中村江里子 パリからあなたへ

華やかなイメージの「パリ」の残念な治安

  • 文&写真 中村江里子
  • 2017年9月5日
  • 車の運転中、バッグは助手席の足元に置きます。子どもたちが横に乗っている時も膝に置くことはなく、見えにくい場所へ。コートやマフラーなどを置いて車を離れる時はトランクに入れるのが良いかもしれません

  • バスの中に貼られているステッカー。公共の場でのスマートフォンの使用に注意を促しています。日本語でも書かれています。実際にスマホに触れている人の割合は日本に比べて少ないと思います

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 先日、東京に約10年間住んでいたフランス人ファミリーがパリに戻ってきました。久しぶりに会った時のことです。混雑している小さなお店に入る際、赤ちゃんを乗せたベビーカーを外に置いたまま入っていきました。お店の中から外の様子が見えるとはいえ、何が起こるかわかりません。「アマンディーヌ、ここは日本じゃないのよ。赤ちゃんを一緒に連れて行かないと」。買い物は数分でしたが、要注意です。日本の生活に慣れてしまった友人は「日本が懐かしい」と言っていました。

 日本から来た知人とカフェで会っていた時のこと。スマートフォンをテーブルの上に置いたまま、化粧室に行ってしまいました。私はその場にいるので、もちろん彼女の荷物を見ていることはできますが、もし私がいなかったら……。「バッグやスマホなどを置いたまま席を離れないでね。席にいても、自分の荷物から目を離してはダメよ」

 そして、友人とオペラ座の近くにいた時です。前にいた女の子の集団が、スリではないかと感じました。彼女たちが狙っているのは日本人女性のグループのようです。私は思わず走り出し、そのグループに声をかけました。「みなさんの後ろにいるのはスリの集団かもしれないので、気を付けてくださいね」。私も過去に被害にあい、何度か目撃していることもあり、行動や目つき、歩き方で何となくわかるようになったのです。

 華やかなイメージのパリ。こうして生活をしていても、日々「パリって美しい」と感動しています。でも残念ながら、治安は日本に比べると良くないのです。スリや置き引きの被害は多く、観光客にとってもせっかくの旅行が嫌なものになってしまいます。特に駅構内や電車の中は注意が必要です。私は、地下鉄に乗る時には「私は気を付けていますよ!」というアピールをするかのように、バッグを胸の前で抱えています。何度か「狙われている」と感じたこともありますが、そういう時はさらにしっかりと抱え、隙をみせないように意識します。

 車の運転中は、助手席にバッグを置きません。外から簡単に見える場所に貴重品を置くのは禁物です。助手席・後部座席の足元、あるいはトランクに入れます。

 日本を訪れたフランス人の友人たちが、興奮気味に話してくれました。「置き忘れたバッグを1時間後に取りに戻ったら、まだそこにあったの!」「タクシーに忘れたスマホを運転手さんが届けてくれた!」「日本は物がなくならない国ね!」。友人たちの日本愛は、ますます高まっています。フランスも、いつかそのようにいわれる日がくることを願っています。

 次回は9月19日の配信を予定しています。

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PROFILE

中村江里子(なかむら・えりこ、Eriko Barthes)

写真

1969年東京都生まれ。立教大学経済学部卒業後、フジテレビのアナウンサーを経て、フリー・アナウンサーとなる。2001年にフランス人のシャルル エドワード バルト氏と結婚し、生活の拠点をパリに移す。妻であり、3児の母でもある。現在は、パリと東京を往復しながら、テレビや雑誌、執筆、講演会などの仕事を続ける。2016年には「フランス観光親善大使」に就任。著書に『エリコ・パリ・スタイル』(マガジンハウス)、『ERIKO STYLE暮らしのパリ・コラージュ』(朝日新聞出版)、『女四世代、ひとつ屋根の下』、『マダムエリコロワイヤル』(ともに講談社)、新刊『ERIKO的 おいしいパリ散歩』(朝日新聞出版)と多数。

BOOK

「中村江里子のデイリー・スタイル セゾン・ド・エリコ」(扶桑社) 中村江里子 著

中村江里子のデイリー・スタイル セゾン・ド・エリコ

 丁寧に、楽しく素敵に暮らす日々をご紹介。特集はパリのマルシェ。パリの八つのマルシェの魅力をご案内。サプライズイベント「ホワイトディナー」や、日本で取材したファッション企画や合羽橋めぐりも必見! 見応え、読み応え十分の一冊です。

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