたことになる。各メーカーの技術の粋を集めたスーパースポーツは、圧倒的なエンジンパワーを含めた“チカラ”のテクノロジーと、いかに効率よく、また扱いやすくするかの“ワザ”のテクノロジーの融合である。その大トリとして発表と発売が待たれていたのがホンダ「CBR1000RR」だ。昨年秋に開催されたドイツのモーターサイクルショー/インターモトで新型「CBR1000RR」が発表され、そして今春、いよいよ国内発売がスタートした。

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 大きな変化は圧倒的な軽量化と、大幅に進化した電子制御技術だ。今回、新型「CBR1000RR」の国内発表に合わせて開催された報道機関向け試乗会は、富士の裾野の一般公道で開催された。通常1000ccスーパースポーツモデルの発表会は、その高出力や高い速度域でのポテンシャルを引き出しやすいサーキットでの試乗会が一般的だ。しかしホンダは、ユーザーが「CBR1000RR」を使用する頻度が高いという理由から、あえて公道での試乗を選んだという。

 軽量化を実現した要因は、構成パーツの徹底した見直しと、新素材の採用やその素材を生かす製造方法の技術革新にある。完成車を構成する3000点以上の部品をすべて見直し、試作とテストを重ねた。フレームは従来モデルから外観上の違いはないが、軽量化や補強の追加などにより再構築が図られている。具体的には、横剛性をキープしながらねじれ剛性を10%低減。これにはMotoGPマシン開発のノウハウが生かされているという。また5mm短くなったスイングアームも軽量化と細部仕様を変更。ねじれ剛性を10%向上させることでリアタイヤからのインフォメーションや、加速時のトラクション性能や安定性も飛躍的に向上させている。

 さらには1.3kgの軽量化を実現したチタン製タンクや、2.8kgの軽量化と性能向上、さらにはサウンド向上を図ったサイレンサーでは製造技術の革新にまで踏み込んでいる。これらの積み重ねにより、前モデルから16kgの軽量とコンパクト化を実現。それにより600ccモデル並みのコンパクトな車体とともに、フットワークレスポンスを手に入れている。スタンドを払い上げ、車体を起こしただけでもその軽さを実感できる。

 エンジンは、ボアストロークこそ前モデルと同じながら、全面的な見直しと改良が加えられている。高圧縮タイプの新型ピストンの採用し、カムやバルブスプリングは高出力化を目指して最適化。フューエルインジェクションのスロットルボディーも大径化している。またワイヤーケーブルに替わって、アクセルポジションセンサーでアクセル開度を感知する、スロットルバイワイヤーシステムを新たに採用。コーナーのたち上がりなどでアクセルを開けはじめるとき、使用しているギアやエンジン回転数によってエンジンの反応が異なり、それが扱いづらいと感じる場合があった。そこで使用するギアやエンジン回転数に関わらず、アクセルを開けはじめたときに穏やかな出力特性になるよう作り込み、高出力と使いやすさの両立が図られている。これはMotoGPマシンと同じ、扱いやすさの追求という開発思想に基づいている。

 また新型「CBR1000RR」には三つのライディングモードがセットされている。サーキット走行を前提としたモード1、一般公道でのスポーツライディング向けのモード2、そして街中での走行を考慮したモード3だ。それらはパワーデリバリーとスロットルレスポンスを選択できるパワーセレクター(ディスプレー内「P」表示)、エンジンブレーキ強さの選択できるセレクタブルエンジンブレーキ(ディスプレー内「EB」表示)、後輪スリップの抑制とウィリーを緩和しコーナーたち上がり加速時にスロットルの開けやすさを向上させるホンダセレクタブルトルクコントロール(ディスプレー内「T」表示)、さらに「CBR1000RR SP」では走行シチュエーションに応じてダンパーを自動制御するオーリンズスマートEC(ディスプレー内「S」表示)のレベルがあらかじめ組み合わせている。また三つのライディングモードのほかにユーザー1/ユーザー2の設定があり、ここでは各電子制御の介入レベルをライダーの好みに合わせて個別にセッティングすることができ、それらを記憶させておくことも可能なのだ。

 さらにはスーパースポーツモデル専用に開発したABSは、直線時に加え、コーナリング時のブレーキ操作もサポートする。このABSやホンダセレクタブルトルクコントロール、オーリンズスマートECは、車体の角速度や加速度を検出し、独自のアルゴリズムによる車体姿勢角演算を1秒間に100回行う車体姿勢推定システム/IMUからの情報と組み合わせ、作動している。

 今回の試乗コースは、開催数日前に雪が降った影響で、路面に雪こそなかったものの路肩に積もった雪からの雪解け水でウェット状態であった。そのためペースは上げられなかったが、そんな路面状況下でも恐怖心を感じることなくライディングを楽しむことができた。電子制御と聞くと、それだけで操る楽しさがスポイルされるように感じるが、試乗の間は各モードを色々と試しながら走り、選択するモードによる違いこそあれ違和感などはまったく感じられなかった。

 最高出力192psというエンジンを抱く1000ccスーパースポーツモデルでありながらアクセルの開けはじめもコーナーへのアプローチも神経質になることはなかった(もちろんアクセルをワイドオープンさせればとてつもなく速かったが)。それよりも車体を起こし、クラッチをつなぎ、コーナーにアプローチするというさまざまなバイクに対するアクションを起こすたびに、開発陣が語ったCBR600RRと同等のコンパクトさと軽快さという言葉が確信へと変わっていく。

 ホンダ・スーパースポーツモデルの最高峰として1992年にCBR900RRが登場以来、その開発コンセプトは「トータルコントロール」であり「操る楽しみの最大化」であるという。そのチャレンジは、累計販売台数47万台という数字が物語るとおり、世界のバイクファンに受け入れられてきた。そして、そのコンセプトに基づくもっとも新しい解釈が「CBR1000RR」だ。このマシンが、スポーツバイクシーンに与える影響は大きいだろう。

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PROFILE

河野正士(こうの・ただし)ライター

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二輪専門誌の編集部員を経てフリーランスのライター&エディターに。現在は雑誌やWEBメディアで活動するほか、二輪および二輪関連メーカーのプロモーションサポートなども行っている。ロードレースからオフロード、ニューモデルからクラシック、カスタムバイクまで好きなモノが多すぎて的が絞れないのが悩みのタネ

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