キャンピングカーで行こう!

キャンピングカーの冷蔵庫って、どうなってるの?

  • 文 渡部竜生
  • 2017年8月23日

ヨーロッパ製トレーラーの冷蔵庫の一例。容量は90リッターとコンパクトで冷凍庫はナシ。(画像提供=インディアナRV)

  • クラスCキャンピングカーの冷蔵庫。冷凍・冷蔵の2ドアで合計170リッターとなかなかの容量があるので、一週間ほどの旅でもまかなえる

  • 冷やすのになぜか火が燃えている? 気化吸熱式冷蔵庫のバーナー部分。ずっと燃え続けているわけではなく、消費ガス量もわずかなので、カセットガスでも結構もつ

  • 冷蔵室内にファンを取り付けると“冷え”がよくなる。市販のファンもあるが、器用な人ならこうしてPC用のファンなどを自分で取り付けることも可能

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 実にバリエーション豊富なキャンピングカーですが、本格的に「家」としての機能を充実させるとなると、キッチン周り、特に家電は気になるもの。その最たるものが、冷蔵庫ではないでしょうか。旅先で新鮮な魚介を買いたい(持ち帰りたい)! とか、本格的な料理をしたい。なんていうとき、冷蔵庫(冷凍庫)は非常にありがたいツールです。今回はキャンピングカーの冷蔵庫がどんな風にできているか、ご紹介したいと思います。

「冷える」方式は大きく二つ!

 キャンピングカーに搭載されている冷蔵庫は、冷やすための方法論によって大きく2種類に分けられます。

■気化圧縮型(コンプレッサー方式)

 一般的な家庭用冷蔵庫で多いのがこの方式です。モーターでコンプレッサー(圧縮機)を駆動して、冷媒を圧縮、それを循環させることで庫内を冷やします。モーター式ですから、動力源は電気です。

メリット
 立ち上がりが早い。スイッチを入れてから、冷えるまでにかかる時間が比較的短いのが特徴です。庫内の大きさにもよりますが、数十分あれば、買った要冷蔵食品を十分保管できる冷たさになります。

デメリット
 モーターを使うため、消費電力が大きいこと。電気でモーターを回すにはどうしても大きな力が必要です。また、モーターの運転音が気になる方もいらっしゃるかもしれません。家庭用冷蔵庫は、昔に比べれば防音も行き届いて静かになりましたが、キャンピングカーに取り付けるようなサイズでは、なるべく軽量かつコンパクトに作られているため、昔ながらの作動音のするタイプが多いのです。

■気化吸収型

 液体を熱することで冷える、という、ちょっと複雑な方式を採用しているのがこのタイプです。肌をアルコール消毒すると、スーッとしますよね。あれが気化熱です。液体が気化するとき、物質の熱を奪う作用があり、それを利用したのがこの方式。液体アンモニアと水の入ったパイプを熱したり・冷やしたりを繰り返すことで、アンモニアの気化熱を利用して、庫内を冷やすしくみです。“熱する”には、ガスの燃焼か、電熱線を利用しています。そのため、動力源はガスまたは電気、となります。

メリット
 モーターのような可動部分がないため、運転音が静か。LPガスを燃やす・電熱ヒーターを使うなど、加熱方法が複数あるため、状況に応じて切り替えられる機種もある。

デメリット
 冷えるまでに時間がかかる。LPガス(またはカセットガス)を搭載しなくてはならない。

冷蔵庫に「2WAY」「3WAY」がある?

 さて、基本的方式は上記のとおりなのですが、その中にも2WAY、3WAYというのがあります。これは気化吸収型の冷蔵庫をさらに分類したもので、ガスと電気=2WAY、ガスと電気(直流12Vと交流100Vの両方可能)=3WAY、というわけです。もう少し詳しくご説明しましょう。

 まずは、キャンピングカーの電気について簡単に理解しておく必要があります。自動車に搭載されているメインバッテリーは、基本、直流12Vです。これはどの自動車にも、必ずついています。キャンピングカー特有のサブバッテリー(生活用のバッテリー)も、同じく直流12Vです。

 一方、建物の中にあるコンセントから引く電源。あれは交流100Vです。一般的な家電製品(冷蔵庫、掃除機、洗濯機など)はすべて、交流100Vで動く仕様になっています。

 では、キャンピングカーでそうした交流100V用製品を使うには、直流12Vから交流100Vを作らなければなりません。それには方法は三つ。

1.外部電源につなぐ(キャンプ場やRVパークなどに用意されている電源から)。
2.発電機(ジェネレーター)を回して交流100Vを発電する。
3.バッテリー(直流12V)から電気を引き、インバーターを通して交流100Vに変換する。

1.は、最も手っ取り早くて手軽ですが、電源のある場所でなければ使えません。
2.は発電機を持ち歩く必要があります。環境によっては騒音がでるので、その場合は使えません。
3.は手軽ではありますが、変換ロスが発生しますので、もっとも効率は悪くなります。

 これらを前提に、2WAY、3WAYを考えてみます。

■2WAY冷蔵庫

 外部電源や発電機から手に入れた交流100Vを優先。外部電源や発電機がない場合は、ガスを燃焼させてアンモニアを加熱。冷蔵庫を冷やします。プロパンガスを搭載するアメリカ製・ヨーロッパ製にはよくある方式で、国産の場合はプロパンガスの場合と、どこでも入手できるカセットガスを使用した車両もあります。

■3WAY冷蔵庫

 通常は、2WAYタイプ同様、交流100Vが優先的に使われます。が、外部電源が得られない、発電機が回せないなどの際は、ガスに切り替えれば問題ありません。電源もない、発電機もない、おまけにガス欠! そんなときには、最後の手段としてバッテリーの直流12Vを直接使う。これが3WAYのしくみです。

キャンピングカーの冷蔵庫 賢い使い方

 おおよその仕組みやタイプごとの違いはご理解いただけたでしょうか。冷蔵庫が選べるわけではないのですが、ご自分のクルマについている冷蔵庫を理解していかに上手に活用するか。それが大切だと思うのです。

 キャンピングカーの冷蔵庫についてよく聞くお悩みが「冷えない!」というもの。家庭用冷蔵庫に比べれば、確かにパワー不足な面は否めません。が、実はちょっとした工夫で、それを補うことはできるのです。

工夫1.冷やす時間を長めにとる

 出発直前にスイッチをいれても、なかなか冷えません。特に気化吸収型は立ち上がりが弱いので、なおさら早めにスイッチをオンにしておくのがおすすめです。できるならば出発前日からスタートしておきたいところ。また、冷やし始めの段階で、凍らせた保冷剤を庫内に入れるのもコツ。より早く冷えます。

工夫2.なるべく冷えた物を入れる

 家庭用の冷蔵庫に比べて、サイズの小さい冷蔵庫だとすぐに庫内の温度が上がってしまいます。あらかじめ冷やしておいたとしても、常温の食品を次々入れてしまうと、冷やす効率は下がってしまいます。持っていくものはあらかじめ、家の冷蔵庫で冷やしておくと、ロスがありません。旅先で買い物する際も、なるべく冷やされたものを買うようにしましょう。

工夫3.冷気の循環を

 冷蔵庫の詰めすぎがよくないのは、家庭用もキャンピングカー用も同じ。ついつい詰め込みがちですが、冷気の通り道を確保するためにも、適度にすき間を設けましょう。できれば庫内にパソコン用などの小さいファンを取り付けると、冷却により効果的です(市販の庫内用ファンもあります)。

工夫4.排熱をチェックする

 何かを冷やせば、当然、そこで取り除いた熱をどこかへ排出しているはず。キャンピングカー用の冷蔵庫には、車外に排熱するタイプ・車内に排熱するタイプの両方があります。ご自分の愛車の冷蔵庫がどのタイプかを確認し、きちんと排熱できているかどうかをチェックしましょう。排熱のためのルーバー部分に小さなファンを取り付けると、より効率よく熱を逃がすことができます。

 「冷蔵庫はほとんど使わない」「ビールを冷やすだけ」という人もいれば、旅の日数分、メニューを決めて食材を持参する(現地で調達する)という人もいます。食材を安全に保管するという大切な役割を担う冷蔵庫。時にはきちんと冷えているかどうかチェックして、万全にしておきたいものです。

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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