本音のマイホーム

メリットを感じにくいマンションの管理費

  • 山下伸介
  • 2017年8月2日
  • 共用部の手入れ費用も管理費に含まれる

[PR]

 先日、ある住宅会社の人から聞いたのだが、最近は、マンションに住むと管理費や修繕積立金が毎月かかることを嫌がる人が多いそうだ。マンションと一戸建てを比較検討するときに、マンションを敬遠する大きな要因になる人も少なくないらしい。そういう人は昔からいないわけではないが、長引くデフレで所得が伸びにくい世の中が続いたことで、コストに神経質になる人が増えているのかもしれない。

 何事もコストがかかることには、必ず「対価」となるメリットがついてくる。どうしても欲しいものや絶対に必要なことには、いかに不景気であっても代金やサービス料を払うのに疑問を感じる人はいないはずだ。それなのに、管理費や修繕積立金を払うのを嫌がる人が多いということは、それらを払うことで得られる対価がわかりにくいのだと思う。

 修繕積立金は文字通り建物を修繕するための費用で、対価が「建物の維持」であることは容易に理解できる。一戸建ても長く住めば修繕費はかかり、一戸建てに30年程度住んだ場合にかかる修繕費用の総額と、マンションの修繕積立金30年分とでは、ほぼ同程度かかるという調査結果もある。要は、毎月徴収されるか、自分でためるかの違いでしかない。

 対価がわかりにくいのは管理費のほうだ。一般にマンションの管理費には、「共用部」の清掃費や電気代、エレベーターや給水、空調など機械設備の保守点検、植栽の手入れ、管理員の人件費などが含まれる。こう書き並べれば「そういうもの」だとは誰でも思うだろうが、その価値をリアルに理解できる人はどれだけいるだろうか。

 実は、筆者がマンションの管理費の「対価」を実感したのは、マンションから一戸建てに住み替えてからだ。マンション時代には「誰かがやってくれる」ので意識したこともなかった生活上の作業が、一戸建てに住むとすべて自分に降りかかってきたのがきっかけだ。

 たとえば、毎年のことだが7月に今年3回目になる目隠しの植栽の手入れ(伸びすぎた枝葉の刈り込み)をしたのだが、廃棄物は大型のゴミ袋四つ分になった。夏場は特に大変で、蚊に数カ所刺されながら約3時間、汗まみれの作業だ。専門業者に頼めば1回2~3万円程度はかかるので、3回頼めばマンションの管理費の数カ月分に相当する。

 また、自宅の道沿いに小さなゴミやたばこの吸い殻がポイ捨てされていたり、ペットのふんが残されていたりすることも珍しくない。放置するわけにもいかないので、それらを掃除する作業が日常的に発生する。お金には換算できないが、「マナーが悪い人の後始末」という理不尽な作業は、心情的にやるせないものがある。

 これらの作業に費やす時間、心理的負担は、マンションに住めば一切発生しない。そうした生活の便利さが管理費の対価なのだと、気づかされたわけだ。「発生しないこと」の価値はわかりにくいが、マンションの管理費は払うだけの対価を間違いなく得られるというのが筆者の実感だ。

 さらに付け加えると、一戸建てでは地域のゴミ出しルールが厳格で、種別によって曜日や時間が決まっているが、マンションなら24時間365日ゴミを出せる物件が多く、ゴミ置き場を住人が清掃する必要もない。これも管理費の対価の一部だ。

 マンションの管理費は、物件にもよるが首都圏の平均で月々約1万4000円。生活の便利さを得るコストとして、決して高くはないと筆者は思うが、いかがだろうか。

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

山下伸介(やました・しんすけ)エディター&ライター

写真

京都大学工学部卒。株式会社リクルート入社。2005年より週刊誌「スーモ新築マンション」の編集長を10年半務める。これまで優に1000名を超える住宅購入者、検討者の実例を見てきた経験から、損得では語れない住まい選びの勘所に詳しい。2016年に独立し、住宅関連テーマの編集企画や執筆、セミナー講師などで活動中。一般財団法人住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー運営委員(2005~2014年)も務めた。ブログはこちら

今、あなたにオススメ(PR)

Pickup!