湯山玲子の“現代メンズ解析”

「テレビと違う」と言われる苦痛…ウエンツ瑛士 恋愛のリアル

  • 湯山玲子
  • 2017年12月14日

  

 価値観やライフスタイルが多様化した昨今、「カッコいい男」のあり方もこれまでとは大きく変わってきているはず。とはいえ、今時の“イケてる男の条件”は、まだきちんと言語化されていないのが現状です。

 そこで、男性の生き方に深い洞察をもつ著述家、プロデューサーの湯山玲子さんと一緒に「今イケてる男」のあり方を探るのがこの企画。

 初回のゲストはウエンツ瑛士さんです。タレント・俳優として多岐にわたって活躍するウエンツさんですが、恋愛・結婚についてはどんな考えを持っているのでしょうか。ウエンツさんの女性との向き合い方や将来設計に迫ります。

結婚は、3年後から考え始めます

  

湯山玲子(以下、湯山) 私達の世代は働きながらの子育ては無理だから仕事か家庭かどちらかを取れ! と言われてきたけど、今は女性が社会参加するようになり、性意識も変化。男女関係もどんどん変わってきています。今時の女性に対してはどう思っていますか。

ウエンツ瑛士(以下、ウエンツ) 自分が出会う女性は仕事をがんばってる方が多い。でも必ずといっていいほど「結婚したい」というワードが出てきますよね。それも「30歳ごろ」と。だから昔と違って、今20代の女性と付き合った場合、男性は結婚を待たなければならないこともある。そこに違和感を持つ男性がいるとしたら、よくないなと思いますね。結婚は2人のことだから責任も半々。自分が若い子と結婚したいという希望を通すなら、相手の理想のタイミングを待たないと。

 結婚後の女性のあり方、つまり仕事と家庭どちらを優先すべきかは正直まだわからない。考えを決められていないです。

湯山 自分の将来のパートナーに対してイメージはある?

ウエンツ 子ども持ってから決めればいいのかなと思ってます。相手が「仕事したい」と言ったら自分が休むのかな、とか。

湯山 今時は、そういうふうになってるよね。

ウエンツ 自分は親が共働きだったんですよ。どちらも家にいないのはちょっと嫌だった。結果、俺も小さなころから働き出した。仕事をしていると寂しさが紛れて楽だったのかもしれない。そういう記憶が残っているから、どちらかは家にいてほしい。

  

湯山 そもそも結婚すると思う?

ウエンツ 周りからは「絶対しない」って言われるんですけどね(笑)。今はしたくないけど……うーん、ま、3年後からスタートかな。

湯山 子どもは欲しい?

ウエンツ ジュニアは超おもしろそうじゃないですか! 見てみたい。僕は自分とタイプが違う人と話すのが大好きなんですよ。そういう人間が家にいたら面白いんじゃないかなって。

湯山 恋愛についてはどうですか? つまりね、昔は恋愛というプロセスを踏まないと、女性側としては体を許さない、という体があり、それで男の人は仕方なく女性が好むところの「恋愛」とその作法に付き合うという形を取っていたけど、今ならセフレも珍しくないから、恋愛自体、意味わかんない! というのが男性のホンネなのでは、と思うところがあってさ。

ウエンツ どうなんでしょうね。これはあくまで僕の感覚ですけど、これまで男性の役割とされてきた「デートして女の子を落とす」というアプローチ自体が、今の若い女の子たちに通用するのか疑問なんですよね。そもそも今時の女子はデートがそんなに好きじゃないんじゃないのかな……って。

湯山 あ、そうなの!? ちょっと雰囲気のいいレストランに行ったり、鎌倉やディズニーランドに行ったり、デートは楽しいんじゃないの?

ウエンツ 僕自身は、女友達と町を歩くことと、好きな人と「これはデート」と思って過ごすことは、全く違う気分で臨みたいんですよ。でも今の若い子って、最初は友人のような雰囲気で接しているほうが楽なんですよね。そういうカジュアルな入り口から徐々に関係性が発展していくのがベター、みたいな。

湯山 レストランを予約されると、エンジンがかかるどころか、そんな面倒くさい車には乗りたくないよ、という感じか。

ウエンツ あと、これは職業病かもしれないけど……“楽しませる”ということと、“自分がフラットでいる”ことが俺の職業的に同居しないんですよ。その気になれば、楽しませるための引き出しをいくつも開けて、相手を喜ばせることはできる。でも、そのスイッチを入れている時、もうフラットな自分ではいられないんですよね。

湯山 あれれ、とすると、相手の顔色を見て、忖度して、サービスして……っていうデートは自分が楽しくない?

ウエンツ 楽しくないし、疲れる(笑)。

  

湯山 ナチュラルではいられないんだ。

ウエンツ ナチュラルでいると「テレビと違う」と言われるから、それがしゃくですよね(笑)。「テレビと違うのはしょうがないじゃない!」というところから説明しなきゃいけないのは、ちょっと億劫(おっくう)だし。

ムリ目を振り向かせたい 恋愛は「狩猟タイプ」

湯山 パートナーを「尊敬したい」と思うほうですか? というのも、尊敬する女性は性愛ありきの恋愛対象にならない、という男性は少なくない。可愛くてちょっとおバカな女性のほうが、自分が馬鹿にされる心配がないから安心できると。そういった男心を理解している女性には、自分の実力を磨くことを怖れる心理が無意識に働く。昔ブリッコ、今は猛禽ちゃん(注:狙った男性を決して逃さない女性を指す)という存在はそれらの戦略化ゆえです。

ウエンツ 僕の場合は尊敬できる人のほうが好き。「振り向かせたい」という熱にも変わりますし。

湯山 ちょっとおバカなんだけど一緒にいて楽でかわいい子がいいのか、割とムリ目なタイプにアタックするほうなのか。

ウエンツ 圧倒的にムリ目のほうですね。そもそも恋愛は「ムリ目な人にアタックするもの」という考えがあって。ただ、相手が振り向いたときに炎が消えやすい(笑)。

  

湯山 まあ、狩猟っぽいわね。

ウエンツ そう、狩猟っぽい。それって「振り向かせたい」というモチベーションでムリ目な人にアタックしているだけなんですよね。「この人とゴールしたい」と思うムリ目な人には、これまでアタックしたことがないんです。

湯山 今は、そのタイミングじゃないと思っているしね。

ウエンツ まだ結婚願望がないんですよ。もしアタックして、振り向かれたときには後戻りできないでしょ。過去にはそういう対象の女性もいたんですが、「今じゃない」と思って全く手を出しませんでした。それでタイミングを逃して、縁が切れても全然かまわない。

湯山 なんでそこまで結婚したくないの? 結婚によってやりたいことが制限されると思ってる?

ウエンツ そう。仕事と結婚生活は両立しない。たとえ両立できたとしても、しないでいいと思ってる。そこへの後悔はないんですよ。むしろ「好きな人を諦めてでも今やりたい仕事がある」という大切なことを再認識できただけで十分。その意味で、アタックを諦めた女性には感謝の気持ちもあるんです。

若かりしときの失敗や挫折 見つめ直すは技術ではなく“己”

湯山 ウエンツさんって、ものごとでぶつかったり、理不尽なことがあったりしたときに、徹底的に言葉で整理して解消するタイプだよね。モヤモヤを放っておかない。気持ちと言葉を明解に合わせようとする人。

  

ウエンツ そこは合わせたい。仕事や人間関係でぶつかるのって、大概上の世代の人なんです。もうね、向こうがあまりにも理不尽で、理路整然と説明しても本当に話が通じない(笑)。でも、説明することが僕ら世代の宿命だと思う。その際に、「ある一定のところまで行ったら、こっちもぶっ飛んじゃいますよ」という戦う姿勢も言葉の端ににじませます。

湯山 ああ、そこはわりと戦略的なんですね。わりと、じゃないなあ。こういう言語でのロジカルな戦い方は訓練とパワーと度胸がいるので、ほとんどの人ができない。それこそ、組織の名刺の力や、「脅し」のような力に頼ったりもする。

ウエンツ 僕の場合は戦略的というより、もともと感情が先走ってしまうタイプなので、そうならないようにしているだけなんです。壁にぶつかったとき、「ちくしょう!」という思いを一回飲み込んで、その悔しい気持ちも含めて、きちんと伝わる言葉に置き換えて……ってある意味必死に本心を隠しているんですけどね。でも、信念や誠実さを失わなければ、一時の感情は押さえられるし、上の世代には感謝もありますから、そこはやっぱり相手に伝わる言葉にしないと。

湯山 理不尽を受け止めるけど、決して屈しない。オトナの利口な処世術にしないというわけだ。

ウエンツ まあ、こういうことは一生続くと思います。自分が上になったら、同じように下から突き上げられるんだろうなと。

湯山 芸能界ってコミュニケーションが全てといっても過言ではない世界だし、そこにおけるウエンツさんの人を見る目やバランス感覚、忖度……32歳でここまでできる人はなかなかいないですよ。子役のころから毎日が戦いで、承認欲求が満たされるどころか、オーディションに落ちる理不尽をボディブローのように食らい続けるという、ものすごくハードな訓練をこなしてきたからこそ身についたものなのかもしれないけど。

ウエンツ いや……子どものころに一度、心の中が「凍結」するくらいのところまでいきましたけどね。どれだけ不合格が続いても、もうそのことは考えない、と。そうしないと耐えられない、小学生は。

  

ウエンツ ただひとつ言っておきたいのは、オーディションで落ちたり、テレビに出てもうまくいかなかったりして、結果がついて来なかったとき、僕はその失敗したジャンルを専門的に勉強しようとはしなかったということ。それよりも自分を人間としてどう成長させるかということに特化して、時間を使ってきたんです。

湯山 ああ、これは面白い。問題解決の仕方として、普段はテクニックでその場をしのぐ対処療法をしがちなんだけど、そうではなくて、エネルギーの根本である、精神や心を鍛えていくというやり方。

ウエンツ そうです。だから、他人への不寛容さとか、自分の嫌なところ、恥ずかしいところをどう変えていくか、どう成長させていくかを考えて、いろんな人と会ってしゃべって吸収してきました。結果的に時間がかかりましたけど、そうする方がいいと思う。

湯山 偉いなぁ。自分の弱いところに向き合うのはみんな怖いから、普通の人はどうしてもマニュアルに頼りがちなんだよね。ビジネス書はまさにそのためにある。

ウエンツ 僕の周りには友人でも先輩でも本当にすごい人がたくさんいるんです。死ぬほどモテる友達とか。そういう人間を見ながら、「こいつよりモテたい!」と自分の内面を揉む感じ。しんどい作業ですけど、そうするほうが後々楽だし、ひとつできたらいろんなことが次々できるようになることもありますから。

湯山 自信づくりだよね、自分を騙さない。 若者の悩みに自己評価が低い、というのがありますが、そこを高めてくれる他人や環境は無い、ということだよね。自分で揉んで、積み上げるしかない。

ウエンツ 内面を揉んでいく過程で、自分が本当にできないことも見えてきますしね。それが見えたら、捨てればいい。そうするとまた他のものが手に入る。ずっと、その繰り返し。人はそうやって成長してくんじゃないですかね。

30代からの夢を描く自分に正直で誠実でありたい

  

湯山 なにか仕事をもらうと、必ず本格的に取り組まないと気が済まない。ひとことでいうとまじめですよね。

ウエンツ まじめなのかなあ。どこかであと30、40年しか自由にしゃべったり動いたりできないと思っているところはありますね。

湯山 今後、日本は日本人だけで内需を回していく時代ではなくなりますよね。少子化の労働力として、外国人が入ってくるだろうし、テレビも放映を支えているスポンサードのシステム自体が大変化していくでしょう。そういった社会を背負っていく世代として、今心配していることはありますか。

ウエンツ マーケットがどうなるのかなとは思いますね。努力しながら今の仕事を続ければいいとおっしゃる方もいるんですけど、俺は継続性よりも、その時々でいろんなものを取捨選択して取り入れていくことのほうが好き。

湯山 日本の美学のひとつに「職人肌」があるじゃない。これと決めたら他のことは止める、一か八かの選択。私はフリーランスだから、生き残るためにある意味仕方なく寿司も握れば、クラシックも語るなどして、いろんなことを並行してやってきました。それは女性だから許されたところもあったけど、今の若い世代は、男の子でも一つに絞らず、複数の仕事を並行して手がけていたりしますよね。

ウエンツ それでいいと思うんです。以前「スッキリ」(日テレ系)でハリウッドスターやアーティストにインタビューさせてもらったとき、「10年後、どんな役者(アーティスト)になっていたいですか?」と聞くと、「10年後もこの仕事をしてるかわからない」と答える方が多かったんですよ。当時はそれが衝撃的でした。

湯山 わかる。 私も同じような経験を、若い時分にタイの無人島行きの船で友達になった、オーストラリア人女性と話して衝撃だった。だって、その人、30代後半で教師の仕事を辞めて、自分探しの旅に出ていて、帰ったらコックの修業をする、って言ってたんだよね。しかも、子持ちで。

ウエンツ よくよく考えると、小さいころに描いた夢を生涯の夢と決めつける必要はないんですよね。30代には30代なりの夢があって、今進みたい方向に行けばいい。一言で言えば、常に自分に正直で誠実であれということ。昔はそういう考え方が、自分にも日本にもなかった。

湯山 でも、今後はそういう仕事観はリアリティを持ってくるよね。

ウエンツ 自分が人間としてどこまで成長できるかを考えながら、常にやりたいことを選択していきたいとは思っています。

湯山 仕事の横断的な広がりには常に目配りしておく、というのは重要。今はインターネットというチャンスの窓口もあるし。頑固さよりも柔軟性。頑固もいいですが、往々にしてそれは「新しい事への恐怖」が隠れているから。

ウエンツ そうですね。ジャンルをまたいで仕事をさせてもらうと、明らかに相互作用があることがわかります。これからもっといろいろな経験ができると思うと、この先が楽しみでしょうがないですよ!

  

湯山玲子の取材後記

コミュニケーションの競争社会で揉まれてきた“自立感”に宿る男の魅力

湯山玲子

 群を抜いた美形は、それだけでラッキー! ということは現実社会ではあまりない。特に男性においての美形は癖モノで、これ、本当に周囲の男たちの無意識の嫉妬を買うのである。具体的には失敗した時の「それ見たことか」の哄笑(こうしょう)が美男には特にキツいはず(その実例を私は何件か知っている)。

 そうすると「このままでもチヤホヤは手に入るし、言われたことだけやっていよう」に陥りがちなのだが、彼の仕事人生は挑戦ばっかり。そこには「それ見たことか」という視線なんぞはあって当たり前に構える、心と気の強さがうかがえる。

 印象に残ったのは、「苦手」があった場合の対処法。普通これ、そこを補強して勉強する、という方法が選ばれるのだが、彼が着手するのは、苦手と思ってしまう精神や生き方の方。

 このウエンツ流の「知恵」は使える! 悩みの根本はすべて「自分」なのだ。厳しい競争&忖度渦巻く芸能界で生き残ってきた彼は、「苦手」というものは、恐怖心などの“心のブロック”が往々にして生み出しているということを体験的に知っているからに違いない。

 小さいときからコミュニケーションの競争社会で揉まれてきた男の自立感は、太陽のように強力かつ健康的。将来、50代の男ざかりに、どんな境地にいるのか? 興味津々なのです。

(文・ライター 安楽由紀子、湯山玲子、撮影・小島マサヒロ)

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PROFILE

湯山玲子(ゆやま・れいこ)

プロデューサー。現場主義をモットーに、クラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッション等、文化全般を独特の筆致で横断する執筆を展開。NHK『ごごナマ』、MXテレビ『ばらいろダンディー』レギュラー、TBS『情報7daysニュースキャスター』などにコメンテーターとしても出演。著作に『女ひとり寿司』(幻冬舍文庫) 、『クラブカルチャー ! 』(毎日新聞社)、『女装する女』(新潮新書) 、『四十路越え ! 』(角川文庫)、上野千鶴子との対談集『快楽上等 ! 3.11以降を生きる』(幻冬舎) 、『文化系女子という生き方』(大和書房)、『男をこじらせる前に』(角川文庫)等。月一回のペースで、爆音でクラシックを聴くイベント「爆クラ」を開催中。日本大学藝術学部文藝学科非常勤講師。

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