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NOと言われた米国スタイルのショーが成功 アマゾンは日本のコンテンツを変える?

  • 2017年7月24日

『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』シーズン3 キービジュアル(c)2017 YD Creation

 私たちが日々楽しみ、消費するコンテンツ。その中でも映像分野は、ストリーミングサービスの普及によって、その“つくられ方”が大きく変わりつつある。

 去る6月28日、東京ビッグサイトで開催された「コンテンツ東京2017」で語られたアマゾンジャパンの戦略は、まさにそうした状況の変化を如実に示していた。

 アマゾンジャパンのAmazonプライム・ビデオ コンテンツ事業本部長ジェームズ・ファレル氏の講演は、題して「Amazonプライム・ビデオの日本・アジア戦略 20本を超える日本オリジナル作品から学んだこと」。年間プラン3900円、ないしは月間プラン400円(ともに税込)で「Amazonプライム」の会員になることにより、音楽配信などと合わせ、映画やテレビ番組が見放題になるサービスは、2007年に開始されて以降、人気を博している。

 アマゾンだけでなく、NetflixやHuluなどストリーミングサービス各社は、国内外のテレビドラマやアニメ、映画を配信している。しかし、それだけでは既存コンテンツの奪い合いとなり、ユーザーの側も、どのサービスに登録すべきかの判断材料に乏しい。そこで、各社は競って独自コンテンツの制作に乗り出している。

コンテンツ東京2017で講演するAmazonプライム・ビデオ コンテンツ事業本部長ジェームズ・ファレル氏

人気バラエティ『ドキュメンタル』はシーズン3放送決定

 アマゾンは、日本でもすでに20を超える番組を独自に制作、配信している。松本人志がセレクトした芸人たちによる“密室での笑わせ合いサバイバル”こと『ドキュメンタル』は、オリジナルコンテンツでも最も人気のバラエティとなり、8月2日からシーズン3が放送される。

 そのほか、世界的に人気の恋愛リアリティー番組『The Bachelor』の日本版『バチェラー・ジャパン』、人気特撮番組のリブート/オリジナル版である『仮面ライダーアマゾンズ』、ディーン・フジオカを主演に迎え、結婚をテーマに据えたドラマ『はぴまり~Happy Marriage!?~』、『クレヨンしんちゃん外伝』シリーズといった人気作品が並ぶ。

 そろいつつあるラインナップについて、責任者としてファレル氏は以下のように述べる。

「これらのコンテンツのリストを見ると、視聴者はそれぞれにまったく異なることがお分かりいただけると思う。男性だけ、女性だけをターゲットにするのではなく、お子さんも含めて、たくさんの方々を対象にしている。映像のニーズは非常に多様だ」

 新作にも意欲的に取り組んでおり、この6月からは、園子温監督のドラマ作品『TOKYO VAMPIRE HOTEL』の配信を始めた。また、米本国のアマゾンが制作したコンテンツが日本で人気を集める例もある。交響楽団の“舞台裏”を描く『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』、刑事小説の雄であるマイクル・コナリー原作の『BOSCH/ボッシュ』などだ。

インドでも独自コンテンツを展開

 アマゾンは、2013年に進出したインドでも、この7月10日より『INSIDE EDGE』というオリジナルドラマの配信を始めた。ドラマの題材は、インドの国民的スポーツであるクリケット。ファレル氏が講演で話した「どの場所においても、そこで一番メジャーなものは何なのかを考えている」という言葉通りだ。グローバル資本によるローカル独自のコンテンツは、もはや珍しいものではなくなってきている。インドの例としての『INSIDE EDGE』に触れながら、ファレル氏は、今後も日本オリジナルのコンテンツを増やしたいという思いを込めて、会場に集った聴衆に呼びかけた。

「映像の企画というものは、映画化をするのがいいアイデアもあれば、このように(ストリーミングサービスのオリジナル・コンテンツとして)シリーズにしたほうがいいアイデアもある。後者の場合は、ぜひアマゾンにもってきて、相談してほしいと思っている」

7月11日から放送が始まった剛力彩芽さん主演『フェイス―サイバー犯罪特捜班―』キービジュアル

ストリーミングならではの演出・表現は受け入れられるか

 もちろん、課題もある。今田耕司と東野幸治の2人の芸人が出演するアマゾンジャパンのオリジナル・バラエティー番組『今田×東野のカリギュラ』は、地上波では禁じられた企画書の数々を実現するという過激なテーマ設定で人気を集める一方、「ホームレスインテリクイズ王決定戦」という企画では、倫理性をめぐって賛否両論を引き起こしている。『TOKYO VAMPIRE HOTEL』では、ヴァンパイア同士の戦いという物語の世界設定上、残虐なシーンが随所に登場する。地上派のテレビ放送では自粛されていたかもしれない流血の演出もためらいなく使われている。

 既存コンテンツ、特にテレビ番組との差別化がどのように図られるかは、視聴者がそれらの独自コンテンツをどう評価するかによって決まっていくだろう。

 こうした動向を踏まえて聞くファレル氏の次の言葉は、実に示唆に富んでいる。

「カスタマーの皆さんは何が好きそうか、そしてどうしたらその期待を破れるか、ビックリさせられるかを、いつも考えている。『メジャーなUSAスタイルのデートショーには興味がありますか?』とカスタマーに聞いたら『NO』と言われたが、やってみたら成功した(注:『バチェラー・ジャパン』のこと)。新しいものを取り入れていくことも必要。こうした実験は、いつも成功するわけではない。教訓を得ながら、『Be Better』(よりよい)、『Be Different』(他のサービスにはない個性的な作品を提供し)、『Stay Mainstream』(本流でありつづける)というヴィジョンを胸に刻み、コンテンツに向き合っている」

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(文・ライター 宮田文久)

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