ファッションニュース

和紙の美 広がる装い、服や腕時計 特性生かし新提案

  • 2017年6月12日
  • 和紙混ジャケット(右)とシルク混ジャケット=東京・新宿高島屋6階

  • バントの和紙Tシャツ

  • ザ・シチズン

  • ペーパーライトクリームアイカラー

  • 瀬美庵織

  • 機織り機で布を織る浅田佑治代表=大阪市西区

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 和紙をファッションに取り入れる動きが広まっている。涼感ある生地として服に使うだけでなく、時計の文字盤や化粧品のコンセプトにも用いられている。伝統美や高級感をまとう和紙。海外ブランドも新鮮な素材として注目している。

 昔から着物に用いられてきた和紙。毛羽がないので肌に優しく、軽くて耐久性がある。さらなる機能性の向上がトレンドを生んだ。

 高島屋は美濃和紙を35%使い、ジャージー素材に編み上げたジャケットを扱っている。素材は帝人フロンティアと共同開発。シワになりにくく防臭性や吸水性を備えた生地が生まれた。

 技術革新を加えた日本伝統の素材は人気が高い。今年発売した洗えるシルク混ジャケットと共に、好調だという。バイヤーの藤井卓郎さんは「夏でもきっちり着たいビジネスマンに、日本の伝統工芸の良さを新しい形で提案できるようになった」と話す。

 若手デザイナーも和紙に注目する。2016年春夏シーズンにデビューした日本ブランド「バント」はシャツなどに和紙を使う。和紙専業の会社「和紙の布」の生地を採用。特有の硬さは、バイオ加工を施して対処している。

 服以外にも可能性は広がる。シチズンは、時計の文字盤に和紙を用いた光発電時計「ザ・シチズン」を発表した。和紙は昔から行灯(あんどん)など、光と共演する素材だった。光を扱う現代の技術と、伝統を融合させた。

 土佐和紙の職人が光を透過する薄い紙を製作。和紙に薄いプラスチックの板を載せる技術で、文字盤に装飾できるようにした。シチズンの担当者は「耐久性や軽さ、色や模様のバリエーションは、利用の可能性が広がる。服飾だけでなく、様々な分野で利用されるのではないでしょうか」。

 化粧品にも、和紙をイメージした商品がある。資生堂は、高級ライン「SHISEIDO」から、和紙に着想を得たアイシャドー「ペーパーライトクリームアイカラー」を7月11日に発売する。和紙のように、肌が透けて目元に柔らかな光をたたえたように仕上がるという。

 販売は終了したが、シャネルも2月、和紙に透ける光から着想したフェースパウダーを出している。

海外でも手応え「瀬美庵織」

 和紙を使った独自の織物を世界に売り込んでいる人もいる。織物会社「セミアリッチマテリアル」(大阪市)代表の浅田佑治さん(41)は今年2月、横糸に手すきの和紙を使った「瀬美庵織(せびあんおり)」を、パリのファッション素材見本市「プルミエールビジョン」に初めて出した。ある高級ブランドのバイヤーからは「これを待っていた」と声をかけられ、複数の海外ブランドと商談が進んでいる。浅田さんは「国内より海外のほうが手応えがあります」と話す。

 40年ほど前、京都府綾部市で繊維メーカーに勤めていた祖父が開発し、京都を流れる由良川の瀬の美しさを織り込むという意味から名付けたという。今は縦糸に綿、横糸には全国の和紙を様々な色に染めて細く裁断したものを使い、手作業で織っている。「独創的なものを常に探している海外バイヤーにとって、和紙は魅力的だったのではないでしょうか」と話す。(高津祐典、長谷川陽子)

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