マッキー牧元 エロいはうまい

<37>色気滴るレバーもやし炒め/ファイヤーホール陳

  • 文・写真 マッキー牧元
  • 2017年8月3日

新鮮レバーもやし炒め

  • 新鮮レバーもやし炒め

  • 火鍋

  • 加藤ポーク

  • ギョーザ

 世の中には、色気とは関係がない料理がいくつかある。

 「レバニラ炒め」は、その代表格ではないだろうか。

 どちらかというと男っぽい料理で、女性はあまり頼まない印象がある。

 頼む人は、「レバニラでも食べるか」という消去法的注文はせず、「レバニラ食べるぞお」と、鼻息を荒くしながら注文をする。

 こいつで酒を飲むというより、白飯をかき込むといった方が正しい料理でもある。

 だから色気はない。

 頭脳労働より肉体労働が似合う。

 涼しげな気分より、汗が似合う。

 しかし世の中は深い。食材を吟味した結果、今までにはないレバニラが誕生した。

 正確にはニラではなく、もやしと九条ネギを使った「新鮮レバーもやし炒め」であるが、十分にレバニラの系譜である。

 運ばれてきても、見た目には色気はない。

 だが、食べるとどうだろう。

 レバーは、臭みなどみじんもなく、歯と歯の間で、くにゃりとしなやかに身をよじらせて、ほの甘いエキスを滴らせる。

 ハツ(心臓)も入っていて、こいつはシコッと痛快な歯応えを残し消えていく。

 「生きてるぜえ」と、レバーとハツが口の中で叫ぶ。

 それに応えるように、もやしとネギがシャクシャクと弾む。

 そのやり取りがなんともいい。

 レバーの優しさを野菜が引き立て、なんとも色気を感じさせるのである。

 これも新鮮な内臓が直送され、その日のうちに使った、この店であるからこそ生まれた色気なのである。

    ◇

「ファイヤーホール陳」
東京都品川区東五反田1-25-19
TEL : 03-6450-3384

 今年できたばかりの火鍋屋。昼のランチで登場する「新鮮レバーもやし炒め」は、特別な取引による「プレミアム加藤ポーク」の新鮮きわまりない、レバーとハツを使う。それぞれの加熱も精妙。また、かんだ瞬間に肉汁が飛び出す、肉あんの魅力に満ちた大きなギョーザも魅力。また火鍋の辛いスープは、自家製発酵豆板醤(とうばんじゃん)をベースに四川省の香辛料(豆板醤、豆豉、唐辛子、山椒など)を合わせて作り、辛くないスープはシンガポール四川飯店より逆輸入した『肉骨茶』をベースに生薬の当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、党参(とうじん)、熟地黄(じゅくじおう) を配合した、体に優しいスープ。

 日本のかつお節と昆布でとった出汁と中華の鶏がらスープをブレンドしてダイコン、豚肉、ニンニクを入れて1時間沸かしてから、生薬を入れて1時間炊いて味付けしている。

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PROFILE

マッキー牧元(まっきー・まきもと)タベアルキスト&味の手帖編集顧問

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1955年東京生まれ。立教大学卒。年間幅広く、全国および世界中で600食近くを食べ歩き、数多くの雑誌、ウェブに連載、テレビ、ラジオに出演。日々食の向こう側にいる職人と生産者を見据える。著書に『東京・食のお作法』(文藝春秋)『間違いだらけの鍋奉行』(講談社)。市民講座も多数。鍋奉行協会顧問でもある。

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