横田尚哉 誰のため?何のため?

「コーヒーの提供」から「場の提供」へ カフェの役割が変化

  • 文・横田尚哉
  • 2017年7月6日
  • (anouchka / gettyimages)

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 公益財団法人日本生産性本部が公表した「2017年度JCSI(日本版顧客満足度指数)第1回調査結果」で、コーヒー店チェーンのスターバックスの顧客満足度がランク外になったことが注目されているようです。

 そもそも「カフェ」って誰のため、何のためにあるのでしょうか。今回はカフェの役割や機能について考えてみます。

 1996年にスターバックスが銀座に1号店をオープンした頃から、チェーン系カフェが私たちの回りに多く見られるようになりました。ビジネス街だけでなく、生活圏内にもよくありますね。

 カフェといっても、それぞれにコンセプトが違い、利用者の目的も様々です。《コーヒーを提供する》トコロではありますが、それ以外の目的で利用する人のほうが明らかに多いと思います。例えば、食事、談話、待ち合わせ、時間調整、読書、休憩などの場でもあるわけです。雨宿り、暑さしのぎ、電子機器の充電、喫煙といった目的の人もいます。ということは、《コーヒーを提供する》トコロだけではなく、《場を提供する》トコロでもあるといえます。

 ビジネスパーソンにとっては、資料を読んだり作ったり、ネット接続して調べ物をしたりする仕事場として利用する人も多いです。打ち合わせや商談、メールや電話をしている人もいます。そういうカフェでは、Wi-Fiや電源をサービスしています。

 主婦にとっては、買い物や子育ての合間のひとときを過ごす場であったり、仲間と談笑するコミュニティー・スペースであったりします。こういうところでは、ベビーカーに優しく、荷物置き場が配置されていたりします。

 学生にとっては、塾の予習や復習をしたり、試験勉強の場でもあったりします。テーブルが広く、明るいと勉強もしやすく、集中できるカウンター席や独立席が好まれます。ただ長居する学生も多いようで、大抵は「長時間の勉強は遠慮下さい」などと書かれています。

 そう考えると、カフェというビジネスモデルは、《コーヒーを提供する》トコロから完全に変わっているように思います。コーヒー以外のサービスのために、設備投資や運用経費が発生しています。飲食に関わる費用よりも、場としての費用のほうが大きなウェートを占めているのではないでしょうか。

 つまり、《コーヒーを飲む》ために《場を得る》ような利用から、《場を得る》ために《コーヒーを飲む》ような利用に変わってきたということです。

 そうすると店にとっては、場代込みのコーヒー代の設定が現実的でなくなります。コーヒー1杯と滞在時間の関係が、人それぞれだからです。むしろ、コーヒー代込みの場代として、時間あたりの料金にしたほうが現実的なのかもしれません。

 話を戻しますが、スターバックスは、「サードプレイス(第三の生活拠点)」として親しまれることをコンセプトとしています。まさに《場を提供する》コトを第一に考えているわけです。

 そのスターバックスが、冒頭の調査でランク外になったということは、利用者の求める「場」と、スターバックスが考える「場」に、ギャップが生まれてしまったということです。実際、季節商品やオリジナルグッズなどが次々開発されてはいますが、それは《場を提供する》コトにはつながっていないのではないでしょうか。

 6月30日には、世界初となる「暖簾や畳の間があるスターバックス」が京都でオープンしました。スターバックスのもう一つのコンセプト、「1000の店舗、1000の個性」なのかもしれませんが、果たして利用者の満足度を高めることができるか。見守りたいと思います。

※ファンクショナル・アプローチ(FA)では「役割=ファンクション」を《》で表しています。

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PROFILE

横田尚哉(よこた・ひさや)

横田尚哉

経営コンサルタント、改善士。株式会社ファンクショナル・アプローチ研究所代表取締役社長。大手コンサルタント会社、本社部長から単身独立。世界最大の企業・GE(ゼネラル・エレクトリック)の改善手法をアレンジして10年間で総額1兆円分の公共事業の改善に乗り出し、コスト縮減総額2000億円を実現させた実績を持つ、業界屈指のコンサルタント。著書に『ワンランク上の問題解決の技術《実践編》視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ』『問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門』(いずれもディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ビジネススキル・イノベーション』(プレジデント社)、『第三世代の経営力』(致知出版社)、『問題解決で面白いほど仕事がはかどる本』(あさ出版)など。

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