キャンピングカーで行こう!

オフ会で聞いてみた“子供たちのキャンピングカーライフ”

  • 文 渡部竜生
  • 2017年10月4日

週末の河原に突如出現したキャンピングカー村。このオフ会には最終的にのべ34台のキャンピングカーが集まった(画像提供:高橋 光氏)

 見るからにおろしたてのキャンプ道具。テントやタープを張るのは説明書を見ながら、火をおこすにも悪戦苦闘。子供たちの「おなかがすいた!」の大合唱に「ごめん、ちょっと待って!」などなど。夏休みのキャンプ場でよく見かける風景です。

 スイッチ一つで電気もガスもつき、暑さ寒さとも無縁な現代の生活。一方、キャンプは不便の連続です。普段の生活の便利さ、ありがたさを実感するのに、確かにキャンプはよい勉強になるでしょう。

 「キャンプは子どもの情操教育や食育に役に立つ」。そんな思いでキャンプに挑戦する保護者の方も多いことでしょう。が、元から筋金入りのアウトドア愛好家ならともかく、親御さんにキャンプ経験がないと冒頭のようなことになります。

 さて今回は、キャンピングカーと子どもたちに注目してみました。神奈川県の某河川敷で大小30台以上が集まるオフ会があったので、「親子関係」にポイントを絞ってお話を聞いてみたのですが、子どもたちの話、なかなか奥深いものがありましたよ!

中井家の場合

■町内会のようなコミュニティー

 夫婦と3人の娘、5人家族で国産バスコン(エポック・ミュウ、RVビッグフット社)に乗っている中井基人さん(42)は、このキャンピングカーで2台目。キャンピングカー歴は6年ほどです。「おかげさまで毎週のようにどこかへ出かけているし、我が家にもしょっちゅう、キャンピングカー仲間が来ます。こういうオフ会に参加すると、いろんな方にも会えますしね」。

 キャンピングカーを通して知り合った仲間は実に多彩。住むところも、仕事も、年齢も家族構成も全く違います。「これに乗ってなかったら出会うこともなかったろうな、っていう人ばっかりです」。中井さんはこうした集まりと子どもたちの関係について「古き良き町内会に相当する」と分析します。「厳しいおじさんがいたり、優しいおばさんがいたりする。学校や習い事とは違う、同世代の友達もいるし、ここでしか会えないお兄さん、お姉さんがいる。よその人から叱られたり、ほめられたり、昔ながらの人のつながりがある」。

 長女の杏果ちゃん(10)に「キャンピングカーがあってよかった、って思う?」と聞くと、「はい!」笑顔で大きくうなずいてくれました。「部活よりも何よりも、キャンプに行った方が楽しいです。ここでしか会えない友達とも遊べるし」。

子供たちでハンドペインティング! 大人が木の幹を描き、そこから先は子供たちの独壇場! 手に足に水性絵の具を塗りたくって大はしゃぎ!

完成したカラフルな作品の前で「ハイ!ポーズ」。元気いっぱいの子どもたち

■子どもの自己管理に役立つ

 キャンピングカーで出かけるのが大好きな中井家の子どもたち。そこにはしっかり、子どもなりの「自己管理」があるようで……。

 高学年になってくると宿題や行事も多くて、大変なのでは? と聞いてみると「宿題は金曜日の早い時間までに終わらせます。日曜の夜、帰りが遅くなっても月曜日、すぐ学校に行けるように用意しておくから大丈夫!」。世のお父さんお母さんが聞いたら涙にくれそうな言葉です。「子どもにはずっと『やること終わらせないと、連れて行かないよ』って約束してるんです。近所におじいちゃん・おばあちゃんの家があるから、そこへ置いてくよ、と。お父さんもお母さんも仕事していて、月曜日からはまた仕事なんだから、お前たちも自分のことはきちんとしなさい、と」。

 それを受けて、出発前には宿題を終わらせ、月曜日の学校の準備も整えて旅にでるという中井家の子どもたち。「家に帰ったら洗濯物を出して、お風呂入って寝るだけ。ちゃんと準備できてたら、安心して遊びに行けるし」。

■生活経験が自然にできる

 キャンピングカーで出かけると、食事は車内での自炊や外食はもちろんですが、キャンプ場や河原で、バーベキューをするのも楽しいものです(隣近所のクルマからおすそ分けが回ってくることも)。 子どもたちはそれを横で見ていて、ときには火おこしや料理のお手伝いもしてくれます。

 「お父さんやお母さんが料理するのを見ていて、よかったなって思うこともあります」と杏果ちゃん。学校行事の林間学校や郊外活動で、自然に何をすればいいかわかり、体が動くと言います。「見ているとなんとなく覚えますし、手伝うのも楽しい。火があぶないとか、包丁はどう使う、とか。怒られもするけれど、学校の行事で他の友達が何もわからずに迷っているのを見ると『あ、キャンプしててよかった』って思います」。

 食べ物って大事なんだな……と、自然に思うようになったという杏果ちゃん。父親の基人さんは「毎日の生活を外へ持ち出すという非日常感が、きっと『当たり前の大切さ』を印象付けてるんでしょうね」と我が子の成長に目を細めていました。

若林家の場合

■買った当初はぶーぶー言われたけれど…

 以前、この連載にも出てもらったことのある若林さん家族(→「私がキャンピングカーを買ったワケ」(5))。

 今は新車に乗り換え、前の取材時に11歳と7歳だった子どもたち(長男:こう君、次男:そう君)も12歳と9歳になりました。中学生になったお兄ちゃんは学校行事が忙しくて今回のオフ会は欠席。ですが、相変わらず家族で出かけるのが楽しい模様。

 「初めてキャンピングカーを買ったときは、上の子が10歳、下の子が6歳ぐらいのころ。『出かけるよ』というとぶーぶー、文句を言ってましたね」と、母親ののり子さん。若林家では、お母さんがキャンピングカーに憧れていて購入したのだといいます。「子どもたちはゲームが大好きで。キャンピングカーが来る前は、休みと言えばショッピングモールに行ったりするのが定番だったんです。そうすると、おもちゃコーナーはあるし、ゲームセンターはあるし。けれど、キャンピングカーで出かけると、それがないもんだから……(笑)」

 そんな子どもたちも、今は……? とおもいきや、やっぱりキャンピングカーの中でも外でもゲーム! 「それでも、そういう文句は言わなくなりましたね。キャンピングカー仲間の友達も増えて、外遊びもすればゲームもできる。友達に会うのが楽しみみたいです」

■子どもには秘密基地感覚!

 子どもらしいなと感じたのは「キャンピングカー=秘密基地」になったこと、だというのり子さん。最初のころこそ、文句を言っていた子どもたちも、バンクベッド(運転席頭上に設けられた常設ベッド)の取り合いをしたり、どこかすみっこに潜んではごっこ遊びをしたり。「だんだん大きくなってきて、友達と遊ぶほうが楽しくなってきますよね。それで、今度は学校の友達を連れて行きたがるようになりました。友達のほうも『連れてってよ』っていうみたいです」

 誰とでもすぐ仲良しになるという、社交的な若林家の兄弟。キャンピングカーも彼らにとっては友達とのコミュニケーションツールになっているようです。

■親も子も発散できる

 次男のそう君(9)に「キャンピングカーがあってよかった、って思う?」と尋ねると、「思う!」と元気なお返事。その理由は「遅くまで起きててよくて、ゲームできるから!」とのこと。お父さんとお母さんは苦笑いです。が、そこにはちゃんと理由もありました。

 「家にいるとついつい、早く寝なさい、ゲームはやめなさい、ってなりますよね。でも、キャンプに出かけると新しい友達も遠くに住む友達もいる。遊びに事欠かないし、持っているソフトの貸し借りをしたりして、それはそれは生きいきと遊んでいます」(母:のり子さん)。

いつもだったら「寝なさい!」と言われる時間ですが……。暗闇の中、たき火をみつめる子、追いかけっこをする子、ゲームに興じる子。誰もが楽しそう

 「親も、友達が増えて楽しいし、ついつい夜更かしして遊びますよね。それに子ども同士で遊んでいるのを大人が誰彼、見ている。その安心感や解放感があって、家にいるときよりもゆるやかに、子どもの夜更かしやゲームも許してあげられる」(父:亮一さん)。

 前述したとおり、ゆるやかなコミュニティーを形成しているキャンピングカー仲間なので、自然発生的なセーフティーネットとしても機能しているようです。野山まで来てゲームするなら、出かけなくても同じじゃないか、とも思えますが、ゲームも子どもたちにとっては遊びのひとつ。コミュニケーションツールのひとつです。「親がのびのびと発散できる分、子どもたちも好きにできるのがいいんでしょうね」(亮一さん)。

■料理の手伝いも自然に…

 中井家同様、お手伝いも自然にするようになったという若林家の子どもたち。特に料理は好きなのだとか。

「大勢が集まるキャンプ大会は持ち寄りパーティーみたいなものなので品数は作りませんが、家族だけのキャンプでは3食、私たちが作ることになる。バタバタしているのを見て、自発的にお手伝いしてくれるようになって、長男なんて家でもやってくれるんですよ」とのり子さん。

 具体的には、食器や食材を出したり・しまったり、野菜を切ったり、という作業だとか。キャンピングカーに乗るようになってわかった、我が子の意外な一面だったのかもしれません。

 ストイックなアウトドア派の中には「キャンピングカーなんて便利で快適なものは、キャンプとはいえない!」なんておっしゃる方もいます。確かに、テントキャンプのようなワイルドさも少なく、サバイバル術も身につかないかもしれません。

 しかし、便利とはいえ、キャンピングカーの水も電気も家とは違って有限なもの。子どもたちも自然と節電・節水の必要性は実感するようです。また、車の中という限られた空間で過ごすのでコミュニケーションも半ば強制的。「どんなにケンカをしていても、一緒に寝て起きて、話さないといけないのが、かえっていい」という声もありました。

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 住むところも、仕事も、年齢も全く違う人々が『我が家』を持ち寄って集う、キャンピングカーの集まり。大人同士が楽しいだけでなく、子どもたちにとっても有意義な経験であることが伺えて、非常にうれしい取材となりました。

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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