&30

酷評から成功へ転じたFFXIV、P兼Dの吉田直樹さん「よしだあああぁ」を語る

  • 2017年8月28日

『ファイナルファンタジーXIV』のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹さん

 『ファイナルファンタジーXIV(FFXIV)』という多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム(MMORPG)をご存じだろうか。スクウェア・エニックスの人気ファンタジーRPGシリーズの一作で、最近ではドラマ「ファイナルファンタジーXIV光のお父さん」(毎日放送制作)に登場した。プレイヤーは、自分のキャラクターのレベルを上げて装備やアイテムを集め、仲間と4人、8人などパーティーを組んでモンスターやダンジョンに挑む。現在、プレイヤー数は全世界で1000万人(※)。北米のプレイヤー数が最も多く、世界規模で遊ばれているタイトルだ。定期的なアップデートによって、遊べるコンテンツが加わったり、内容が修正されたりすることが特徴のひとつ。

 しかし、この『FFXIV』は、2010年にサービス開始したものの、その操作性の悪さやゲーム内容のまずさをプレイヤーやメディアに酷評された。そこで、サービスは継続させつつ、ほぼすべての要素を一から作り直して2013年8月に再スタート(新生)させた異色の歴史がある。

 その「新生」を指揮したプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹さんは、ライブ配信やイベントで積極的にプレイヤーの前に登場し、開発状況や次に公開するコンテンツを直接説明。ある意味で、ゲーム内の登場キャラクター以上にプレイヤーの人気を集める稀有(けう)な存在となっている。

 SNSが普及し、ネット上で利用者側が情報や意見を積極的に交換する今の時代に、どのように最新のMMORPGを運営しているのか。吉田さんに聞いた。

※日本・北米・欧州・中国・韓国の5リージョンの累計アカウント数。フリートライアル版のアカウントを含む。

ファイナルファンタジーXIVのゲーム画面。プレイヤーはモンスターと戦ったり、釣りや採掘、アイテムの製作をしたりと色々な遊び方ができる

ゲーム内での名前の連呼「開発者として幸せ」

――多くのプレイヤーが、ゲーム内で何かが起きると「よしだあああああーっ」と叫んでいます。時には開発者に全く責任がないことでも。これは、他に例がないほど、プレイヤーと吉田さんの距離が近くなったからこそだと思いますが、現状をどう感じていますか。こうした状況を狙っていたのでしょうか。

 いいえ、もちろん、狙ってできることではないです(苦笑)。本来、サービス業とは、サービスを主催している側の人間の顔は見えなくていい。サービスの質や便利さそのもので勝負するべきだからです。今回のFFXIVの事象は、特異な状況から生じた特殊な事例だと思っています。

 現状について、個人、会社、プロジェクト(=FFXIV)の三つの観点からお話しします。まず、個人的には、ゲーム開発者として大変幸せなことだと感じています。ただ、今も以前も同様ですが、ゲーム開発者として、正直あまり表に出たいとは思っていませんでした。元々、僕自身が調子に乗りやすい性格であることはわかっていましたし、ライブ配信に出たり、雑誌で色々お答えしてしまうと、どうしても盛り上げる発言ばかりしようとして、怒られてしまうタイプ。こうならないように、この点は今でも特に気を使っている部分です。

 次に会社の観点です。日本特に年齢が高い世代には、ゲームについて、映画や音楽に比べて遅れてきたエンターテインメントと低くみる風潮があると感じます。そんな状況下でも、少しずつゲーム開発者も注目を集めるようになってきました。そうした人材が会社にいることは、人を採用する上でも、会社をPRしていくうえでも有効です。

 最後に、プロジェクトの観点では、FFXIVは普通ではない歴史をたどったタイトルなので、ライブ配信など、開発からの情報発信も含めてひとつのエンターテインメントになったという点で、やって良かったと考えています。いずれにしても、極めて特殊な状況だなとは思いますので、他のビジネスや事象の参考にならない気がしますね(笑)。

  

特殊な事情で始めた、丁寧な情報発信

[PR]

――そもそも、積極的な情報発信を決めた理由を教えていただけますか。

 『旧FFXIV』がスタートした当時、スクウェア・エニックスは、僕から見ても、どこか外部に対して高飛車なところがある会社でした。『旧FFXIV』が大きな苦境に立たされ、プレイヤーやメディアのみなさんから批判されていたときも、きちんとそれに応えるそぶりは見えず、全方位的に信頼を失ってしまいました。そこで、まず最低限の信頼をいただくために、「新たな開発体制の目指すコンセプトはこうです」、「問題だと考えているのはこの部分で、次はここを修正していきます」などを丁寧に発信することが必要と考えました。それを約束として、ひとつずつ守っていくことで、信頼関係を新たに築かせていただこうと思ったわけです。

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

今、あなたにオススメ(PR)

Pickup!