ノジュール

<第49回>平家落人伝説の里・宮崎県椎葉村を訪ねる

  • 文 田村知子(『ノジュール』編集長)
  • 2017年6月30日

椎葉村の十根川重伝建地区

  • 鶴富屋敷の前には、那須大八郎と鶴富の像が立つ

  • 台所の竈(鶴富屋敷)。今も使用されている

  • 地元の方が「ひえつき節」などの民謡を歌ってくれる

  • 椎葉名物の「くさぎな飯」(手前)。椎葉村物産センター平家本陣にて

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 秘境、かくれ里、伝説の地……。これらの言葉にはなんともいえない魅力があり、旅心をくすぐります。今回は、九州中央に連なる山地の奥深くにある宮崎県椎葉村を訪ねます。

 平家落人伝説の里として知られる椎葉村へは、日向市から1日2便の路線バスで約2時間半、日本の村で5番目の面積がありますが平地は4%のみという山里です。

 壇ノ浦の戦いに敗れた平家の残党は阿蘇を経て、この椎葉村に落ちのびました。那須与一の弟とされる那須大八郎は、残党を追って椎葉に入りましたが、村の暮らしに溶け込んだ平家の人々に反逆の意思はなく、大八郎は追討することをやめました。その後、平家の鶴富姫との間に恋が芽生えますが、鎌倉から帰還命令が下り、ふたりは離ればなれに。その後、大八郎と鶴富の間に生まれた娘の婿が椎葉を治めていったという、これが落人伝説の概要です。

 まず訪れたいのは、その悲恋物語の主人公、大八郎と鶴富姫が住んだと伝わる「鶴富屋敷」。四つの部屋と縁側がひと続きになった趣ある建物は、この地に特有の寝殿造様の間取りで神楽を行うためのものだといいます。囲炉裏が切られた部屋や、現在も現役だという台所の竈などに、かつての暮らしがうかがえます。敷地には、鶴富姫の墓も立っています。

 隣は宿泊棟になっていて、猪肉鍋やヤマメの塩焼きなど、椎葉ならではの食事が味わえるほか、予約をしておけば、地元の方が出張訪問をして、椎葉に伝わる民謡「ひえつき節」や「駄賃付け歌」などを聞かせてくれます。(鶴富屋敷以外の宿泊施設でも可。4曲で30分~)

 また、複数の集落からなる椎葉を散策するなら、椎葉村観光ガイド案内人と一緒にまわってみるのがおすすめです(1時間1500円~)。集落を訪れて地元の方のお話を伺ったり、眼下に集落を望む絶景スポットに行ったりと、説明を聞きながら、村をじっくり愉(たの)しむことができます。

 ノジュール7月号は、このような日本の「隠れ里」を紹介。かつての養蚕農家の里山や、地歌舞伎が残る檜の里など、どこか懐かしい里山や古民家の宿、里山での体験プログラムなどを紹介。また、今夏も発売される「青春18きっぷ」を利用する今年ならではの鉄道旅も掲載しています。

■ノジュール:鉱物学の専門用語で硬くて丸い石球(団塊)のこと。球の中心にアンモナイトや三葉虫の化石などの"宝物"が入っていることがある。

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