モーターサイクル・リポート

ヤマハ、二つのニューモデル「MT-10」と「TMAX530」

  • 河野正士
  • 2017年6月6日

 ヤマハはこの春、二つのニューモデルを発売した。それが「MT-10(エムティー・テン)」と「TMAX530(ティーマックス)」だ。ともに、昨年11月にイタリア・ミラノで開催されたモーターサイクルショー/EICMAで発表された車両で、それらが2017年の国内モデルとしてラインアップした。その中からまず、「MT-10」を紹介する。

スーパースポーツとは一線を画すヤマハMTシリーズの頂点「MT-10」

前後にオーリンズ製電子制御サスペンションを採用する「MT-10SP」。ヤマハのスーパースポーツモデル「YZF-R1」のエンジンとフレームを採用しながら、エンジンの出力やシャシー周りの特性をMT-10専用にアレンジし、個性的なボディーデザインとともにパッケージした(写真はいずれも河野正士撮影)

 ヤマハは、新スタンダード・モデル群として“MTシリーズ”のラインアップを増やしている。“MTシリーズ”はさまざまな排気量とエンジン形式を持ちながら、一貫してトルクフルで軽快な、バイクが本来持つ操る楽しみを追求するというコンセプトを貫き、世界で人気を博している。「MT-10」は、その最上級モデルだ。

ピストンが上下する際に発生する慣性トルクを、四つのシリンダー内のクランクピンをずらし、互いに相殺しあうことで振動を抑え、燃焼トルクのみを取り出すことができるクロスプレーン型クランクシャフトエンジンを採用。ヤマハのMotoGPマシン「YZR-M1」や、市販スーパースポーツマシン「YZF-R1」も同仕様のクランクシャフトを採用する

 エンジンとフレームは、ヤマハのスーパースポーツモデル「YZF-R1(以下R1)」のものを使用している。しかし開発陣は、MT-10はR1のネイキッドモデルではない、という。開発の段階では、単純にR1をネイキッド化したバージョンも実際に試したが、それではMTシリーズに貫かれているトルクフルで軽快な、ヤマハでいうところの“トルク&アジャイル”なバイクにならなかった。そこでR1のプラットフォームを使用しながら、そのなかでMTらしい特性を徹底的に追求したのだという。

 エンジンは、クロスプレーン型クランクシャフトを持つ直列4気筒エンジン、通称CP4(シーピーフォー)エンジンを搭載。四つのクランクピンを90度ずつずらすことで、ピストンが往復運動するときに発生する慣性トルクを相殺。それによってシリンダー内爆発のみで生まれる燃焼トルクだけを取り出すことができるという。しかし、それがゆえにCP4エンジンは滑らかで、言い方を変えれば“おとなしい”。

スーパースポーツマシン「YZF-R1」のヘッドライトを流用しながら、個性的なフロントマスクを作り上げている。ライト上のスクリーンはウィンドプロテクション効果が高く、またハイスクリーンなどオプションパーツなどにアレンジすることもできる

 そのおとなしいエンジン特性を、MTシリーズの頂点モデルとして存在させるために、クランクマス上の慣性マスを増やして、分かりやすくいえばクランク周りを重くして、その重い物を回す勢いを利用してトルクフルにした。もちろん、その出力特性を得るために吸排気系のパーツに加え、シリンダーヘッド周りにも改良を加えるなど、R1とMT-10では約40%ものパーツが変更されている。

SPには前後にオーリンズ製の電子制御サスペンションを採用。スタンダードの「MT-10」が採用するKYB製サスペンションもじつに動きが良く、スポーツライディングからツーリングまでを幅広く楽しめる

 スタンダード、スポーツ、アーバンの三つのライディングモード(ヤマハでは「Dモード」と呼んでいる)は、あえてそれぞれの特性がクロスオーバーする領域を広くして、あらゆる状況で使えるライディングモードとして設定したという。実際に走行してみると、アクセルの開け始め、いわゆる微細開度領域ではいずれのモードでも反応が穏やか。そこからさらにアクセルを開けていったときに各モードの個性が明確になっていくように感じた。クルーズコントロールも標準装備され、リアフレームを重いながらも高い剛性を持つスチール製に変更。タンデム走行やサイドバッグを装着したときもハンドリングが損なわれないよう作り込まれている。

ステップ周りは、十分なバンク角を確保しながら、低く前方に位置し、自然なライディングポジションを作り上げる。その仕上げにも徹底的にこだわり、造形的にも非常に美しい

 またMT-10にはオーリンズ製の電子制御サスペンションやフルカラーTFT液晶メーターを採用した「MT-10SP」もラインアップ。ヤマハ国内モデル初となる電子制御サスペンションは、オーリンズ製の特性を生かし、伸圧を繰り返す際でも上質であった。(次のページへつづく)

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PROFILE

河野正士(こうの・ただし)ライター

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二輪専門誌の編集部員を経てフリーランスのライター&エディターに。現在は雑誌やWEBメディアで活動するほか、二輪および二輪関連メーカーのプロモーションサポートなども行っている。ロードレースからオフロード、ニューモデルからクラシック、カスタムバイクまで好きなモノが多すぎて的が絞れないのが悩みのタネ

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