小川フミオのモーターカー

4WDワゴンを生んだ「スバル・レオーネ」

  • 世界の名車<第170回>
  • 2017年7月10日

1400cc水平対向エンジンで前輪駆動のクーペ(写真提供:SUBARU)

  • クーペの全長は3995ミリでFF-1より95ミリ長くなった(写真提供:SUBARU)

  • クーペGSRのダッシュボード(写真提供:SUBARU)

  • 72年に発表された4WDエステートバン(写真提供:SUBARU)

  • 4WDエステートバンには4WDシステムの副変速機を備えていた(写真提供:SUBARU)

  • マイナーチェンジで個性的になったフロントマスク(写真提供:SUBARU)

  • 後期型のセダン(手前)とエステートバンでともに4WDによる走破性の高さを強調(写真提供:SUBARU)

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 2代目はツライよ。そんなボヤきが聞こえてきそうなのがスバル・レオーネだ。先代は総アルミニウム製水平対向エンジンをはじめ凝りに凝った設計で評価の高かったFF-1。後継として1971年に発売されたレオーネは、理想よりも現実を重視したクルマだった。

 乗り心地がよくスペース効率的にもメリットがあることからルノーをはじめフランスのメーカーが好んだトーションバースプリングを採用したのが66年発売のスバル1000(のちに1.1リッターのFF-1に発展)。

 バネ下荷重を軽減して軽い車体でもしっとりとした乗り心地を実現するために採用したインボード式のディスクブレーキも、FF-1の理想主義を象徴していた。

 それに対して、消費者の大型・高級化志向とともに、米国の排出ガス規制という逆風下で送り出されたレオーネ。車体を大きくして、かつサスペンションシステムもブレーキシステムも、一般的なタイプになっていた。

 スタイリングも、華美なものを好む市場の傾向を反映して、パワフルな感じがするロングノーズ化。車体のバリエーションもまずクーペが発表され、追ってセダン(4ドアと2ドア)やハードトップ、そしてエステートバン(ステーションワゴン)が加わった。

 スバルを作っていた富士重工は売れ行きのことは当然考えたが、いっぽうで自動車メーカーとしてのブランドをどう構築するかにも心をくだいた。結果が水平対向エンジンで、重心高を低くして良好な操縦性に寄与するこの形式をいまにいたるまで守っている。

 レオーネは大きな市場を見ただけに逆に個性が乏しくなるという二律背反性の解決に手こずった。ブレイクスルーは72年発表の4WD車エステートバンである。

 75年にはセダンにも水平対向エンジンと4WDシステムの組み合わせを広げたが、なにより、のちの大ヒット、レガシィにつながるツーリングワゴンという独自のジャンルの開拓に成功したエステートバンの功績は大きい。

 個人的にはマイナーチェンジしたクルマは、オリジナルより醜くなるという持論がある。しかしこのレオーネは例外だ。マイナーチェンジでヘッドランプの隣りにウィンカーとポジションランプを設けるなどしたことで、好ましい個性が出た。

 当初の4WDは荒っぽさがあり、オフロードで使う四駆というイメージが強かった。米国や日本で販路を広げていく過程で、メカニズムは洗練されていった。スバルは自分たちが育てたクルマだという自負を持つファンが少なからずいるのは、そういうわけである。

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PROFILE

小川フミオ(おがわ・ふみお)

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クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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