森秀光 お金のセオリー

「通貨選択型の投資信託」の複雑な仕組み

  • 森秀光
  • 2017年6月15日
  • (enjoynz / getty images)

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 最近、新聞などで目にすることが多くなった「通貨選択型の投資信託」は、分配金が多いのが魅力とされていますが、比較的リスクが大きいため、仕組みをよく理解しておくことが大切です。

 「通貨選択型の投資信託」とは、株式や債券などへの投資に加え、為替取引も活用できるよう設計されたファンドのことです。ファンドの説明資料などでは、主な収益源は、投資対象資産から生じる値上がり益や利子・配当、為替取引による収益、選択した通貨の為替変動による収益の三つに分類されると説明されています。

 具体例として、米国社債をブラジルレアル建てで購入する「通貨選択型の投資信託」をみてみましょう。

 日本の投資家が単に米国社債を購入するだけなら、投資のリスクは「米国社債の収益の変動」と「米ドル・円の為替変動」の組み合わせになります。ところが、「通貨選択型」のレアルコースにした場合、円を米ドルに交換し、さらに米ドルをレアルに交換することになり、リスクは「米国社債の収益の変動」と「レアル・円の為替変動」の組み合わせとなります。理解しづらいのは、この米ドルをレアルに交換する取引で、通貨の金利差を利用して収益(プレミアム)の獲得も積極的に目指す、とされている点です。注意すべきは、こうした為替取引によって確実に収益が得られるわけではなく、長期的には理論上、期待リターンはゼロになるということです。

 結局のところ、日本の投資家からすると、「米ドル・円の為替変動」が「レアル・円の為替変動」に変わることによって、確実に大きくなるのはリターンではなくリスクだけ、というのが本質だと考えます。

 また、商品の仕組みが複雑なことから手数料が割高に設定されていることにも注意が必要です。「通貨選択型」の場合、購入時の手数料が3%、年間信託報酬が1.5~2.0%程度の商品が中心となっていますが、米国社債を購入するだけなら、コストの低い類似商品がたくさんあります。

 「通貨選択型の投資信託」は特に高齢層の保有率が高くなっています。読者の皆さん自身はもちろんのこと、ご両親の資産についても、過度なリスクをとって割高な手数料を払っていないか、チェックされてみてはいかがでしょうか。

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PROFILE

森秀光(もり・ひでみつ)

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1966年生まれ。一橋大学経済学部卒業。1990(平成2)年に野村證券(株)入社後、主に個人富裕層向けの資産運用アドバイス、企業オーナー向けのコンサルティング業務に従事。2011年より森オフィス(株)代表取締役として個人向け資産コンサルティング業務に従事。中立的な立場から、有価証券だけでなく、不動産、自社株、相続・事業承継など、多様な側面から資産の分析を行い、最適な解決策を提供することを目指している。主な著書に「超低金利・大増税時代の資産防衛戦略」

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