敷地内に人間国宝の作品! 「“共に暮らすアート”」を実現する高級1棟リノベーション

  • 2017年12月5日

  

 六本木ヒルズまで徒歩7分、麻布十番商店街近くの閑静な住宅街に立つ『マジェス元麻布ガーデンズ』。5300平米超の敷地に、3~5階建てのレジデンスが6棟立っている。1戸の面積が170~200平米超の「高級物件」は、完全予約制の内覧会が盛況で、購入希望者も多いという。

 この物件は新築ではなく、元外国人向け賃貸レジデンスをリノベーションしたもの。近年、このような富裕層向けの高級1棟リノベーション物件が増えている。

人間国宝の作品があるマンション

 『マジェス元麻布ガーデンズ(東京都港区元麻布3-5-4他)』は、A~F棟合わせて41戸、麻布十番駅から徒歩8分の立地にある。元は、2001年に竣工した外国人向け高級賃貸レジデンスで、各棟を1棟リノベーションして分譲している。

 1棟リノベーションとは、事業者が1棟単位で買い上げて、大規模修繕工事やエントランス等の共用部、各部屋を総合的にリノベーションすること。高級物件では、新築分譲マンションのようにモデルルームを置くことも多い。今回見学した『マジェス元麻布ガーデンズ』のモデルルームは、フランスで活躍するデザイナーで、ドイツのヴォルフスブルクにあるザ・リッツ・カールトン・ホテルなどを手がけたエリオット・バーンズ氏を招聘(しょうへい)し、「スカイフォレスト」をテーマに空間デザインされている。

  

 モデルルームは230平米超のメゾネットタイプ。玄関を開けると、折り紙をヒントに岩肌を表現したという革のパネルが貼られ、シューズボックスの上には、新芽の緑から紅葉した葉まで木の移り変わりを表現した1点ものの照明が掛かっている。

 家具はすべて特注製作で、リビングルームに敷かれたラグは、奥にいくにつれて色が濃くなり、朝から夜までの光の様子を表現しているという。

  

 敷地内には、『大地の輝』というアート作品がある。備前焼の現存する唯一の人間国宝、伊勢﨑淳氏と石彫家の和泉正敏氏のコラボレーションで制作されたもので、「アートは“眺める”から“共に暮らす”へ」をテーマに設置され、当物件のシンボルになっている。

  

 敷地内に人間国宝の作品を置くマンションは、新築でも珍しいかもしれない。高級1棟リノベーションの特長について、2009年から東京都心で1棟リノベーションのコーディネートを手がけてきた三井不動産リアルティ株式会社コンサルティング営業本部の神義一氏に話を聞いた。

良いものを生かしていくリノベーションが受け入れられてきた

 賃貸と分譲物件で比較すると、建物のグレードに違いはないのだろうか?

 「都心で、月額家賃が100万円を超える賃貸は、分譲マンションと同水準の建物が多いです。特に、バブルの時期に建てられた建物は、建築費をかけて建てられているので優良な物件が多く存在します。それを長く生かすために、1棟リノベーションは長期修繕計画の策定や大規模修繕工事をして引き渡します。今の時代に合っていないデザインや設備なども刷新します」

 同社がコーディネートする物件では、今回のように海外デザイナーを招聘して空間デザインをするケースも多いという。購入を検討する富裕層は、海外旅行や留学、海外赴任の経験が多いため、世界基準の間取りやデザインをよく知っている。海外デザイナーを招聘することで富裕層が好むオンリーワンの物件ができるという。また、設備の決定から引き渡しまで時間がかかり、最新の設備を導入することが難しい新築マンションに比べて工事期間が短いため、着工ぎりぎりまで設備や素材の選択ができる点も、リノベーションマンションの特長だ。

  

 1棟リノベーションの特長の一つに、共用部のリノベーションがある。各戸リノベーションと違い、1棟全体を同じ事業社が手がけるため、敷地内の植栽やエントランスなどを総合的にリノベーションでき、統一感のある空間をつくれる。

  

 リノベーションが一般的になってきて、「住まいは新築が良い」という価値観は薄れているように感じるが、それは富裕層も同じなのだろうか?

 「今まで日本はスクラップ&ビルドを繰り返してきましたが、今の時代は、良質な物件を生かして住むという考えを、お客様が理解していると感じます。富裕層と呼ばれる方たちは、海外の文化を身近に体験しています。欧米では、築年数が古いほど建物の価値が高いのが一般的ですから、そういう文化に触れている方たちは、リノベーションを理解されています」

 同社が1棟リノベーションのコーディネートを手がけた当初は、「新築同様のスペックを持った中古物件」という販売方法だったが、最近では「優良な物件を生かしてリノベーションした物件」という説明で理解されるようになってきたという。

  

 1棟リノベーションは、今後増えるだろうか?

 「当社では、都心のファミリータイプの賃貸マンションストックは2700棟ほどあると試算しています。今後開発される賃貸マンションも視野に入れると、これから成熟していくマーケットです。都心の一等地には、古くからある建物が多いです。それを壊して新しく建てるか、リノベーションをするかの選択で、近年は良いものを生かして残すことができるようになってきました。ようやく日本もスクラップ&ビルドばかりではない、不動産の先進国になってきたのかもしれません」

 都心の高級1棟リノベーションは、立地と建物の良さを生かしながら、長く住み継がれる住まいへ。その先には、「新築」や「中古」というカテゴリにはまらない多様な住まい方が見えてくる。

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文:石川歩

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