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ニコ生、YouTubeを超えるか ゲーム配信プラットフォーム“Twitch”の日本戦略

  • 2017年9月25日

twitichの画面

 ゲーム実況中継の配信を中心に世界でユーザーが増えているソーシャルビデオプラットフォーム「Twitch」が、日本市場への本格進出を目指している。今月、日本支社設立を発表し、21日から始まった東京ゲームショウでも2年連続となる単独出展をした。

 Twitchは2011年、ゲームのライブストリーミング配信に特化したプラットフォームとして、アメリカで誕生した。公開されているデータによると、毎日1千万人近くのアクティブユーザーと、月間220万人のコンテンツクリエイター(配信者)がいる。ピーク時には、サイト全体で200万人以上の閲覧者がいる巨大なプラットフォームだ。

 主要ゲーム会社の多くが自分のTwitchチャンネルを持っており、ユーザーによるゲーム実況が積極的に推奨されている。巨額の賞金が動くe-Sportsのイベントにも力を入れる。最近では、アーティストが自らの制作している姿を配信する「クリエイティブ」や、動画型ブログの「IRL(In Real Life)」といった新たなカテゴリーを設けたり、日本アニメの一挙放送のような新たな取り組みも行っている。

twitchコンテンツ部門シニア・ヴァイス・プレジデントのマイケル・アラゴン氏(右)と、日本オフィス代表のレイフォード・コックフィールドⅢ世氏

 ただし、日本でもすでにニコニコ生放送(以下、ニコ生)やYouTubeを使ったゲームのライブストリーミングや動画配信は盛んに行われている。Twitchはそれら既存のプラットフォームに勝負を挑むことになる。

 東京ゲームショーに合わせて来日したTwitchのコンテンツ部門シニア・ヴァイス・プレジデントのマイケル・アラゴン(Michael Aragon)氏と、新たに設立された日本オフィス代表のレイフォード・コックフィールドⅢ世(Raiford Cockfield Ⅲ)氏が、&Mをはじめ日本メディアのインタビューに応じた。両氏に、進出の狙いと、Twitchが今後目指すものについて聞いた。

――なぜ日本に本格進出することにしたのか。

マイケル・アラゴン(以下アラゴン) 日本はゲーム文化発祥の地であり、多くのゲームメーカーやクリエイター、そしてユーザーがいる特別な市場だ。その場所でTwitchのプレゼンスを示したかった。

 Twitchの使われ方を見ても、日本でのチャットのコメント数は過去3年にわたって毎年2倍の成長を遂げている。その伸び率は、世界でも3位(1位は韓国)で、とても重要な市場だ。

――Twitchはグローバル展開しているが、日本語版へのローカライズは進んでいるのか。

レイフォード・コックフィールドⅢ世(以下コックフィールド) まさに着手したところだが、日本支社に専門のスタッフを置いて、米国の本部に日本のユーザーの特性を伝えてローカライズを進めている。将来は「Twitchってアメリカで生まれたサービスだったんだ、日本で始まったプラットフォームだと思っていた」と日本の皆さんに思ってもらえるぐらい徹底的にローカライズを進めたい。

アラゴン そして、グローバル展開しているからこそ、日本のユーザーにとって、世界を相手に発信し、マネタイズする機会を提供できると考えている。例えば、日本人のゲーマーが、自らのプレーを有料配信することで生活できるようになり、世界大会に挑戦できるようになるかもしれない。Twitchはさまざまな可能性を生み出すことができる。

twitchの日本戦略について語るアラゴン氏

――ニコ生やYouTubeなど既存サービスとどう差別化を図っていくのか。どれぐらいのシェアを目指すのか。

アラゴン どちらも強力な競争相手だと認識している。しかし、Twitchのポリシーとして、他のサービスがやっていることを追随はしない。あくまでも、ユーザーの希望を聞いて、取り入れてサービスを改善していくプラットフォームを目指すのが我々のポリシーだ。

 twitchの特長は、ユーザーがコミュニティを構成しやすい機能を備えていることと、配信者がマネタイズしやすい仕組みを持っていることだ。視聴者は仮想アイテムであるビッツを購入して、ビッツを使って配信者にCheerを贈る。すると、配信者の収入となる。配信者は、さまざまなグッズを販売することもできる。視聴者は、クリエイターを育てることができるのだ。

 配信者と視聴者の「相互作用(interaction)」こそ、他のプラットフォームになくてTwitchが得意にしている点だ。私たちは、絶えずユーザーの意見を取り入れつつ、日本でもNo.1を目指したい。

――日本では、ゲームをするデバイスとしてスマートフォンが大きなシェアを占めている。Twitchは米国で生まれたこともあり、比較的PCのユーザーが多いプラットフォームだが、スマホ対応をどう考えているのか。

コックフィールド 確かに、世界の中でも、日本を含む東・南アジアはモバイルが強い市場だ。私たちも、モバイルで配信、視聴がしやすいアプリの開発に力を入れている。

アラゴン モバイルが中心となった時代に適応するには、まったく新しいプラットフォームを作り出すつもりでいないといけないだろう。

twitchが日本生まれのプラットフォームと勘違いされるレベルまでローカライズを進めたい、と話すコックフィールドⅢ世氏

(取材/文・&M編集部、写真・和田咲子)

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