女子アスリート応援団

華麗な上段蹴りでメダルを狙う テコンドー・松井優茄さん

  • 2017年5月23日

テコンドー選手 松井優茄さん

  • 体幹もしっかりしていないと、高い蹴(け)りは放てない

  • 高く蹴り上げると、隙(すき)も大きくなりやすい。カウンターを受けないように集中は切らさない

  • スポーツ選手には珍しく練習でも試合でもメイクは欠かさない松井さん。「その方がいつも通りにできるから。どれだけ汗をかいても崩れない」と話す

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 167センチ、46キロと線が細く、しかも色白。だがそのはかなげな印象に反して、スラリとした長い脚から放たれるのはミットをはじき飛ばすような強烈な蹴(け)りのラッシュ。テコンドー歴15年の松井優茄さんは、46キロ級の日本代表として出場する6月の世界選手権を前に、一心不乱に蹴って蹴って蹴りまくる。

松井優茄さんの写真特集

 韓国発祥の競技・テコンドーの魅力は、”蹴(け)り技”の美しさ。選手が狙うのは相手の胴と頭で、胴であればパンチも有効だが、頭へ許されている攻撃は蹴りだけ。胴よりも頭を狙った方が点数が高く、さらに、ただ蹴るよりも回転を加えて蹴った方が得点が上がる。技ごとに決められた1~4点のポイントを2分×3ラウンド内に積み上げ、合計点が高い選手の勝ちとなる。

 「私が好きなのも上段への蹴り。見た目にも華やかだし、ポイントも高い。決まると気持ちいい」。蹴り技がメインの競技は他にもあるが、上段へのダイナミックな蹴り技を促すような規定を設けているのがテコンドーならではの特徴だ。顔に向かって相手の足が飛んでくることもあるが、「試合中に怖いとか、痛いとかは感じない」と飄々(ひょうひょう)と話す。

弟2人の存在が続ける原動力に

 テコンドーを始めたのは小2のとき。母親が「心と体を鍛えるために」と2人の弟と一緒に習いに行かせた。今や全日本テコンドー協会の強化指定選手に選ばれるまでになったが、最初から目を見張るような才能があったわけではない。むしろ「小学生のころは練習が嫌いで、休みたいなって思うことがしょっちゅうでした」。だが弟たちと一緒に習い始めた手前、長女の自分が怠けるのは示しがつかないからと、がんばって続けてきた。“いやいややってる感”が薄まったのは、中学生になって少しずつ大会で勝てるようになってから。勝つたびに自信がつくことがうれしくて、積極的に練習に参加するようになった。

 高2、高3で全日本ジュニアのバンタム級で優勝すると、日体大へ進学。2014年に全日本学生選手権46キロ級で優勝し、2015年には全日本選手権46キロ級での優勝も果たした。

体力と筋力の増強が課題

 国内外の大会は最軽量の46キロ級を含め8階級で行われるが、オリンピックは4階級しかなく、一番軽くて49キロ級。2016年のリオ五輪出場がかかったアジア予選では、体重を増やして臨んだものの、初戦敗退に終わった。「普段52、3キロある人が減量して49キロ級に降りてきていて、体力の差をすごく感じた」と振り返る。

 上段への蹴りは得点が高いがアクションが大振りになるぶん隙(すき)が生まれ、カウンターを狙われる可能性も増す。疲れで集中を切らせないためにも、「あと3キロ筋肉を増やして、体力もつけるのが課題。今年からルールが改正されて、相手を自分の体で押しながら蹴ってもいいようになったんですが、押すにも、相手の押しに耐えるにも体力がいる。体力強化は必須です」

 実は弟2人も強化指定選手で、この5、6年は、1日の休みもなく3人そろって練習に打ち込んでいる。互いの存在を励みに、3姉弟の最終目標である東京オリンピックでのメダル獲得を目指す。

(文・渡部麻衣子、写真・岡村智明)

    ◇

松井優茄(まつい・ゆうな) テコンドー選手。1994年3月生まれ。埼玉県出身。ムジャキフーズ所属

 姉弟間の仲は良いものの、「一緒に練習をした後に『さっきのあれはこうすべきだった』みたいな意識高い系の会話をすることはないです」。互いに干渉しない主義だが、「弟の試合は自分の試合よりも緊張する」とお姉さんの顔をのぞかせた。「だって弟の試合は見守ることしかできないですから」

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