「私はストレートだけど…生きづらさを感じる」共感広がったLGBTイベント

  • 2017年5月9日

最終日、代々木公園で行われた参加者によるパフォーマンス

  • パレードで進むフロート(山車)

  • パレードの参加者たち

  • 主催者とボランティアスタッフが登壇したクロージングイベント

  • ライブ後に取材に応じる中島美嘉さん

  • 渋谷を行進するパレード参加者たち

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 LGBTなど性的少数者の理解を進めることを目指したイベント「東京レインボープライド2017」が4月29日~5月7日に開催され、来場者数が約10万人(主催者発表)を超えた。主催者側の特定非営利活動法人 「東京レインボープライド」によると、2012年の初回以降、最多。有名アーティストや多数の企業が参加することで注目度が上がり、LGBTなどの当事者だけでなく、アライ(支援者)やストレート(異性愛者)の参加者の増加にもつながったようだ。

 渋谷の街を3キロにわたって行進するパレードの参加者数も約5000人で、こちらも過去最高だった。「踊りたい」「手をつなぐ」などをテーマにした18のフロート(山車)が登場し、参加者は自分が共感するテーマを選んでフロートに続いて歩いた。手には性の多様性を象徴するレインボーフラッグや、「まぜこぜの社会をめざす」「教科書にLGBTを」など、それぞれの想いがつづられたプラカード。沿道で応援する人とハイタッチをするなど、終始、楽しく和やかな雰囲気で行われた。

 イベントの締めくくりは、歌手中島美嘉さんによるライブが開催され、大ヒット曲「雪の華」を含む全6曲が披露された。

 ライブ中、中島さんは感極まって涙ぐむ場面もあった。中島さんは、友人のカップルが、沖縄でパートナーシップ制度の証明書を取得した際、サプライズのお祝いで歌ったことがある。それがきっかけで、今回、出演のオファーが来たという。

 中島さんは、「LGBTの方々って恋をしてもまずは『この方は自分を受け入れてくれるだろうか』から始まる。男女間なら、『好きです』というだけなのに」と当事者の気持ちを代弁し、「普通の恋ができない人たちがいっぱいいて、私もおかしいと思っている」と訴えた。今回のライブ出演については、「夢が叶った感じ」と笑顔をみせた。

 また、展示ブースでは、DIESEL、ドン・キホーテ、IBM、ライフネット生命など、多数の企業が出展した。初参加のダイヤモンド社は、今年3月に創刊した雑誌Oriijin「ココロと多様性の時代を生きる」をブースで販売。福島宏之編集長は「LGBTは心の向き合い方の一つ。そのためにも、あえてLGBTのタレントは起用せず、いわゆるストレートの方に取材した」と編集の方針を語り、「認知度が高まってきたとはいえ、LGBTやダイバーシティを意識している人はまだわずか。企業が動き始めることで、当事者以外の人も『知っておくべき情報』なのだと感じてほしい」と話していた。

 マルイなどを展開している株式会社丸井グループも初めて出展した。社員60人がイベントに参加したそうだ。ブースの代表者は「すべてのお客様とともにというテーマで、販売員はセクシュアルに関係なくウェルカムに対応出来るよう研修を受けている」と説明し、「(社員が)こういう場に来て、リアルにLGBTの人たちが身近にいるとうことを体感することが大切」と話した。

 毎年ブースを出展している特定非営利法人ReBitは、若者同士の繋がりを目指し今年もコミュニティブースを出展。イベントだけで終わらない継続的な繫がりの実現を目指す。ReBitのスタッフ進藤夏葉さん(27歳)は、「アライになろうとする人は増えてきたけど、『アライとは具体的にどういうことなのか』や、『当事者の方に何をしてあげたらいいのか分からない』と聞くので、当事者のサポートだけでなくアライの支援もしたい」と話し、「この2日間は目に見えるLGBTのイベントだけど、LGBTやアライという言葉がなくなるくらい、みんなが日常的にベースとして知っていて、自分らしさを表現できるような社会になるよう活動していきたい」と続けた。

 関係者が口々に話したように、LGBTの当事者だけでなく、アライやストレートの参加が目立っていた。パレード初参加の倉田夏実さん(28歳)は、「私はストレートだけど、女の子だけの世界には生きづらさを感じてきました。群衆に群れる感じが苦手で……レインボープライドは個を大切にするイベント。多様性を重んじる姿勢に共感できます」と話す。以前から興味があったため、就活帰りに参加したと話す大学生の寺田結さん(21歳)は、「就職をめぐって自分のジェンダーに悩んでいると友人から聞くことがあります。ここではみんな自然と馴染んでいる。社会も個性として寛容に受け止めるようになればいい」と語った。

 そのほか、会場で話を聞いた中には、「好きなブランドが出店しているので様子を見に来た」などと話す人もいて、LGBT支持への強い思いだけが参加の動機ではなくなっているようだ。たくさんの人が気軽に参加できるイベントにすることは、主催者側のねらいの一つでもある。パレードの途中、レインボープライド共同代表の杉山さんは「年々若者が増えている。お祭り感覚で参加してくれているようだ」と話してくれた。

 当事者はどのように今回のイベントをとらえていたのだろうか。当事者カップルのToyさん(28歳)は、「自分はオープンに生きてきた」と話す一方で、「とはいえ、年上の方に理解してもらうことは難しい」と話す。パートナーのMenさん(27歳)は「同世代であればカミングアウトもしやすい。世代に関係なくフラットな世の中になって欲しい」と語ってくれた。

 取材を通じて、LGBTへの支援だけでなく、「多様性」を重視したい自分のアイデンティティとしてとらえて参加している人、また、ファッションやお祭り感覚で参加する人が増えてきたと感じた。共感は、さまざまな形で人々に広がっているようだ。

(文・写真 櫻井紫乃)

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