キャンピングカーで行こう!

キャンピングカー 国産車にする? 輸入車にする?

  • 文 渡部竜生
  • 2017年12月27日

 キャンピングカーの購入を考えるとき、出てくるポイントのひとつに「国産車にするか/輸入車にするか」ということがあります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、車の性能やデザインだけでなく、話は居室部分の使い勝手にまで影響しますから、普通車選びよりも問題は複雑です。

日本製キャブコンの代表格といえば、トヨタ・カムロードベースのバンテック社製のZil(ジル)。サイズ感は日本の道路にピッタリだ(画像提供:バンテック(株))

日本で使うなら国産車がベスト!は本当か

 軽キャンピングカーからバスコンまで、サイズもレイアウトもバラエティーに富んでいるのが、日本製のキャンピングカーです。日本の地形や余暇の過ごし方、道路事情など、あらゆる「日本独自の事情・使い方」に配慮がされているので、「日本で使うなら日本車が一番!」というのは一理あります。が、当然のことながら弱点もあります。

◎国産キャンピングカーの魅力

・考え抜かれたレイアウト
 日本のキャンピングカーユーザーは「ファミリーで使う人が多い」のが現状です。それに合わせて、複数人数で使いやすい機能とレイアウトを備えていること。それでいて、あまり大きな車ではないこと。つまり、この二つが両立できている車種が多いのです。

・「自立」を考えた装備
 欧米と違って、電源付きサイトや汚水処理ができるダンプステーションのあるキャンプ場やRVパークがまだまだ少ない、日本。道の駅や高速道路のPA・SAなど、「キャンピングカー向けの支援設備」が少ない場所で仮眠利用されることが多いため、外部電源に頼らなくても自立できるなど、それ一台で家として機能できるだけの設備を備えているのが特徴です。

・ベース車のサービス体制が安心
 国産のキャンピングカーは、ベース車両も国産車です。キャンピングカーのビルダーやディーラーは、そこら中にあるとは言えなくても、トヨタや日産のサービス拠点は全国各地にありますよね。万が一、旅先で車両トラブルが発生しても安心、という心強さはあります。

ジルの車内。多機能・各種設備をギュッと凝縮して搭載するのは、日本ビルダーのお家芸だ(画像提供:バンテック(株))

▲国産キャンピングカーの弱点

・インテリアのデザイン性
 最近でこそインテリアデザイナーを起用する会社も出てきましたが、欧米の車と比較すると、少々、工夫の余地があるのがデザイン性です。欧米のように、数週間にわたって寝泊まりするわけではないにせよ、“動く家”と考えたら、内装デザインは居心地の良しあしに直結します。ライフスタイルを重視する昨今、デザイン的に洗練された国産キャンピングカーが増えてくれるといいですね。

・走行性能は……
 ほとんどの国産キャンピングカーでは、経済性優先の商用車をベース車両に採用しています。そのため、走行性能は決して高くありません。バスコンや一部の車両を除き、大抵はトラックやカーゴバン。となれば、装備は最低限、燃費重視。また、長距離トラックのような車両ではありませんから、ロングドライブに適した走りでもありません。貨物輸送を考えての車両では、乗り心地も乗用車のようにはいきません。「全国各地を旅して回りたい」とか「長時間の運転は体がしんどい……」という人ならば、安全な旅のためにも、走行性能や乗り心地は重要なポイントになります。

洗練されたデザインと動力性能が魅力の欧州車

 ヨーロッパのショーに行くと、創業50年以上のビルダーがたくさん出展しています。大手のビルダーともなると、日本全国の年間販売台数を上回る数を、1社だけで生産してしまう規模です。その一方、近年はサイズもレイアウトも似たりよったりのところがあり、他社との差別化は「ディテールで勝負」になってきています。

 そんな中、日本に入ってきている欧州車はどんなものでしょうか。以前から輸入されている老舗ブランドに加え、近年は新興ブランドも増えてきて、バラエティー豊かになりつつあります。

ドイツ製のフルコン、デスレフ社のマジックエディション。フォルムも塗装も、やはりどこか日本車と違ってスタイリッシュだ(Photo:Dethleffs)

◎欧州キャンピングカーの魅力

・洗練されたデザイン
 ヨーロッパでは、主にキャンピングカー選びの主導権を握っているのは女性といわれています。キャンピングカーは家庭生活の延長であり、女性の意見が重んじられるからです。そのため、各社ともインテリアデザイナーに女性を起用するなどして、女性層に向けたデザインに力を入れています。

・コンパクトでもフル装備
 日本とは違った意味での「フル装備」が特徴です。日本は「電気などの支援設備が期待できない場所」での寝泊まりに備えての装備ですが、コンビニや食堂が充実し、あちこちに温泉があるなど、生活インフラそのものは欧米よりも整備されています。そのため、車内で調理したり、シャワーを浴びたりする人はあまりいません。他方、欧米では、バンコンでもキッチンやトイレは完備。電源が使える、汚水処理ができる施設は各所にありますが、食事や入浴は自前で、という考え方です。

・低燃費、かつ高性能
 ドイツのアウトバーンに代表されるように、ヨーロッパでは国と国が地続きで、陸路での移動距離が平均して長距離です。一般の車両も平均速度が高く、長距離を走るので、クリーンディーゼルエンジンが主流。低燃費で、非常に高い走行安定性を持っています。長距離を走りたいキャンピングカーユーザーにとっては、車両としての性能の高さは大きなメリットです。

・フルフラットで使い勝手がよい
 運転席と居室部分に段差がない車両がほとんどで、フルフラット。つまり、コックピットから居室への移動もスムーズですし、運転席・助手席ともにぐるりと回転させれば、停泊中、食卓椅子やソファにもなってスペース効率も良い、というわけです。

デスレフ・トレンドの車内。窓が多く室内が明るいのは、ヨーロッパ車の特徴だ(Photo:Dethleffs)

▲欧州キャンピングカーの弱点

・少々大柄です
 全長6mクラスでも2人旅仕様。ファミリーユースとなると7mクラスと、特に長さ方向に大きい特徴があります。もちろんその分、車内空間はゆったりですが、日本の標準的な駐車場の規格、2×5m枠には収まらないことも。また、少々大きいために運転に自信がない、と敬遠する人もいます。

・維持費は高め
 居室部分については国産車と変わりませんが、車部分の維持費は国産車よりもお高くなります。故障した際の部品が高価だというのもありますが、日本車ではあまり交換しないような部品も、欧州車では「消耗部品」扱いだということがあります。これはキャンピングカーに限った話ではありませんが、ある意味、国産車と輸入車では「常識」が違う部分があります。そこを理解せず、まったく国産車と同じに考えていると「壊れやすい」「お金がかかる」という印象につながってしまうようです。それを高いと感じるかどうかは、全体のメリット・デメリットをてんびんにかけて、総合的に考える必要があるでしょう。

ダイナミックさが魅力のアメリカ車

 年間の新車販売台数が40万台超という、キャンピングカー大国アメリカですが、2000年ごろから大型化が進み、車幅2.5m超のモデルが主流になってきました。結果、日本に輸入される数が少なくなってしまったのです(日本の道交法では、車幅2.5mまでしか登録できません)。しかし最近では、フォード・トランジットやダッジ・プロマスターなど新世代のベース車なども登場。ややコンパクト化の傾向がみられたことで、少しずつですが日本で販売されるモデルも増えてきました。

新世代のベース車両、フォード・トランジットをベースにしたアメリカ製クラスC、ウィネベーゴ・フューズ。日本にも2017年春から入り始めている(Photo:Winnebago Ind.)

◎アメリカンキャンピングカーの魅力

・たっぷりしたスペース
 私自身、アメリカンキャンピングカーに乗っていますが、いつも実感するのは彼らの国民性です。とにかく、旅先、キャンプ先でも「普段の便利さを手放したくない!」のだな、と思います。スペースはゆったり。スライドアウト車(壁の一部が外にせり出して、居室が広くなる機構)ともなれば、とても車とは思えない広さになります。

・頑丈でシンプル
 色々なところがとにかく頑丈にできています。国土の広いアメリカらしく、拠点から拠点への距離が遠いためかもしれません。ちょっとやそっとでは壊れません。その点はベース車両にもいえることで、エンジンに多少の不具合が発生しても、止まってしまう・走らなくなる、ということはめったにありません。また、操作スイッチなども非常にシンプルでわかりやすくつくられています。

フューズの車内。スライドアウトを広げた室内幅は約270cmと、圧倒的な広さを誇る(Photo:Winnebago Ind.)

▲アメリカンキャンピングカーの弱点

・大柄なサイズ
 「アメリカの基準で」コンパクトと分類されるモデルでも、全長は7m超。大型ともなれば10mを超えるサイズもざらです。それだけ大きいと、目的地に制限が出る場合も。私も友人からキャンプに誘われた際、そのキャンプ場に入るためのゲートの幅と、坂道の高低差や斜度を事前に確認したことがあります。

・品質管理は不得意かも……
 日本製品の正確さ、品質の高さを基準に考えてしまうと、お世辞にも「繊細」とは言い難いのがアメリカ製です。細かく見るとアラもありますし、左右一対のはずのものが、非対称だったりもします。「使えればよし!」「機能に問題なければ気にしない」といった割り切りが要求されることもあります。

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 それぞれ、メリット・デメリットがあるのは、乗用車と同じ。悩ましいところではありますが、そこを悩むのも、また楽しいもの。「外車」=ぜいたく、壊れやすい、とばかりは言えない昨今、無条件に敬遠してしまうのはもったいない! ぜひ、自分の考える使い方、家族構成や人数、目的地などをイメージして、具体的に検討してみましょう。可能ならば、輸入車も国産車も、使っている人に見せてもらったり、話を聞いたりする機会があるとベストですね。

 どうか良い出会いがありますように!

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PROFILE

渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト

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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。

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