森秀光 お金のセオリー

「毎月分配型」投資信託のしくみ、しっかり理解を

  • 森秀光
  • 2017年5月17日
  •   

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 最近、金融庁の森信親長官が都内で講演し、投信組成や販売の現場で「消費者の真の利益を顧みない生産者の論理が横行している」と指摘し、「手数料獲得が優先され、顧客の利益が軽視される結果、顧客の資産を増やすことができないビジネスは、社会的に続ける価値があるのか」と金融機関関係者を批判しました。講演の中で「顧客本位でない商品」の代表例として挙げたのが、「毎月分配型」の投資信託でした。

 「毎月分配型」投資信託とは、運用収益などの一部を分配金として毎月分配するタイプの投資信託のことです。金融庁の資料によると、売れ筋投資信託の大半が「毎月分配型」投資信託となっており、残高ベースでは6割以上となっています。「毎月分配型」投資信託は、「60代」「70代以上」の高齢層の保有率が高く、保有している方のうち、「分配金として元本の一部が払い戻されることもある」と理解している方は37%に過ぎないということです。

 投資信託の分配金のしくみをしっかり理解しておきましょう。

 投資信託の分配金には、「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の二種類があります。「普通分配金」とは、元本を上回る運用収益からの分配金のことです。普通分配金に対しては税金がかかるため、分配金を再投資しても、控除される税金の分だけ再投資額が少なくなり、投資効率が悪くなることに注意が必要です。

 問題なのは「元本払戻金」の方で、分配金といっても単なる元本の払戻金のことです。払い戻しの額だけ元本は減ることになり、こちらは利益の分配ではないため非課税となっています。この「元本払戻金」を「運用益からの分配金」と誤認している方が多く、売れ筋投資信託の中には、分配金のうち大半が「元本払戻金」という商品も珍しくありません。「元本払戻金」が多い投資信託を保有することは、銀行のATMで自分のお金をおろすのに高額な手数料を支払っているのと同じ行為といえます。

 結論として、投資信託を買うなら、できるだけ分配が少ない商品を選び複利効果を最大限享受すること、また、毎月のこづかいや生活費にまわすなどの目的で「毎月分配型」投資信託を保有している方は、普通に銀行のATMで毎月お金をおろす方が賢明だということです。

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PROFILE

森秀光(もり・ひでみつ)

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1966年生まれ。一橋大学経済学部卒業。1990(平成2)年に野村證券(株)入社後、主に個人富裕層向けの資産運用アドバイス、企業オーナー向けのコンサルティング業務に従事。2011年より森オフィス(株)代表取締役として個人向け資産コンサルティング業務に従事。中立的な立場から、有価証券だけでなく、不動産、自社株、相続・事業承継など、多様な側面から資産の分析を行い、最適な解決策を提供することを目指している。主な著書に「超低金利・大増税時代の資産防衛戦略」

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