キャンピングカーで行こう!

ミドルクラスのベース車両ってどんな車?

  • 文 渡部竜生
  • 2017年12月6日

トヨタ・ライトエースにはバンとトラックがある。バンはバンコンに、トラックでキャブコンを作るビルダーも(左:バンコン、フロットモビール社・シュピーレン 右:キャブコン、RVビッグフット社・ACSコラボ)

  • ライトエースベースのバンコン(フロットモビール社・シュピーレン)の室内。軽キャンピングカーよりはるかに余裕のある室内だ(画像提供:フロットモビール)

  • NV200の外観。ボンネットがしっかりあり、日本の商用車には珍しいプロポーション(画像提供:日産自動車)

  • NV200にトラックは無いが、バンをカットしたキャブコンもある。写真はエートゥゼット社・アルファ(画像提供:エートゥゼット)

  • NV200ベースのバンコン(日産ピーズフィールドクラフト社・ツールドスター)の室内。シンプルな内装だが、それだけに広さは十分(画像提供:日産ピーズフィールドクラフト

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「軽キャンパーだとちょっと小さい」「軽自動車の走行性能に不満」「キャブコンやハイエースサイズのワンボックスじゃ大きすぎる」……。そんなユーザーに受けているのが、以前にも取り上げたミドルサイズのバンコンバージョン(バンコン)です。(→どうやら今年はミドルサイズのバンコンが熱い!

 普段使いと兼用しやすいサイズ感や使い勝手の良さがウケて、各社から様々なタイプが発売されていますが、今回はそのベースに使用されている車両に注目してみたいと思います。普段使いと兼用したいのならなおのこと、車両そのものの性能や長所・短所を理解して選ぶべきだと思うのです。

 ミドルクラスのベース車両というと、トヨタ・ライトエースと日産・NV200が代表的です。2車種とも、もっぱら社用車や営業車として使われることが多く、お仕事で乗っている方以外には、なじみが薄いかもしれません。いったいどんな車なのでしょうか。

実は「輸入車」! トヨタ・ライトエース

 トヨタ・ライトエース(タウンエースは販売網違いの姉妹車)は、現モデルが4代目になるワンボックスバンです。実はこの車の生産地はインドネシアで、現地でも販売されています。つまり「輸入車」という訳です。もっとも、生産地が海外というだけでディーラーなどでの扱いは他のトヨタ車と同じ。現地仕様車にはない暖房が装備されるなど、内容は日本仕様になっています。

 小さなボンネットがありますが、エンジンは運転席・助手席下にあるキャブオーバー式。エンジンは1500ccのガソリン一種類、ミッションは5MTと4ATがあり、駆動方式はFRと4WDがあります。

 バンの他に同デザインのトラックもあり、バンコンだけでなくライトキャブコンのベース車両としても使われています。

◎良い点

・低い着座位置で乗り降りが楽
 キャブオーバー式の車はエンジンの上に座るという位置関係のため、普通は着座位置が高く「よじ登る」ような感覚があります。特にスカートをはいた利用者には不評なことが多いものですが、ライトエースはキャブオーバー式にしては着座位置が低く、乗り降りが楽です。

・4WD車の設定がある
 フルタイム4WDは雪道走行をする方には必須でしょう。さらに、スタックしてしまった時などに駆動力を増強するセンターデフロックまで付いています。

▼残念な点

・商用車然とした内装
 日本国内仕様は商用車であるバンしか設定がありません。上級グレードのGLでも内装の一部は鉄板のままという質実な造り。メーカー純正、社外のカスタマイズパーツなどもほとんどないため、個人ユースとしては少々不満が残ります。

・アンダーパワー
 1500ccで経済的なのはよいのですが、出力は97ps(馬力)と高速道路などではちょっと物足りない場面があるかもしれません。

・燃料タンク容量が小さい
 燃料タンクの容量が43Lと小さいため、長距離走行をすると給油の頻度が増えてしまいます。こまめな休憩と思えば良いですが、ガソリン価格が高いときに高速道路で給油することになったら、泣けるかもしれません。

総評:商用車として考えられているだけあってコスト重視の造りです。個人ユースとしてはちょっと残念ですが、4WDがあるなど、捨てがたい魅力があります。

世界中で使われている日産・NV200

 日産・NV200はボンネットタイプのワンボックス車。日本はもとより、欧米や中国、インドなどでも生産されています。4ナンバーのバンの他に、5ナンバーのワゴンもあります。各国の事情に合わせて様々な仕様で生産されていますが、日本国内向けはエンジンは1600ccのガソリン一種類、ミッションはバンは5MTと4AT、ワゴンは4ATのみ、駆動方式はFFのみです。

 バンをカットしてキャブコンを製作しているビルダーもありますが、主にバンコンのベースとして、多くはワゴンが選ばれています。

◎良い点

・高い走行性能
 常用速度域の高いヨーロッパ(アウトバーンでは130km/h巡行もざらです)でも販売されているため、高速道路などでも比較的ストレスがありません。トヨタ・ライトエースと比べて排気量は100ccしか違いませんが、出力は109psあります。単純なスペックだけでは比較できませんが、ヨーロッパ市場に向けてチューニングされていることは高い走行性能につながっているといっていいでしょう。また、ボンネットタイプなのでキャブオーバー型より車内が静かなのも高ポイントです。

・内装の品質
 乗用車のような豪華さはありませんが、鉄板むき出しの部分がないフルトリムです。メーカーオプションでインテリジェントキーがあるなど、さほど数は多くありませんが、社外の内外装のカスタマイズパーツやクルーズコントロールなども販売されています。

・前席ウォークスルー
 ボンネットタイプで着座位置が低く乗り降りしやすいことに加え、FFのため運転席・助手席と2列目シートの間の床面がフラットで、車外に出ないで移動できます。荒天時など、居室への移動に便利ですね。また、ビルダーによっては回転台座を取り付けて、停泊時にも運転席・助手席を居室用の椅子として使えるようにもしています。

▼残念な点

・FF車のみ
 あいにく4WD車がありません。その点がキャンピングカーとしては(使い方にもよりますが)若干物足りないかもしれません。そのかわり、VDC(ビークルダイナミクスコントロール)やTRC(トラクションコントロール※)がワゴンには標準で、バンのAT車にはオプションで設定されています。
※スリップなどを起こした時にエンジン出力をコントロールして、車輪の空転を防ぐ機構のこと。とはいえ4WDほどの威力はない。

・価格が高め
 まったく同じグレードがあるわけではないので単純比較はできませんが、トヨタ・ライトエースに比べて、やや高めの価格設定。その分、同じレイアウトのバンコンを作っても、最終価格に差が出る可能性はあります。

総評:内装や社外ドレスアップパーツなど、個人ユースにしても及第点な造りは◎ですが、FFしか無いのはかなりのマイナスです。

 いずれも甲乙つけがたい車ですが、それぞれに特徴があることはお分かりいただけたと思います。希望するレイアウトによってはベース車両を選べない場合もありますが、ストレスなく、安全で快適な旅をする上で、ベース車両は重要なポイントです。休日の過ごし方、目的地(雪山だったりするかどうか)、想定される走行距離などを考えて、自分に合ったキャンピングカーを選びたいですね。

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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