銀座・由美ママ 男の粋は心意気

自分の心のあり方が言葉をもやさしく、美しく磨いていく

  • 文 伊藤由美
  • 2017年8月10日

  

  • 銀座「クラブ由美」オーナーママ・伊藤由美

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 「言葉は心の鏡」という言葉があります。「言葉遣いにはその人の心や人柄が自然と表れる」ということですね。日々の会話の何げない話し方で、その人の印象が大きく変わります。日頃から身勝手な言葉を口にしていれば「あの人は他人の気持ちを思いやることができない人」という印象を持たれます。また、人を軽視するような言葉を使っていると「人を傷つけても平気な人」「プライドが高くて傲慢(ごうまん)な人」という印象を与えます。たとえ本人にそのようなつもりはなくても、そう受け取られてしまうのですね。

 お店の常連のお客さまから「僕は人とお付き合いをするとき、どんなにくだけたカジュアルな場でも、使わないように気をつけている言葉が三つある」というお話をお聞きしたことがあります。その三つとは「女性のことを『オンナ』と呼ばない」、「お金のことを『カネ』と言わない」、「相手のことを『オマエ』と呼ばない」でした。

 オンナという呼び方は、女性を下に見ているイメージがあり、配慮に欠ける。カネという言い方は、お金を軽んじているイメージがあり、不誠実で信用のない印象を与えてしまう。オマエという呼び方は、乱暴で高圧的なイメージがあり、自分勝手で横柄という印象を与えてしまう。相手を傷つけ、誤解を与えかねない言葉なので、使わないように心掛けているとのことです。

 言葉は最もベーシックなコミュニケーション・ツールであり、言葉遣いはそれを使うためのスキルですよね。私のような接客の仕事も、会話を通じたお客さまとのコミュニケーションが何より重要であることは言うまでもありません。

 ですから言葉遣いひとつが、その人の印象や人間関係、そして人生をいかようにも左右する。大げさではなくまさにそうだと、私は考えています。先ほどのお客さまのお話は「気持ちのよい会話、感じのよいコミュニケーションをするには、相手の気持ちを慮(おもんぱか)って言葉を選ぶことが大切」という教えなのだと思います。

 言葉が心の鏡ならば、言葉を美しくするために、まず心のありようが大切になってくるのは道理ですよね。相手を下に見ない。愚弄(ぐろう)しない。偏見を持たない。相手の気持ちを考え、お互いが気持ちよくやり取りできるように心を砕く。こうした自分の心のあり方が、言葉をもやさしく、美しく磨いていくのではないでしょうか。

 言葉遣いは、相手への心配りです。「あの人ともっと話をしたい」。そう思ってもらえるような“言葉の粋人”になりたいものですね。

 次回は8月24日の配信を予定しています。

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PROFILE

伊藤由美(いとう・ゆみ)銀座「クラブ由美」オーナーママ

写真

東京生まれの名古屋育ち。18歳で単身上京、クラブ「紅い花」に勤務。その後、19歳で「クラブ宮田」のナンバーワンに。さらに22歳で勝新太郎の店「クラブ 修」のママに抜擢される。1983年4月、23歳でオーナーママとして「クラブ由美」を開店(2013年に30周年を迎えた)。15年11月に「シャンパーニュ騎士団」より叙勲、オフィシエ(将校)を女性経営者として初叙任。著書に『スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人』『銀座の矜持』(共にワニブックス)、『粋な人、無粋な人』(ぱる出版)、『記憶力を磨いて、認知症を遠ざける方法 銀座のママと脳神経外科医が語る、記憶の不思議とメカニズム』(ワニ・プラス)などがある。また、女優の杉本彩さんが理事長を務める「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva(エヴァ)」の理事も務め、動物愛護活動をライフワークとする。

BOOK

「できる大人は、男も女も断わり上手」(ワニブックスPLUS新書) 銀座「クラブ由美」オーナーママ 伊藤由美 著

 銀座「クラブ由美」オーナーママ 伊藤由美
「はっきりNOと言えればこんなに楽なことはないけれど」。誰しもが日常感じていることであろう。銀座で35年間にわたって一流クラブのオーナーママを務めてきた著者は「長年、政財界で活躍するお客様と接してきて感じるのは、できる人は男女ともに、断わり方がお上手だということです」と語る。また、お店で働く数多くの女性たちを見てきて、断わり上手な女性の方が長いスパンでお客様の信頼を獲得できることも感じてきたという。ビジネスから恋愛まで、著者が接客のプロとして大切にしてきた、今すぐ使える、角の立たない「お断わりの作法・技術」。

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