泥まみれ大歓迎!野外で親子が本気で遊ぶための場所「原っぱ大学」

  • 文・写真=挾間みゆき、フィールド写真提供=原っぱ大学
  • 2017年12月4日

子どもも大人も本気で遊ぶ「原っぱ大学」

逗子の豊かな自然に囲まれた、遊びのフィールド「原っぱ大学」

 神奈川県逗子市を拠点にした変わった名前の学校がある。その名も「原っぱ大学」。ここは名前の通り、自然豊かな環境で思いっきり遊ぶことができる場だ。メインの遊び場である「村や」は、約5ヘクタールに及ぶ深い雑木林が広がり、ツリーハウスや崖登りができる傾斜面、本格的なピザ窯がある。もちろんたき火だってできる。まさに都会では味わえない五感をフル活用して遊べるフィールドだ。

 遊ぶ内容は、参加者たちの興味の赴くまま、その場その場で変わってくることもしばしば。「遊びのきっかけとなるものを用意しますが、それに縛られず、その場の思い付きとノリでどんどん遊びが進化し、変化していきます」。そう語るのは、原っぱ大学の学長ならぬ、「ガクチョー」を務める塚越暁さん。「秘密基地を作る、小屋を作る、山を探検する、斜面を滑る、ターザンロープで遊ぶ。僕の思いつきでやることもあれば、参加者が『こういうことできないかな?』とポロッとこぼした遊びをやってみることも。『やってみたいけど難しいかな』と思うことにあえて挑戦してみる。誰でもやろうと思えばできることや、そのきっかけづくりをすることが僕たちの役目です」。

ドロドロの斜面を笑顔いっぱいに滑っていく

 自然は楽しいだけでなく、多くの危険も潜んでいる。ナイフやノコギリ、金づちといった道具の扱い方や危険なエリアは目を見て繰り返し伝えることが重要だそう。真剣に伝えることで子どもたちも理解してくれるのか、今のところ大きなケガはないそうだ。

室内でも遊びは無限大! 古民家を生かした子どもの遊び場

 遊びは1年を通して開催され、親子参加型のコースは、2〜4歳向けの平日・週末「リトル」と5〜10歳向けの週末「ギャング」がある。また10歳以上の子どものみが参加する「セイシュン」がある。今回は平日のリトルコースを取材した。当日はあいにくの雨予報ということで、遊びは趣のある古民家「100sai」に移ったのだが、ここもまた、秘密基地のような天井裏や虫のいる裏庭、畳のある和室もありと大人でも心おどる空間が広がる。

 総勢16組の親子が古民家にそろった。この日は親子でトワル(服を制作する際につくる仮縫い用のデザインパターン)を自由に装飾して楽しむ予定……のはずだが、出だしから子どもたちは四方八方に飛び出し、おのおの違う遊びに興じている。

大きな段ボールひとつあれば、子どもたちはいつまでも遊べる

 天井裏の秘密基地で折り紙を折る子、木の柱に抱きついてぐるぐるまわる子、段ボールハウスで隠れんぼする子、虫取りあみを持って古民家の周辺を探検する子、たまにお母さんを手伝う子、おにぎりをほおばる子……。でも、それをとがめたり、まとめたりしようとする大人は誰一人いない。それどころか、参加するお母さんも子どもたち以上に目を輝かせながらトワルの装飾にのめり込んでいたのがとても印象的だった。

トワルを装飾する参加者のお母さん。時間を忘れてすてきに彩っていた

 一見、放置しているように見えるが決してそうではない。原っぱ大学では自分の子どもでなくてもスタッフを含め、周囲にいる大人が近くの子どもを見守る役割を担っているのだ。よその子であってもわからないことは優しく教え、ダメなことはきちんと注意する。家族という単位をばらしてタテ・ヨコ・ナナメの関係を築きあげ、全員が仲間になることで密度の高いコミュニティーが生まれる。

 コースが始まった当初は緊張していたお母さんお父さんたちも、次第に肩の力が抜けてきて、安心して周囲の仲間に子どもを託し、自分たちも楽しむことができるようになるそうだ。子どもは親よりも先に場に馴染むようで、その証拠に初めて会った取材スタッフにも「これなあに?」「抱っこして」「一緒に裏庭いこ!」と積極的に話しかけてくれて、こちらが少し戸惑ってしまったほどだ。

親をも巻き込んで遊ぶことで子どもとの信頼感が生まれる

 原っぱ大学が大切にしていることのひとつに、親も本気になって遊ぶということが含まれる。「ここでは“子どもに何かを体験させなきゃ”ではなく、子育てを頑張るお母さんやお父さんもひとりの人間として遊んでほしいという思いがあります」と話す塚越さん。

「親と言ってもひとりの人間。大人が遊びの外側で見守るだけというのはもったいない。例えば子どもの様子をカメラで撮影することは“親モード”になってしまう。そうならないよう、子どもたちの撮影はカメラ担当のスタッフにまかせて、大人も一緒になって遊ぶ、ということを大切にしています。親のやりたいことも尊重して一緒に遊ぶことで、子どもへの接し方も変わってくると思うのです」。意外に思うかもしれないが、回を重ねるごとに大きく変化することは、子どもへの信頼感だそう。親が自分の子どもの成長、可能性や生きる力を目の当たりにして、子どもを信頼できるようになると、「これでいいんだ」と思うようになり、いい具合に肩の緊張がほぐれる。日常においても子どもとの関係にも変化がおき、結果、親が楽になるそうだ。

お母さん同士が集まれば、おしゃべりに花開く。子どもの声とお母さんの笑い声がずっと聞こえていた

 気の向くままに探検したり、夢中で何かを作ったり、斜面を滑ったり。自然に体当たりして、何かに打ち込める環境は、物質的な豊かさでは決して得られない、大切な親子関係に大きな変化をもたらしてくれる。子ども時代という限られた時間のなかで、親と子が一緒になって夢中に遊ぶという経験は、いずれ大人になる子どもたちに「生きる力」を与えてくれているのかもしれない。

原っぱ大学
神奈川県逗子市
mail: info@harappa-daigaku.jp
http://harappa-daigaku.jp/

他にもある!自然に囲まれた親子で遊べる施設

泊まれる公園 inn the park

 旧沼津市少年自然の家を現代風にリノベーションした宿泊設備。「泊まれる公園」と称して、約60ヘクタールある広大な敷地には宿泊棟のほか、球体形のテントや、まるで森に浮かんでいるかのようなつるしテントなどがある。昼間に広い芝生で思いっきり遊んだら、夜はテントでしっぽり語り合う。静かな親子時間を楽しめるぜいたくな空間。

〒410-0001
静岡県沼津市足高220-4
tel:055-939-8366
mail: reservation@innthepark.jp
https://www.innthepark.jp/

泊まれる学校 さる小

 自然豊かなみなかみ町にある、廃校になった小学校を再利用した宿泊施設。グラウンドではサッカーや野球で遊べて、夏はプールにも入れる。教室もそのままなので、音楽室でピアノ演奏、視聴覚室ではDVD鑑賞も。おなかがすけば家庭科室で調理実習! 子どもの頃に憧れていた学校に親子で泊まる夢の体験ができる。

〒379-1404
群馬県利根郡みなかみ町相俣1744-15
tel:0278-25-3349
fax:0278-25-3449
https://www.sarusho.com/index.html

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