横田尚哉 誰のため?何のため?

アマゾンにはない書店の魅力とは?

  • 文・横田尚哉
  • 2017年6月8日
  • たまには書店で偶然の出会いを楽しみませんか?(bitterfly/getty images)

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 ネット通販大手のアマゾンが、仕事や生活に欠かせない存在になってきました。米アマゾンが公表した年次報告書などによると、日本事業の売り上げは、2016年に約1兆2000億円(108億ドル)と、ついに1兆円を超えました。2015年の9200億円(83億ドル)と比べると、前年比30%増ですから勢いに乗っています。

 2016年5月のMMD研究所の調べでは、ネットショッピングをした人の77%が6カ月以内にアマゾンを利用しており、2位の楽天(48%)に大きく水をあけています。その中でも「本・雑誌・コミック」はどの世代も30%を超えており、上位を譲りません。やはり、書籍をアマゾンで購入する人が増えてきています。

 そして、書店が相次いで閉店しているというのも事実のようです(参考:『林智彦の「電子書籍ビジネスの真相」』)。そこで今回はネット通販と書店の違いについて、改めて考えてみました。

 ファンクショナル・アプローチには「使用者優先の原則」があります。提供者側の論理ではなく、使用者側の論理でアプローチするほうが、より良い姿になるという考え方です。お店の側に立ってみれば、書店は《販売数を伸ばす》トコロなどと考えられますが、来店者の方を優先すれば、書籍の《魅力を伝える》トコロと考えることができます。

 まず、アマゾンの魅力とは、どういうものでしょうか。

 最大の利点を考えると、《購入までの時間を縮める》コトではないでしょうか。書店に立ち寄る時間を惜しむ人が増えていると思います。さらに、持ち帰る《荷物を減らす》効果や、欲しい書籍への《到達率を高める》性能に優れています。

 では、書店の魅力とは、どういうものでしょうか。

 決定的な違いは「現物」です。書店には、数は限定的だが現物があり、手にとって見ることができるけれど、アマゾンでは、現物を手に取ることができません。つまり、現物の《魅力を引きだす》コトができれば生き残ることができるし、できなければネット通販にのまれてしまうということです。

 《現物を手にする》コトで得られる効用は、たとえば箔(はく)押しや凹凸加工された《表紙を鑑賞する》楽しみであったり、《紙質を確かめる》狙いだったり、《読書感を味わう》メリットなどでしょうか。ということは、「手にとってみる」「ちょっと読んでみる」のができるのが、書店です。

 店内を回ると、書籍との《偶然の出会いを楽しむ》コトや、自分の中に眠る《新たな興味を見つける》コトができます。さらに、ラインナップを見れば《売れ筋を知る》コトも出来るし、《時の変化を感じる》コトも可能です。

 単に《書籍を買う》トコロと捉えないで、ネット通販にはない別のファンクションを知り、それを最大限に発揮する店作りができれば、とても面白く魅力的な書店になるし、これが生き残れるかどうかの分かれ目だと思います。

 そんな視点を持ちながら、たまには書店をのぞいてみませんか。

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PROFILE

横田尚哉(よこた・ひさや)

横田尚哉

経営コンサルタント、改善士。株式会社ファンクショナル・アプローチ研究所代表取締役社長。大手コンサルタント会社、本社部長から単身独立。世界最大の企業・GE(ゼネラル・エレクトリック)の改善手法をアレンジして10年間で総額1兆円分の公共事業の改善に乗り出し、コスト縮減総額2000億円を実現させた実績を持つ、業界屈指のコンサルタント。著書に『ワンランク上の問題解決の技術《実践編》視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ』『問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門』(いずれもディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ビジネススキル・イノベーション』(プレジデント社)、『第三世代の経営力』(致知出版社)、『問題解決で面白いほど仕事がはかどる本』(あさ出版)など。

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