銀座・由美ママ 男の粋は心意気

<最終回>誰からも素直に教えを乞うことができる謙虚な姿勢

  • 文 伊藤由美
  • 2017年9月7日

  

  • 銀座「クラブ由美」オーナーママ・伊藤由美

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 職場の部下や年下の人から、教えを乞うことがありますか? パソコン、スマートフォンの使用方法・設定の仕方や、最近話題になっていることなど。自分が知らないという状況は、往々にしてあります。

 そんなとき、とくに仕事で経験を積み、実績を残している人ほど「人に聞く」ことに気が引けてしまうもの。「若い人に教えてもらうなんて」というメンツや「今更こんなことを聞くのは恥ずかしい」という自尊心が邪魔をして、素直に「教えて」と言いづらいのです。でも、わからないことを聞くのは、恥ずかしいことでも、プライドが傷つくようなことでもないですよね。

 先日、お客さまからお聞きしました。仕事で成功を収め、確固たる地位を築かれた高名なある経営者のことです。その方は偉くなられても「頭を下げて教えを乞う素直な心」、いくつになられても「知らないことを学ぼうとする姿勢」をお持ちの素敵な“粋人”と知り、感銘を受けました。

 「下問を恥じず」という言葉があります。これは『論語』にある一節ですが、下問とは「自分より立場や地位、年齢の低い人にものを尋ねること」を言います。つまり「自分が知らないこと、わからないことは、プライドや体面などを気にせず、立場や年齢が下の人にも素直に聞けばいい。教えを乞うてみればいい」ということ。日本にも「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざがありますよね。大切なのは誰からも学ぼうとする姿勢、素直に教えを乞うことができる謙虚な姿勢なのです。

 さて、この連載コラムですが、今回が最終回になります。これまでさまざまな角度から「大人の粋な立ち居振る舞い」とはどういうものか、私なりの考えを記してきました。そもそも粋とは何なのか。私はこう考えます。粋とは、元来は「意気」という言葉に由来しています。ならば、粋とは見た目や所作のスマートさだけを指すのではなく、根源的な「心のあり方」のことなのではないかと。

 常に相手のことを慮(おもんぱか)り、周囲への心配りができる。そうした相手本位の心のあり方、心意気こそが、粋だと思うのです。その心意気次第で、誰もが粋人になることができるはず。私も粋人に近づくために、自分の心を磨いていきたいと思います。ご愛読いただきまして、ありがとうございました。

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PROFILE

伊藤由美(いとう・ゆみ)銀座「クラブ由美」オーナーママ

写真

東京生まれの名古屋育ち。18歳で単身上京、クラブ「紅い花」に勤務。その後、19歳で「クラブ宮田」のナンバーワンに。さらに22歳で勝新太郎の店「クラブ 修」のママに抜擢される。1983年4月、23歳でオーナーママとして「クラブ由美」を開店(2013年に30周年を迎えた)。15年11月に「シャンパーニュ騎士団」より叙勲、オフィシエ(将校)を女性経営者として初叙任。著書に『スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人』『銀座の矜持』(共にワニブックス)、『粋な人、無粋な人』(ぱる出版)、『記憶力を磨いて、認知症を遠ざける方法 銀座のママと脳神経外科医が語る、記憶の不思議とメカニズム』(ワニ・プラス)などがある。また、女優の杉本彩さんが理事長を務める「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva(エヴァ)」の理事も務め、動物愛護活動をライフワークとする。

BOOK

「できる大人は、男も女も断わり上手」(ワニブックスPLUS新書) 銀座「クラブ由美」オーナーママ 伊藤由美 著

 銀座「クラブ由美」オーナーママ 伊藤由美
「はっきりNOと言えればこんなに楽なことはないけれど」。誰しもが日常感じていることであろう。銀座で35年間にわたって一流クラブのオーナーママを務めてきた著者は「長年、政財界で活躍するお客様と接してきて感じるのは、できる人は男女ともに、断わり方がお上手だということです」と語る。また、お店で働く数多くの女性たちを見てきて、断わり上手な女性の方が長いスパンでお客様の信頼を獲得できることも感じてきたという。ビジネスから恋愛まで、著者が接客のプロとして大切にしてきた、今すぐ使える、角の立たない「お断わりの作法・技術」。

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