中村江里子 パリからあなたへ

<最終回>「パリ」という響きは魔法の言葉

  • 文&写真 中村江里子
  • 2017年10月3日
  • 遠くから見ても、下から見上げても美しいエッフェル塔。イベントなどによって、夜はライトアップの色が変わります

  • 16年前は和食店の経営は日本人以外の方が多かったのですが、今では多くの日本人シェフが和食だけでなくフレンチの世界でも大活躍。スーパーでお寿司(すし)も売られるようになりました

  • フランスの食を支えるマルシェ。私も野菜や果物の旬が分かるようになりました。生活に欠かせない大切な場所です

  • 夏の間はお休みになってしまう、大好きなマルシェのリンゴ屋さん。お客さんたちは好みの味を伝えて選んでもらっています。リンゴはここでしか買いたくない!というほど美味なのです

  • 日本では駐車する際に、車のバンパーをぶつけるようなことはありませんでした。パリではぶつけながら上手(うま)く駐車しますが、私は今でもぶつけないように気を付けています

  • 気分が悪くなってしまうような写真で申し訳ありません。このようなタバコの吸い殻は当たり前のようで、悲しくなってしまいます

  • 凱旋(がいせん)門です。この周りのロータリーは難しくて、いまだに運転することができません。時間がかかってもロータリーの外の道を走ります。「ここで停車してはダメ! 進め!」などと言われますが、やはり無理です

  • 昨年から車の登録年数などによりカテゴリー分けがされています。このステッカーを貼っていないと罰金です。大気汚染のひどい日は、そのカテゴリーによって走行できない車も。規制は増えますが、個々人が意識することも大切です

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 「パリ」という響きは、魔法の言葉のようだとよく話しています。「パリに住んでいる」と言うと、多くの方々の目がキラッと輝き、パリ旅行の思い出話で盛り上がり、話は尽きません。

 その一方で、異文化における適応障害の一種「パリ症候群」になってしまう方々もいらっしゃいます。パリを訪れたことにより、パリに住んだことにより、心が疲れ切ってしまうのです。憧れを持った20~30代の女性が罹(かか)りやすいと、フランスの新聞にも掲載されていました。

 私も、住み始めて3年目あたりで「あれ? 私、大丈夫かしら?」と思うほど、落ち込んだり、フランス語を話したくないという状態になりました。タクシーやカフェなどのお店でのサービスに愕然(がくぜん)とし、そのような態度をとられるのは、自分がフランス語をきちんと話せていないからなのではないか? 相手に何か失礼なことをしてしまったのではないか? と思ってしまうのです。でも、それは誰に対してもそうですし、日本のような笑顔のサービスを求めてはいけなかったのですね。すべてが時間通りに進まないことにもイライラせず、美しい街並みとともに、それもパリなのだと分かりました。

 パリに住んで約16年が経ちましたが、この間にいろいろなことが変わりました。以前は夜7時以降や日曜日は買い物をすることができませんでしたが、最近はスーパーは深夜まで、デパートは日曜日も営業しています。タクシーのサービスも改善され、メトロでは次の電車の時間が表示されるようになりました。

 パリ市内は市長が車の規制に力をいれているため、自転車レーンが増え、路上パーキングの料金は3倍に上がり、車の進入が禁止になった道路もあります。現在、電動アシスト自転車を購入する際には200ユーロ(約2万6000円)までの補助を受けられるといわれています。日頃、自転車で移動している夫は、その買い替えを考えています。2015年から始まった「車なしの日」も一部の地区だけでしたが、この10月からパリ市内全域で実施される予定です。

 マルシェで旬の食材を買ったり、昼間からビジネスランチでもワインを飲んだり、焼きたてのバゲットと美味(おい)しいハムとチーズの食事でも大満足だったり……。食の豊かさは変わらないでしょうし、日々の生活の楽しみ方は素晴らしいと思います。

 でも、ゴミやタバコの吸い殻を路上に捨てたり、犬のフンをそのままにしておいたり、時々、残念な気持ちになることもあります……。

 まだまだ新しい発見がありそうです。また皆様にご紹介できるよう、意識をもって生活していきたいと思っています。ご愛読いただきましてありがとうございました。

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PROFILE

中村江里子(なかむら・えりこ、Eriko Barthes)

写真

1969年東京都生まれ。立教大学経済学部卒業後、フジテレビのアナウンサーを経て、フリー・アナウンサーとなる。2001年にフランス人のシャルル エドワード バルト氏と結婚し、生活の拠点をパリに移す。妻であり、3児の母でもある。現在は、パリと東京を往復しながら、テレビや雑誌、執筆、講演会などの仕事を続ける。2016年には「フランス観光親善大使」に就任。著書に『エリコ・パリ・スタイル』(マガジンハウス)、『ERIKO STYLE暮らしのパリ・コラージュ』(朝日新聞出版)、『女四世代、ひとつ屋根の下』、『マダムエリコロワイヤル』(ともに講談社)、新刊『ERIKO的 おいしいパリ散歩』(朝日新聞出版)と多数。

BOOK

「中村江里子のデイリー・スタイル セゾン・ド・エリコ」(扶桑社) 中村江里子 著

中村江里子のデイリー・スタイル セゾン・ド・エリコ

 丁寧に、楽しく素敵に暮らす日々をご紹介。特集はパリのマルシェ。パリの八つのマルシェの魅力をご案内。サプライズイベント「ホワイトディナー」や、日本で取材したファッション企画や合羽橋めぐりも必見! 見応え、読み応え十分の一冊です。

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