密買東京~遭遇する楽しみ

漫画が奏でる音楽!? 「紙巻きオルゴール漫画」

  • 2017年9月7日

誰でも知っている“あれ”と、漫画の組み合わせ。それはもう発明といっていいほど、新しい楽しさ(撮影・田中由起子)

 誰もが見たことのある、小さな装置。ハンドルをクルクル回せば、ポロリポロリと、透明感のある音を奏でます。これはオルゴールなのですが、皆さんが知っているそれとは、きっと違う物。なぜかというと、このオルゴールだけでは音を鳴らすことができないからです。

 よく見ると、上の部分に平たい口があり、ここに“あるもの”を挟んで、つまみを回すと、耳慣れたあの音色が流れ出すのです。その“あるもの”とは、穴の空いた紙の帯。幅4センチほどの紙を差し込むと、回転によって紙が吸い込まれ、通過する穴の位置に合わせて音が出る、という仕組みです。

ご存じのオルゴール。でもこれだけでは音が鳴りません

 ここまでで「ほほーっ」という感じでしょうか。だけど驚くのはここからです。実はこの紙の帯には、漫画が描かれているのです。その名も「紙巻きオルゴール漫画」。

 コマを送るように、スルスルと進む漫画に合わせて、オルゴールが奏でる曲も進んでいき、目で漫画を追いながら耳では音楽、と二つのメディアが、ゆるく融合しています=マルチメディア(?)。それを自分の手(アナログ)で操作、というのがなんとも楽しい体験です。動画を再生するのとは全く違って、これは想像以上にハマります。

穴の開いた紙の帯を挟み、ハンドルを回すと、穴の位置に合わせてオルゴールが鳴る、という仕組み

 「密買東京」のサイトで紹介しているのは、11人の漫画家による全13種。“漫画とオルゴールの融合”といっても、その方法は大きく2タイプに分けられます。一つは、既にある曲にのせて漫画を描いたもの。もう一つが、この「紙巻きオルゴール漫画」のために曲から作ってしまったものです。

 後者の一番分かりやすい例が、下の写真にある、ふかさくえみさん作の「蒼海ドロップス」。音を指定する穴の位置と漫画との関係をよく見ると、あることに気付くはずです。それは穴が漫画の絵の一部になっている、ということ! つまり、この漫画は穴がなければ成立しません。

 漫画の中で図として意味を持っている穴が、そのまま楽譜として音の高さやタイミング、数などを決めることになる。だから文字通り“漫画をオルゴールで演奏する”ということになります。

ふかさくえみさん作の「蒼海ドロップス」。音を出すための丸や星の形の穴が、漫画の中でも絵の一部になっています

 他にも気になる存在が、「DJまほうつかい」として音楽活動もされ、注目を集めている西島大介さんの作品。2012年に発表された本『すべてがちょっとずつ優しい世界』から派生したもので、今回のために作られたオリジナル作品となっています。『すべてがちょっとずつ優しい世界』の音楽バージョンともいえる内容です。

 本の中で重要なモチーフだったオーロラの形は、この漫画では穴で描かれています。これも、ふかさくえみさんの作品と同じ手法。つまり音と漫画の融合による表現なのです。

西島大介さんの「last summer」。真ん中にうっすら見えている点線で切って、帯状につなげてオルゴールに通します

 “漫画を奏でる”この商品。実はこのオルゴールを使った、もう一つの楽しみ方があります。オルゴールには、譜面のように線が印刷された帯が付いています。付属の小さな穴あけパンチで、この紙の帯に穴を空けることで、曲を作ることができるのです。「作曲」というと、ちょっと大げさな気もするけれど、これは紛れもなく作曲です。

 またゼンマイ式のオルゴールとは違って、手で回すので速さが一定になりづらいところも、不思議な魅力のひとつ。ちょっとした揺らぎが、心地良い響きを生み出します。

左がオルゴールに付属する小さな穴あけパンチ。それを使って、五線紙のように線の入った紙に穴を空け、曲を作ります

 さて、では曲を作ってみようか、と譜面のような紙と向かい合うものの……。音楽を勉強した人ならスラスラと作れてしまうのかもしれないけれど、なかなかそうもいかないという人もいるはずです。

 でもまずは1枚、無駄にするつもりでテキトーに穴を空けてみます。すると、これがなかなかどうして、何も考えずにやっても意外と曲っぽくなっちゃいます。「あれ? 才能あった?」きっと、そんな気持ち良い錯覚にはまるはず。

 実は、それには理由があって、もともとこのオルゴールにセットされているのが、ピアノでいう白い鍵盤の音だけなのです。だから音が重なっても濁りにくいのだそう。小さい子どもから大人まで、これはかなり楽しめそうです。

「密買東京」では、11人の漫画家による全13種の「紙巻きオルゴール漫画」を紹介しています。子どもから大人まで、きっとお気に入りの作品を見つけてもらえると思います

 この「紙巻きオルゴール」を展開している『trois』の杉山 三さんは、自身でもオルゴールの紙に絵を描いた作品を発表し、ワークショップなども展開してきました。わずか15音と、4センチほどの幅。そんな制限の中だからこそ、音楽の知識や、絵の技術がなくても、表現しやすいのかもしれません。

 そんな紙巻きオルゴールに注目したのが、「mieru record」として、漫画と音楽の融合を目指す活動をしていた、石崎孝多さんと萱島雄太さん。

 石崎さんは以前「Only Free Paper」というフリーペーパー専門店をやっていたときに、密買東京にも登場してくれた人。萱島さんは漫画家として作品を発表し、紙媒体にとらわれない発表形態や表現に挑戦。その先進的な活動は、「文化庁メディア芸術祭」を始め、コンテストなどでも数々の賞を獲得しています。

 まさに出会うべくして出会った三者による企画。今後も詩や写真など、異なる分野の表現との融合を模索したいと語る杉山さん。そして、「mieru record」も漫画の新しい表現領域を探求していくといいます。そんな活動も含めて注目したい、この「紙巻きオルゴール漫画」です。

(文・写真 千葉敬介)

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