1万円から始める草食投資

投資ビギナーにオススメの“株式”を長期投資するといいワケ。

  • 2017年9月26日

 投資知識ゼロのライター・藤田が、実際に投資するまでの奮闘をつづるこの連載。これまで投資の概念や、日本人に多い預金バカの傾向などについて学びました。前回は、投資の王道は「債券」と「株式」であること、前者は機械的で他人事として考えがちなのに対し、後者は生き物のようで当事者でいられることから、投資ビギナーには株式がオススメであることがわかりました。今回は、そんな株式について深掘りしていきます!

  

教えてくれるのは「草食投資隊」のお三方!

渋澤健・コモンズ投信取締役会長 草食投資隊長男
中野晴啓・セゾン投信代表取締役社長 草食投資隊次男
藤野英人・レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 草食投資隊三男
藤田佳奈美・投資知識ゼロのライター

株式投資と投資信託ってどんなこと

中野 子どもに「株ってなに?」と聞かれたら、藤田さんは何て答えます?

藤田 え〜っと、企業を応援すること、でしょうか?

中野 株とは、“藤田商店”を開く時の元手です。元手を出してくれた人に株を渡します。藤田商店は、その元手を使いビジネスを始める。株を買うという事は、経済活動に参加する事。そこにロマンがあるのです。

渋澤 そして、投資はいつも同じ色・同じ服でそろえる必要はありません。株式でも債券でも、何に投資するかは自由に選べます。そこで、投資では「リスク分散」が大切なキーワードとなります。

藤田 なるほど、初めてやる人も分散して投資すべきなのでしょうか?

中野 例え話で説明します。藤田さんが僕たち3人からデートを申し込まれるとします。藤田さんは、車を持っている人とデートしてドライブできたらいいな、と思っていたけれど、3人ともお金が無くて1人では車を買えない。そこで3人は、お金を出し合って中古車を1台買うことにしました。その結果、藤田さんは違う3人と、同じ車を使ってデートすることになった。

 藤田さんには、車でデートできたというリターンがあり、僕たちは、一人では無理だった藤田さんとデートするという目標を達成できた。つまり、みんなでお金を持ち寄って分散投資してリターンを得た。これが投資信託です。

渋澤 シェアリングエコノミーと同じですね。

  

藤田 なるほど。投資信託ってどれぐらいの人数を集めてやるものですか?

中野 規模はそれぞれです。何万人と集めるものもあります。大切なのは、目的を一緒にしているということ。「僕たちはこんな運用がしたいです」と呼びかけて、同意した人が集まるのが、本来の投資信託の理想の姿です。

渋澤 僕は“場づくり”が大事だと思っています。ここ(編注:取材場所の東京証券会館1F)っておしゃれなカフェじゃないですか。昔はご老人しか来なかったけど、ここにこういうカフェを作ると、違う年代、ジャンルの人もやって来る。投資も同じで、いろんな人や視点が集まってくる。

中野 投資信託はコミュニティです。同じ価値観を持った人を集める場。“ゼロサム”って言葉をご存知ですか? 椅子取りゲームって必ず誰かひとりがあふれて、最後にはひとつの椅子を取り合う。これが究極のゼロサムです。誰かが勝った時は、誰かが必ず損をしている。投資もこれだと思っている人が多い。

 株式投資はゼロサムではなく“プラスサム”です。元手の資金を株という形で出すのが投資家。企業はいいものをつくり、会社の価値を上げる。その価値がリターンとなって投資家に返ってくる。

藤田 自分も一緒に企業を盛り上げている気になれそう。

一同 そうそう!

藤田 ひとりで数字とにらめっこするのが投資かと思ってました。

中野 藤田商店の価値を生み出すためには時間がかかりますよね。だから長い目で見て投資する。それが長期投資ですね。

  

投資信託を始めるためには何が必要?

藤田 では投資信託を始める最初のアクションはどうしたらいいですか?

渋澤 いい質問ですね。スマ―トフォンを買うなら量販店とかキャリアショップで買いますよね。それと同じで、まずは証券会社、銀行、我々のような独立系信託会社のように直販のどこかで口座を開設しなければなりません。その時には、いろんな書類が必要です。銀行預金と違って、元本が減る可能性があるから、自分の意思でリスク要因があることを理解していることを証明する書類と、自身の身元を証明する書類、そして、マイナンバーという納税番号がそろって、はじめて口座を作ることができる。

 「投資する目的はなんですか?」なども書かなければいけない。積立投資だと、取引している銀行にも書類を提出する必要があります。単純な手続きなので淡々とやれば良いのですが、答えなければならない項目が多くて、残念ながら挫折する人もいます。

中野 次に投資先選びですが、投資信託だけでも約6000本あります。そして、その中には、「相場で勝負」とか「今すぐ儲かるのはこれ」のようなギラギラしたものも多いです。

  

投資するファンドの選び方は

藤田 それでは何を基準に選べばよいでしょうか?

藤野 長く存在しているかどうかが重要ですね。運用残高の推移をチェックしてみるといいでしょう。新規設定されたときにはたくさんお金を集めるのに、その後はお客様の解約が続く一方、というファンドが多いのですが、そんな状況ではまともな運用成績を上げることはできません。償還期限付きの投資信託もそもそも長期投資には向いていませんね。毎月お客様が増えていくようなファンドがよいと思います。

 長期投資にふさわしいものは何か、マネー誌や経済誌、本などで特集されているものを参考にするといいですよ。

渋澤 長期で考えると株式は有利です。株価が上がったり下がったりしながらも、企業が持続的に価値創造できれば業績は最終的に上がっていく。短期的に見ると下がったら嫌だから売っちゃうけど、もっと長い目で見ることが大事で、それが長期投資です。短期的に見れば売りと思うかもしれませんが、長期的に見たら買いだったりするケースがたくさんあります。

 高齢者になった時に始めると、リカバリーのチャンスがあまりないから、今まで築いた資産を固めるために債券の割合を高める傾向にありますが、若いうちから始めれば、リカバリーできる。「100−年齢=株式の割合」と考えてみるとよいかもしれません。

中野 今の時代は、60歳で始めても、あと30年くらい時間がありますよね。

渋澤 こう、説明的な話をすると、途端につまんなくなってきちゃう(笑)。藤野さん、また寝てない?(笑)

藤野 私は株式に投資する投資信託のファンドマネージャーなので「投資が仕事」なわけですが、毎日発見だらけでとても楽しいです(笑)。例えば今日、建設機器のフィルターについて、こんな話を聞きました。A社のフィルターは半年で真っ黒になって交換が必要。B社製品は半年たっても真っ白。B社製品を買った人たちは、最初は半年経ってもまだ使えると喜んでいたけど、真っ黒にならないということは、吸い取っていないのだと気づき、みんなA社製品に乗り換えたそうです。A社の製品は性能がよくてたくさん吸い取るということです。これを聞くと、A社を応援したくなりますよね。投資することで、利益を得るだけでなく、会社の中身を知ることができて、社会やビジネスについて知識が得られることも、投資の魅力です。

中野 投資っていうと、「こんなに値上がりします!」のような相場の話を信じて動くけど、それは結果論で出てくるもの。もっと実体経済の中で、ビジネスを支えて、例えばA社がフィルターを作るための支援ができる。それが本来の投資のあり方です。

渋澤 「わからないから何もしないでおこう=預金する」っていう発想はだめ。わからないからこそ、少しずつ投資して行動してみて理解していけばいいんです。行動しながら学ぶ。投資で一歩踏み出すって、そういうことなんじゃないですかね。

               ◇

 投資はお金儲けだけではなく、応援したい企業の経済活動を支え、自分の経験値を増やし、人生を謳歌するための手段なのだと感じた今回。それもこれも行動した者しか味わえない、人生を豊かにするスパイス。さて、次回はどんな話を聞けるのやら。今から楽しみな藤田でした。

  

(撮影・産屋敷光孝)

<渋澤さんプロフィール>
渋澤健・しぶさわけん
1961年生まれ。草食投資隊長男。
コモンズ投信株式会社 取締役会長
公益財団法人渋沢栄一記念財団 理事

<中野さんプロフィール>
中野晴啓・なかのはるひろ
1963年生まれ。草食投資隊次男。
セゾン投信株式会社 代表取締役社長
公益財団法人セゾン文化財団 理事
NPO法人元気な日本をつくる会 理事
一般社団法人投資信託協会 理事

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<藤野さんプロフィール>
藤野英人・ふじのひでと
1966年生まれ。草食投資隊三男。
レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長・最高投資責任者(CIO)
明治大学非常勤講師、東証アカデミー・フェロー

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