1万円から始める草食投資

なぜ自分の会社が嫌いでも転職しないのか? “投資家思考”で仕事を考える

  • 2017年7月10日

  

 投資知識ゼロのライター・藤田が、実際に投資するまでの奮闘記をつづるこの連載。前回は、“投資”とは、お金のことだけではなく、自分の大切な時間をどう使って、どんなリターンを得るかという壮大な概念だと学びました。そして、フリーランスの筆者が実は投資家的思考をしていたということがわかり……。

教えてくれるのは「草食投資隊」のお三方!

渋澤健・草食投資隊長男
中野晴啓・草食投資隊次男
藤野英人・草食投資隊三男
藤田佳奈美・投資知識ゼロのライター

サラリーマンは安定重視の「預金思考」、フリーランスはリスクありの「投資家思考」

中野 藤田さんの世代だと、会社勤めの友人も多いと思いますが、その人たちの生き方は「預金思考」。藤田さんは「投資家思考」。その違いは「安定感」や「確実性」です。会社勤めの人の場合、一定の時間働いて、決まった給料をもらうという安定感や確実性があります。藤田さんの場合は不安定で不確実。ちょっとサボると収入は下がる。でも、チャレンジしていけば大きな収入が得られるかもしれない。その不確実性がいわゆるリスクです。

 リスクと聞くと悪いイメージがあるかと思いますが、単なる“変化の幅”だと思ってください。ご友人のサラリーマンはリスクが少ないけど、藤田さんは比較的リスクが高い。でも、それだけ大きな果実を得る可能性も、他の友人よりあるわけです。

渋澤 「リスク=悪」ではなくて、リスクとは確実性の問題なのです。ということは、取るべきリスクもたくさんあるかもしれない。例えば、自分の身を何としてでも守りたいなら、自宅で引きこもっていれば確実性は高い。だけどそれでは誰とも会えないから、安全ではあっても、自分が得られるリターンは多くないかもしれない。自宅でYouTuberとして稼ぐことはできるかもしれないけど(笑)。つまり投資は、自分が取っているリスクに対するリターンを総合的に考えるべきものです。

藤野 サラリーマンにもリスクはあります。どんなに安定している会社に勤めていても、倒産する可能性はあるし、リストラされてしまうかもしれない。

 多くの人は「変わること」を悪だと思っています。例えば、日本では自分の会社が嫌いな人が多い。あるアンケートでは、「自分の働く会社を信頼しているか」「社員の組織貢献・愛着度」という項目で日本は世界の中で最も低い水準でした。それでも日本人がそこで働くのは、「やめること(=変化)は悪」だと考えているから。

 変化を受け入れる気持ちが重要です。会社員からフリーになった藤田さんの収入には幅があるかもしれないけれど、頑張ればよい生活ができる可能性ができた。その変化を、良いと考えるか悪いと考えるか。それが投資という世界を考えるときに、とても大切で大きな概念なのです。

  

渋澤 もう一つ大事なポイントとして、日本人はリスクに目をふさぎがちな傾向があります。「自分が70歳になった時世の中はどうなっていると思うか」と質問された時、不安を感じながらも何とかなるだろう……と考える人が多くないでしょうか。しかし、それはリスクの存在を無視しているだけです。私は、最近の20〜30代、つまり藤田さん世代で顕著な傾向だと考えています。

中野 結局、どんな仕事を選択するかは、自分の生き方の価値観そのものを表現しているのです。多くの人がサラリーマンを選ぶ理由は、安定した生活のためだと思います。これまでの日本人に圧倒的に多かった志向ですね。私は、生き方をフリーランス的にしようと提案したいです。お給料が減ることがあるかもしれないけれど、新しい出会いや予想を超えた楽しさが待っているかもしれない。この連載を読んで、それを考えてみるきっかけにしてほしいです。

藤野 また、よくあるのは、本当は今の仕事も自分で選択して入社したはずなのに、知らないうちに「働かされている」という意識を持ってしまうことです。転職して別の企業に行く選択肢もあるはずなのに、具体的な検討はせずに、ただ今の職場に文句を言うだけなのは、自分の人生の選択肢を意識しないで生きているのと同じこと。すごくもったいないと思います。

 会社員だけじゃない。フリーランスでも嫌な仕事ばかり受けて、報酬もそんなに高くない。そんな状況が続くかもしれません。でも、今いる場所や、今いる会社、今付き合っている人は全部自分で決めたことであり、すべて変えられます。幅広い選択肢の中で、自分が選んだ結果としての今を自覚する。それが投資家への道です。

渋澤 この連載の読者が全員フリーランスにならないといけないとは思いません。サラリーマンでいいのです。いいのですが、頭の中をフリーランス的にして、生活費の中で浮いたお金で賢いリスクをとる方が、将来の見えない漠然たる不安に対する準備ができると思います。

中野 日本人の多くは、将来の不確実性への不感症になっていないでしょうか。不安に思うからこそ、危機感を持って動けます。不安を持たないと思考停止になってしまいますよね。これは今の日本全体に言える話ですよ。経済大国だし、「このままずっと大丈夫でしょ」と思考停止してしまっている。お金の分野でそれを表しているのが、みんなが一生懸命にしている「預金」なんです。

藤田 私はフリーランスで働いているから投資家的生き方をしているはずなのに、お金のことに関しては預金するくらいしかしていません。お話を聞いていて、そこがちょっとチグハグしているのかなと思い始めました。

長期投資を勧める活動をしている「草食投資隊」のメンバー。中野晴啓さん(左)、渋澤健さん(中央)、藤野英人さん

中野 今までは“気づき”がなかったからですね。日本で生きていくことに、不安に思ったりしませんか?

藤田 あまり思わないですね。

中野 それはなぜ?

藤田 ニュースで海外の経済状況を見ていると、日本は安定しているのかなと思ってしまうからです。

渋澤 それは、見たくないところは見ていないからですね。メディアの報道もあまり時間を割いていないですしね……。

中野 でも日本にも、少子高齢化の進行や年金や社会保障など、たくさん問題がありますよね

藤田 それは確かにそうですけど……。いずれ自分の身に降りかかることだとわかっているのに、今現在では危機感を持っていなくて、それに対して何かリスクヘッジをしているかというと、していないのが現状です。

渋澤 日本の将来に対して危機感を感じることが、すぐには投資に結びつかないかもしれませんね。思考停止にはならないように、でも気楽に投資について考えてみてください。

将来の不確実性に備えて、あなたはどんなリスク回避をしてますか?(relif/gettyimages)

 貯金や節約をしてお金を使わないことが、将来のリスクヘッジになっていると思い込んでいた筆者。でもそれは、保守的で受動的な“預金思考”だったことがわかりました。将来の不確実性を考えるならば、預金だけで安心しないで、しっかり“投資思考”を働かせ、自分の未来と向き合いたいと思います。その手段として、投資があるみたいですが……詳しくは、次回を乞うご期待!

(写真・産屋敷光孝)

<渋澤さんプロフィール>
渋澤健・しぶさわけん
1961年生まれ。草食投資隊長男。
コモンズ投信株式会社 取締役会長
シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役
公益財団法人渋沢栄一記念財団 理事

<中野さんプロフィール>
中野晴啓・なかのはるひろ
1963年生まれ。草食投資隊次男。
セゾン投信株式会社 代表取締役社長
公益財団法人セゾン文化財団 理事
NPO法人元気な日本をつくる会 理事
一般社団法人投資信託協会 理事

<藤野さんプロフィール>
藤野英人・ふじのひでと
1966年生まれ。草食投資隊三男。
レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長・最高投資責任者(CIO)
明治大学非常勤講師、東証アカデミー・フェロー

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