銀座・由美ママ 男の粋は心意気

適度な距離感を保ちつつも、飾らない素直な自分を開示できる人

  • 文 伊藤由美
  • 2017年5月11日

  

  • 銀座「クラブ由美」オーナーママ・伊藤由美

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 相手が思いきって胸の内を打ち明けてくれると、こちらも自分のことを打ち明けやすくなる。相手が心を開いてプライベートな話をしてくれたことがうれしくて、自分のことも話したくなる。そんな経験をお持ちの方も多いかと思います。

 相手に自分の思いや経験、考え方、価値観などを打ち明ける、その行為を「自己開示」といいますよね。そして、人は自分のことを打ち明けてくれる人に好意を持つのだとか。「心を開いてくれている」と感じて、親近感が増すのでしょう。

 逆に、人の話は聞きたがるけれど、自分のことは話さない人もいます。そういうタイプの人は「何を考えているのかわからない」「本音がわからない」という印象を持たれることが多く、不信感や不安感、警戒心などを持たれてしまいがちです。

 「クラブ由美」のお客さまにも、さりげなく自然に、こうした自己開示をされる“オープンマインド”な方々がいらっしゃいます。その方のテーブルは会話が盛り上がり、アットホームな雰囲気に包まれています。そして、総じてビジネスやプライベートの別なく、広くて豊かな人間関係を構築されているのですね。

 例えば若手の部下が上司と飲みに行ったとき、上司から「この前、ちょっとしたことでウチのヤツ(奥さん)とケンカしてさ、ここしばらく口を利いてないんだよ。しかしまあ、男ってこういうとき、ついつい意地を張っちゃうんだよな。そんな経験ないか?」といったプライベートな話がポロリと出てくると、上司と部下という壁を越えて人間同士としての親しみが湧いてくるもの。そして「へえ、○○さんでもそうなんですか。わかります、その気持ち。男ってそうですよね」と打ち解けて、若手も自分のことを聞いてほしくなるものです。

 ただし、ここで注意すべきは、自分のことばかりを話す人になってはいけないということです。相手が話している途中に割り込んでまで自分の話をするのは自己開示、オープンマインドといえませんよね。そうそう、オレも……。違う違う、オレなら……。いやいや、オレの場合は……。その先に出てくるのは、心を開いたプライベートな話というよりも、自慢話と相場は決まっています。本当の意味で自己開示ができる人、心を開いて打ち明け話ができる人は、自分の話を呼び水にして相手の話を聞きたい、相手と会話をしたいと思っています。意識は常に相手にある。自分の話だけを聞いてほしいわけではないのですね。

 適度な距離感を保ちつつも、飾らない素直な自分を開示できる。程度をわきまえつつも、相手に対して心を開くことができる。コミュニケーションに対するそうした姿勢もまた、上からは認められ、下からは慕われるような“大人の粋”なのではないでしょうか。

 次回は5月25日の配信を予定しています。

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PROFILE

伊藤由美(いとう・ゆみ)銀座「クラブ由美」オーナーママ

写真

東京生まれの名古屋育ち。18歳で単身上京、クラブ「紅い花」に勤務。その後、19歳で「クラブ宮田」のナンバーワンに。さらに22歳で勝新太郎の店「クラブ 修」のママに抜擢される。1983年4月、23歳でオーナーママとして「クラブ由美」を開店(2013年に30周年を迎えた)。15年11月に「シャンパーニュ騎士団」より叙勲、オフィシエ(将校)を女性経営者として初叙任。著書に『スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人』『銀座の矜持』(共にワニブックス)、『粋な人、無粋な人』(ぱる出版)、『記憶力を磨いて、認知症を遠ざける方法 銀座のママと脳神経外科医が語る、記憶の不思議とメカニズム』(ワニ・プラス)などがある。また、女優の杉本彩さんが理事長を務める「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva(エヴァ)」の理事も務め、動物愛護活動をライフワークとする。

BOOK

「できる大人は、男も女も断わり上手」(ワニブックスPLUS新書) 銀座「クラブ由美」オーナーママ 伊藤由美 著

 銀座「クラブ由美」オーナーママ 伊藤由美
「はっきりNOと言えればこんなに楽なことはないけれど」。誰しもが日常感じていることであろう。銀座で35年間にわたって一流クラブのオーナーママを務めてきた著者は「長年、政財界で活躍するお客様と接してきて感じるのは、できる人は男女ともに、断わり方がお上手だということです」と語る。また、お店で働く数多くの女性たちを見てきて、断わり上手な女性の方が長いスパンでお客様の信頼を獲得できることも感じてきたという。ビジネスから恋愛まで、著者が接客のプロとして大切にしてきた、今すぐ使える、角の立たない「お断わりの作法・技術」。

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