私の一枚

中島美嘉、不安だらけのライブを支えてくれた仲間たち

  • 2017年8月14日

今年5月、プレミアムライブツアーに臨んだ中島美嘉さん(中央)。左は海老沼崇史さん、右は河野伸さん

  • 泣きたい時は一緒に泣く、心の隙間を埋めるアーティストでありたいという中島美嘉さん

  • 8月9日にリリースした自らのルーツとなる名曲をカバーしたアルバム「ROOTS~Piano&Voice~」

[PR]

 私のライブを支えてくれるミュージシャンのお二人です。左がベーシストの海老沼崇史くん。5年前からのメンバーですごく努力家です。そして右がピアノを弾いてくださる河野伸さん。デビュー以来約16年間ずっと一緒で、私の歌い方の癖も何もかも心得ていて、「ここでピアノの音を減らすと声がひき立つ」というようなことを常に考えてくれる。伸さんなしではライブができないほどで、いつも彼のスケジュールを押さえてから、ツアー日程を決めています。

 実はデビューしてから30歳を過ぎるまでライブがとても不安でした。もともと歌うことは好きでしたが、自信があったわけではなく、歌手としてデビューすることになったきっかけも、知人が作った曲に、私が「仮歌」で吹き込んだデモテープをその方がレコード会社に送ったところ、担当者が「この子連れてきて」といってくださって、あれよあれよという間にステージに立っていた、という感じでした。

 「どう歌ったら正しいのか」を常に悩み、ライブは不安と恐怖の気持ちがずっとありました。でも伸さんを中心としたサポートメンバーやファンの方たちがいつも盛り上げてくれ、ここ数年はようやく開き直れて、ライブを楽しめるようになってきました。

 現在、私のライブは二つのスタイルがあります。一つは以前からやっているホールでのライブ。こちらは衣装や演出、パフォーマンスのすべてをショーとして提供したい。もう一つはアコースティックスタイルで行う100人規模のプレミアムライブ。こういう表現がいいのか分かりませんが「集団セラピー」のような意識でやっています。大人になると普段はなかなか泣いたり怒ったり、感情をあらわにすることが少なくなってくる。私自身もそうですが、みんな日ごろは我慢しているだけだと思うんです。このライブはそういう感情を全て解き放てる場にしたい。抱えていたものを置いて、すっきりして帰ってほしい。お客さんそれぞれの思いを私が受け取る、それが私の使命かなと最近思うようになりました。

 ライブ後の打ち上げにはちょっと顔を出すくらいで、あとは事務所のスタッフとホテルの部屋で静かにお弁当を食べます。私がいるとメンバーたちに気を使わせてしまうかなという思いもあって……。人に気を使わせるのが苦手なんです。

 また大音響で仕事をした後は、できるだけ静かな環境で仕事モードをオフにしたい。普段も家ではできるだけ無音の環境で暮らしています。音楽をかけていると「この音はこんな風に作っているのかな」など、すぐに仕事モードになってしまう。「眠れるCD」も音の作り方が気になって眠れなくなってしまうんです(笑)。

    ◇

なかしま・みか 歌手。1983年、鹿児島生まれ。2001年10月ドラマ「傷だらけのラブソング」のヒロインに起用され、その主題歌「STARS」で歌手デビュー。翌年、日本レコード大賞最優秀新人賞をはじめ、数々の新人賞を受賞。多くのヒット曲やアルバムを発表し、意欲的に活動中。

◆8月9日に中島美嘉さんの新アルバム「ROOTS~Piano&Voice~」がリリース。初の全新録音源収録のカバーアルバムは、これまで自身が様々な形で影響を受け、「中島美嘉」をかたち作ってきた「ルーツ」となるアーティストの名曲をセレクトした。盟友、河野伸のピアノアレンジで、近年力を入れているアコースティックスタイルでのパフォーマンスをほうふつとさせる渾身(こんしん)の作品。玉置浩二「メロディー」、スピッツ「空も飛べるはず」、小柳ゆき「あなたのキスを数えましょう」、中島みゆき「命の別名」、桑田佳祐「祭りのあと」など全8曲。初回限定盤(昨年末の台湾での初ワンマンライブを収録したDVD付)3240円、通常盤2268円(いずれも税込み)。

「プレミアムライブでの歌をプロデューサーがそのまま残したいといってくださり、新たに一発どりで録音しました。私に歌うことへのきっかけや喜びを与えてくれたアーティストの方への尊敬と愛情をこめて、歌わせていただきました。プレミアムライブは1回に100人ほどの規模なので、その雰囲気が伝わるアルバムを多くの方に聴いていただけたらうれしいです」

(聞き手:田中亜紀子)

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

今、あなたにオススメ(PR)

Pickup!