私の一枚

友の涙に再起を決意、母・山口百恵を歌う 三浦祐太朗さん

  • 2017年7月4日

2010年、宮崎県の高千穂町にある、天岩戸神社の近くの「天安河原(あまのやすがわら)」で。願いを込めて石を積むと願いがかなうといわれる場所で、「『また歌えますように、そして今度は楽しい気持ちでみんなとまた来られますように』と祈りながら石を積みました」

  • 山口百恵さんの名曲をカバーしたアルバムを出すシンガー・ソングライターの三浦祐太朗さん

  • 7月5日にリリースになる「I'm HOME」。2315円(税別)

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 宮崎県の高千穂町の「天安河原(あまのやすがわら)」という場所を訪れたのは2010年。組んでいたバンド「Peaky SALT」が活動休止となり、途方に暮れていた時です。学生時代から一緒にやっていた仲間ですが、徐々に歯車がかみ合わなくなって……。今は自分たちの実力不足と分かりますが、当時は何が悪いのか分からなかった。仕事の予定がなくなり、これからどうすればいいか分からないでいました。

 僕は昔から悩みを人に相談するのが苦手なタイプ。家族はそれを知っているので何も聞かず、友人たちも話題に出さず。どれだけ周囲に気をつかわせていたことか。そんな時、学生時代の友人が旅に誘ってくれたんです。中学から大学まで所属した水球部の仲間3人で宮崎まで行き、空港から高千穂町まで車で約3時間、自分たちが持ってきた音楽をかけて盛り上がってたんです。

 すると不意に僕のバンドの曲が流れてしまった。「気まずい」と思った僕はさらに盛り上げようとしたんですが、友人が2人とも泣いていることに気付きました。その時に思ったんです。自分には心配してくれる人たちがいて、自分はそれに気づけなかったんだと。この人たちのためにもう一度、一から自分のできる音楽を探していこうと決意しました。

 「ソロでやっていく」と決め、帰ってすぐにライブハウスに通い、初めて自分でサポートメンバーを集めるところから始めました。それからチャンスがあればどんなことでもチャレンジしました。本当に必死でした。

 転機は松山千春さんの半生を描くミュージカルのオーディションに受かったことです。何十年もシンガー・ソングライターとして第一線でやってこられた方を演じることで、自分も何かつかめるのではないかと挑戦したんです。

 千春さんは2本の指でギターを弾く独特の演奏法をされるのですが、どうせならそこまでやろうと練習してオーディションに臨みました。最終審査は千春さんのファンと審査員が並ぶ前で千春さんの曲を弾き語るという“地獄のような状態”でしたが(笑)、2フィンガーで演奏したのは僕だけだったこともあり、抜擢(ばってき)されました。

 舞台では、「旅立ち」を弾き語る最後のシーンで空気が変わるのを感じ、自分の歌が伝わったのだと自信になりました。また、ここ数年は大型ショッピングセンターなどでインストアライブを数百回重ね、お客さんが足を止めて聞いてくれるようになったことも自信になりましたね。

    ◇

みうら・ゆうたろう シンガー・ソングライター 1984年東京生まれ。2008年にバンド「Peaky SALT」のボーカルとしてデビュー。11年からソロとして始動。12年に舞台「旅立ち~足寄より」で松山千春役を主演し、同時に三浦祐太朗としてファーストシングル「旅立ち」でソロデビュー。FM NACK5 キラメキミュージックスター「キラスタ」(18:00~20:00、生放送)で水曜と木曜のレギュラーパーソナリティーを務める。

◆三浦祐太朗さんが活動10周年を記念し、母・山口百恵さんのカバーアルバム「I'm HOME」を7月5日にリリース。収録曲は「さよならの向う側」「秋桜」「謝肉祭」「イミテイション・ゴールド」「夢先案内人」「プレイバックpart2」「曼珠沙華」「いい日旅立ち」の全8曲。

「昨年、テレビの歌番組で母の曲を歌ったところ大反響があり、カバーアルバムのオファーをいただきました。それは自分が今やるべきことなのか、また母のファンに認めてもらえるのか、と正直当惑しました。悩んだ末、普段相談したことがない母に意見を聞くと『自分が生きているうちにカバーアルバムができ、ましてやそれを息子が歌ってくれたらすごくうれしい』と言ってくれました。それまで母にそういうことを言われたことがなかったので、後押ししてもらったようで、それで決意しました。カバーするにあたって、母の歌を何度も聞き、息継ぎやビブラートのかけ方などを学びました。とにかく驚いたのは、こんな大人っぽい歌詞の曲を母が10代で歌っていたこと。山口百恵はアイドルではなく偉大なシンガーだったんだと、改めて感じました。聞いてくれた母からは、『いいアルバムになったね』と。父も『いいね』とLINEで伝えてくれました(笑)。今回のアルバムは手前みそですが、母をリスペクトしながら、僕のオリジナルに聞こえるぐらいの仕上がりになったと思うので、ぜひ母のファンの方にも、母を知らない世代にも聞いてほしいです」

(聞き手:田中亜紀子)

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