「障害者差別」と叩かれてもお笑いをやらせた! 大川豊×かみじょうたけし「空気を全く読まない」生き様

  • 2017年10月12日

  

 希代の政治マニア大川豊総裁と、高校野球通のかみじょうたけしさんに「趣味」について語り合ってもらうこの対談。昨今、仕事や子育てに忙しいビジネスパーソンからは「趣味が減ってきた……」と嘆く声がよく聞かれますが、そこにお二人は喝! 「好きなこと」を突き詰めることは、人生を豊かにするために不可欠なのだとか。さて、その真意とは……?

空気を読むな! 幸せは「空気を読まない側」にある!

――30代から40代になると、仕事や家庭で忙しくなり、「趣味」を持ち続けることや、何かを徹底して「好き」であり続けることが難しくなるような気がします。

大川 人間、誰もが「好き」は持っていると思いますよ。それを見つけられないまま、定年退職を迎えてしまったら大変なことになるでしょうね。ゴルフなんて1週間も続けたら飽きるんですから。高級老人ホームに入ったら全部奪われますよ。洗濯、食事、買い物、全部やってくれるので。「趣味」がなければ、人間ダメになると思いますね。

  

――「趣味」がない、あるいは自分の「好き」がわからないという人は、どうすればいいと思いますか?

大川 そもそもコンビニに行って、何を買うか選んでいるのも、その人の「好き」が表れているわけですからね。それに気づいてない。そこから見つめ直したほうがいいですよ。スマホだってアプリだって自分の「好き」に従って選んでいるわけですから。あとは、子どもの頃の強烈な体験があるといいですね。

かみじょう 僕も何か好きなことを見つけようと思っていたわけじゃなくて、なりゆきでこんな感じになりましたから(笑)。甲子園のまわりに、高校野球のために野宿している人たちが何人もいるんですよ。全国から来ているので、49代表校の分だけいるんじゃないかな。その人たちが横綱なら、僕なんかまだまだ序二段(笑)。野宿まではできませんから! 夏の大会が始まる前から球児以上に真っ黒に焼けてますよ。

大川 すごいな……。

かみじょう 広島から来ているコアなおっさんのファンがいるんですけど、近くを通りかかっただけの中学生たちにいきなり「お前ら、広陵の中村奨成を知っとるか? 9球団来るど、ドラフト!」って「ワシが育てた」みたいな口調で語り始めるんです(笑)。中学生も「はい、はい」ってうなずくしかない(笑)。なんか、すごく幸せそうな人生ですよね。

――今は就職しても定年まで勤め上げることは難しいですし、生き方について迷っている人も大勢いると思います。でも、その高校野球が好きなおじさんは迷いもなさそうですし、何より幸せそうです。

大川 そうですよ! 欧米の人たちは基本的にハッピーリタイアで、定年などで仕事を辞めたら本格的に趣味に邁進するんです。1000万円のエンジンを手作りしたり、バイク造りのコンテストとかやっていたりしますからね。それが新しい仕事につながる人もいたりする。

かみじょう 最近、僕のまわりでも空気を読める人がめっちゃ多いんです。ちょっと多すぎると思うぐらい。なんかね、僕は空気を読めない側でいたいと思っています。空気を読む人に注意される側にいないと、幸せじゃないんじゃないかな、と思ったりしますね。

  

――高校野球のためにまわりの目を気にして、自分の「好き」を躊躇していてはいけないということですか?

かみじょう そうですね。そこに決断力の強さが表れると思います。最近、決められない子が多いでしょ? 「何でもいいです」とか「みんなと一緒でいいです」とか。自分の「これ」というものを決めるのって、とても大事なことだと思います。仕事でもそうですよね。「空気読まんでええから、お前の意見、どっちなん?」ってことですよ。それができる人はとても魅力的だと思います。

大川 ウチらは空気を壊す側の集団なので、そういう人にはどんどん出てきてほしいですね。今、お笑いをやろうとして芸人になるための学校に行こうとすると、100万円ぐらいかかるんですよ。俺は過去にくりぃむしちゅーやキャイ~ンやメイプル超合金も出たような「すっとこどっこい」という若手の育成ライブをやっているんですけど、お金がなくてもお笑いが好きなら誰にでもチャンスはある、という場所を作りたいんですね。まったく声の出ない60歳の人とかも出るんです(笑)。ぜんぜん声が聞こえないし、自分で服を着られないからメンバーが着せているんだけど、本人が「お笑いがやりたい」って言うから仕方ないんです!

 以前、両手足が不自由なホーキング青山という芸人をデビューさせたときは、「障害者差別だ」とすごく叩かれました。でも、本人が笑わせたいと思ってるんだから、そういう場を提供するのは俺の役割なんですよ。そのバックボーンになったのは、趣味でインディーズ候補たちの演説を聞いて回ったことですよね。彼らは自分のやりたいことをやっているわけですから。

 だから、若い人たちには好きなものを見つけてもらって、自由に追い求めてほしいね。かみじょうさんの「高校野球大好き」から派生して、「四国アイランドリーグ大好き」という人も出て来るかもしれない。「女子プロ野球リーグに行ってみようかな」と思う人もいるかもしれない。それは空気を壊していることですからね。まわりで流行ってなくても、「行っていいんだ!」って。

子どもが「好き」を見失わないために親ができること

  

――お2人は子育てをするとき、「趣味」や「好き」の大切さをどのようにお子さんに伝えてましたか?

大川 背中で見せるのが一番かな。若手芸人の中には「子どもができたのでまっとうに働こうと思います」と言って辞めようとする人がけっこういるんですけど、「絶対に10年後、子どもに『お前のためにお笑いを辞めた』と言うようになるから止めろ」って言うんです。「働きながらでもお笑いできるだろ? 続けろよ」って。好きなものを見つけるのって、実は大変なんですよ。でも、せっかく好きなものを見つけたんだから続けてほしい。自分が好きなものを楽しんでいるところを見せれば、貧しくても子どもはついてきますから。親が嫌々仕事をやっている姿ばかり見せられたら、子どものほうが嫌になっちゃう。楽しいことを見つけられない子どもになりますよ。

――やっぱり親が楽しいことを一生懸命やっている姿を見せたほうがいいんですね。かみじょうさんはいかがですか?

かみじょう 5歳の息子は僕と一緒に野球を見すぎているので野球はぜんぜん好きじゃないです(笑)。僕はあまり「○○しちゃダメ」って怒らないですね。

大川 これだけ親が好きなことやってたら怒れないですよ!

かみじょう たしかに!(笑) 僕は息子に空気を読む側にまわらないように育ってほしいと思っています。「誰がなんと言うても、俺はこう」と貫いてほしい。何かに夢中になったり、熱くなったりしてるのを、まわりの空気を読んで変えたりしてほしくないです。「怒られるから○○するのはやめておこう」と思う子にはなってほしくないし、その分、めちゃめちゃまわりの人に怒られてほしい。「怒ってくれてありがとうございました」と言える子どもになってほしいですね。

――なるほど! でも、何かを好きでいることで怒られることってないですよね?

かみじょう いや、ありますよ! 野球が好きすぎて、劇場の仕事を忘れていて怒られました(笑)。「明日の試合を絶対に見にいきたい!」と思いすぎて、「今日は劇場が休みになったから、かみじょうは甲子園に行っていいよ」という電話がかかってくる夢を見たんです(笑)。朝起きても「ああ、電話あったな」と思って、そのまま甲子園に行きましたね。試合中、電話がかかってきてびっくりしましたよ。もう二度とこんなことはやっちゃいけないと思ってましたが……。今年、久しぶりにやってしまいました。奈良大会を見てたら、松竹芸能から電話が28件入ってました。100%僕が悪いです。

大川 そこから電話で漫談をやったほうがいいね!

――仕事に穴を開けるのはよくありませんが(笑)、強烈に好きな趣味を持つことで、いろいろな出来事に巡り合ったり、人生が豊かになったりするんですね。

かみじょう 本当に幸せなことだと思いますよ。

大川 うん、ありがたいことだよね!

(文・ライター 大山くまお 撮影・逢坂聡)

前編の対談はこちら

    ◇

大川 豊(おおかわ・ゆたか)
1962年東京生まれ。お笑い集団・大川興業総裁。明治大学在学中、学生宴会芸や素人参加型番組「ラブアタック」などに出演。“ドンと鳴った花火”で一躍注目される。就職試験153社を落ちたため、自ら大川興業株式会社を設立し、154社目にして自分で自分に内定を出す。『現在は政治・経済なども含め幅広いネタで、活字の世界とライブを中心にお笑いを展開している。10月6日(金)~9日(月・祝)下北沢ザ・スズナリにて、暗闇演劇「イヤホン」を上演。www.kurayami.info

かみじょうたけし
1977年生まれ。兵庫県淡路島出身。松竹芸能所属のピン芸人。高校野球大好き芸人として知られ、『アメトーーク!』の「高校野球大好き芸人」では、マニアックなエピソードを披露し一躍ブレイク。板東英二さんのモノマネや野球の細かすぎるネタなども得意とする。著書に『甲子園マル笑伝説!』。デイリースポーツonline「かみじょうたけしの内にズバッと!」(https://www.daily.co.jp/baseball/kamijo/)連載中。

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