小川フミオのモーターカー

美しさと軽量化思想が両立、アウディ「A2」

  • 世界の名車<第182回>
  • 2017年10月10日

軽量化のためアルミニウムを多用したボディー構造はアウディスペースフレームと名づけられた

 近年で衝撃的だったクルマは、アウディが多い。スポーツクーペのTTもそうだったが、1999年に発売されたA2にはもっとも驚かされた。

 全長わずか3.8メートルのボディーに、当時アウディが持つ最先端の技術が詰め込まれていた。

当時のアウディのセダンをスパッと切ったような大胆なスタイリング

 2005年まで生産されたが、セールスとしては「失敗」と位置づけられている。空力を徹底的に追求した結果もあり、犠牲になったものが少なくないせいだろう。

 室内はそんなに広くないし、パワーも瞬発力に欠ける。ひとによっては、スタイリングも魅力にとぼしいようだ。なのにいまでも根強いファンがいる。

 A2はアウディというメーカーの魅力を体現するクルマだったからだと思っている。それは企業の思想を製品づくりに結びつける姿勢だ。

全長3826ミリ、全幅1673ミリ、全高1553ミリ

 看板車種は燃料直噴1.2リッターディーゼルエンジン搭載の1.2TDI。

 車重は800キロ台と軽量。アルミニウム素材とともに、パーツの数や製法を徹底的に検討しなおして効率を追求したのが功を奏した。

 ウィンドシールドのガラスは通常モデルより薄かった。ギアレバーもアルミニウムの削り出し。美しさと軽量化思想が両立していた。

 このモデルは別名「3リッターカー」。排気量でなく、100キロ走るのにわずか3リッターの燃料消費(リッター33キロ超)が開発目標だったからだ。

 地球温暖化に対する排ガスの影響がとりざたされはじめた頃だ。環境思想を大胆に製品に反映したという点で、トレンドの先取りを果たしていた。

 理知的な自動車メーカーというアウディの印象を強くする役目を果たしたクルマである。

“小さなアウディ”であって“廉価なアウディ”ではないと当時メーカーでは言っていた

 スピードにのるまでは時間がかかったが、高速では空力ボディーのおかげで巡航速度はそれなりに高かった。

 同じタイミングでフォルクスワーゲンもルポという姉妹車で同様に「3リッターカー」を作った。でもスタイリングなど常識を超越した感が強かったのはA2である。

 いわゆる古典的な美しさはない。でもピュアな設計思想ゆえ、このクルマ自体が古典ともいえる。

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PROFILE

小川フミオ(おがわ・ふみお)

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クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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