キャンピングカー、どう選ぶ? どこで買う?
- 文 渡部竜生
- 2018年1月10日
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キャンピングカーは製作会社=ビルダーが直接販売をしているケースがほとんどだ(一部販売専門店もある)。写真はミスティック社の店頭
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新車や中古車がずらりと並ぶルートシックス社の店先。アフターメンテナンスのこともあるので、購入はなるべく専門店で!(画像提供:ルートシックス)
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直接ビルダー(作り手)と会話しながら、たくさんの車を見比べることができるのがキャンピングカーショーの魅力。特に生活空間のことについては女性からの質問が多い。写真はカスタムセレクト社
先日、こんな質問を受けました。「キャンピングカーが欲しいんだけれど、どこで買えるの?」
また別の日、雑誌の取材を受けていて編集担当さんに言われました。「これ、元になっているのはダイハツの車ですよね。ダイハツに行けば、買えるんですか?」
それでハッとしました。「そうか。持っていない人は、どこで売られているのかさえ知らないんだ」と。
「動く我が家」をどこで買うか
普通の乗用車なら、各自動車メーカーのディーラーで買うのが一般的でしょう。お住まいから30分も車で走れば色々なメーカーのディーラーがあるでしょうし、都市部なら複数のディーラーを巡って比較することもさほど難しくはないと思います。
ところがキャンピングカーとなると、ちょっと事情は違います。たとえ国産車ベースのキャンピングカーであっても、トヨタや日産では売っていません。
■キャンピングカーは専門ディーラーかビルダーで
キャンピングカーは専門の販売会社か、製造会社(ビルダー)で購入することになります。とはいえ、その販売会社やビルダーは自動車メーカーのディーラーのように、そこらじゅうにはありません。たまたま近くにある方はラッキーですが、何軒もまとまっているわけでもないので、1日で数社を見比べるのはいささか無理があります。
また、キャンピングカーにもいろいろ種類があります。このコラムで何度もご紹介しているように、軽自動車ベースのキャンピングカーもあれば、バスベースのバスコンもあります。バンコン、キャブコン、トレーラー……種類も内容も、各社それぞれです。自分の欲しいと思う車がどこに売られているのか、まずそれを調べることから理想の一台探しがスタートします。
■中古車が欲しいんですが……
新車に対して中古車が比較的安価なのはキャンピングカーも同じです。初めての一台は中古車で、と考える人も珍しくありません。専門販売会社やビルダーでも中古車を扱っていますので、遠慮なく相談してみると良いと思います。が、ひとつアドバイスしたいことがあります。それは「一般の中古車市場でキャンピングカーを買うのはお勧めできません」という点です。
最近の人気を受けて、一般の中古車販売店でキャンピングカーを扱っているケースが散見されます。もちろん中古車販売店が悪いわけではありませんが、彼らは乗用車のプロではあっても、キャンピングカーのプロではないのです。
たとえば「エンジンが不調になった」「足回りに不安がある」。こういうケースなら、保証の範囲でカバーできるかもしれませんし、彼らの技術で対応してもらえるでしょう。しかし、「収納が壊れた」「キッチンのシンクが水漏れする」「FFヒーターが動かない」。これについてはお手上げかもしれません。なぜなら居住空間のトラブル対応には慣れていないからです。
■百聞は一見にしかず
大事な「我が家」のことですから、少々手間がかかっても納得いくまで比較して選びたいですよね。新車、中古車、いずれの販売店の情報もインターネットや専門誌を見れば入手することができます。
車両の基本スペックやサイズ、搭載機器の機能などはカタログやネット上に記載があるかもしれません。それでも、決して安くはないものを、データだけを見て購入する人は少ないでしょう。
「百聞は一見にしかず」。縦横同じサイズのベッドでも、寝そべってみないとわからないことがあります。天井までの高さは? インテリアの色は? 圧迫感はある? 寝心地はいい? 寝ている間、荷物はどこに? など、実際の商品を“見て、触れて、体感して”みないとわからないことがたくさんあります。
とはいえ、気になるキャンピングカーのビルダーが遠方だったら、どうしましょう。
実際、一般社団法人日本RV協会に加盟しているビルダーや専門販売店は約170社(2017年末現在)。それが北は北海道から南は九州までに分散しています。そして、関東在住のユーザーでも北海道のキャンピングカーを愛用している人もいますし、九州の車に乗っている人もいます。そういう人たちはどこで・どうやって購入したのでしょうか。
全国の商品が一堂に会するキャンピングカーショー
キャンピングカーユーザーの多くが楽しみにしているイベント。それが年に数回、各地で開かれるキャンピングカーショーです。最大のものは、毎年2月に行われるジャパンキャンピングカーショーですが、それ以外にも九州や東北などでも開催されています。そのたびに若干顔ぶれは違いますが、全国のビルダーや販売会社が集まる機会ですので、気になる車を一度に見比べるチャンス、というわけです。
ユーザーが楽しみにしている、といいましたが、すでに持っている人でも「ショーには行く」という人は珍しくありません。買い替える予定もないのに、なぜでしょうか。
それは「車の作り手」に会えるから。そして新しい情報が得られるから、なのです。
愛車を作った人たち、売っている人たちに直接会えることで、疑問に思っていること、相談したいことを投げかけるチャンスです。オプションやメンテナンスにまつわる情報が得られるかもしれません。また、仲の良いユーザー同士、ショーで待ち合わせてオフ会、なんていうパターンもあるようです。さらにショーでは車の展示販売だけでなく、用品販売や旅先の情報なども得ることができます。全国のショーの情報は、日本RV協会のイベント情報サイトhttp://jrva-event.com/で確認することができますので、開催日や開催地域などで検索してみてください。
■車にトラブルがあったら……?
気に入った車を作っている会社が遠方だった場合。誰もが不安に思うのは「何かあったとき」のことでしょう。とりあえず国産車をベースにしたキャンピングカーなら、車両トラブルであれば、旅先で何かあっても営業所なりサービスセンターなりがあるでしょうから、そこは心配無用です。しかし、前述のように「ヒーターが動かない」「シンクが漏れる」など居住空間に不具合があった場合は?
実は、日本RV協会の会員企業はサービスネットワークを組織していて、たいていのビルダーが互いに販売協力店の関係を結び、とっさのケアを受けられる体制を整えています。仮に旅先でなにか居室トラブルが起きたら、まずは買ったお店に連絡を。そうすれば、その場所から最も近いサービス拠点を紹介してもらえるはずです。根本的な修理については別途、手配が必要な場合もあるかもしれませんが、とりあえずの問題には対応できるはずです。
いかがですか? 「キャンピングカーってどんなもの?」と思っている方にとって、ショーは見て・触れるよい機会です。折しも、来月2日(金)~4日(日)の3日間「ジャパンキャンピングカーショー 2018」が千葉市の幕張メッセで開催されます。展示台数は約300台! 多くのキャンピングカーを同時に比較検討できるまたとないチャンスであると同時に、各ビルダーともこのショーに合わせてニューモデルの発表をするなど、注目度も高いイベントです。
じゃあ行ってみようか、と思われた方に、ちょっとだけアドバイスがあります。会場は非常に広いです(幕張メッセのホール四つ分!)。ぜひ歩きやすい靴で来場してください。また、展示車両はすべて土足厳禁です。ぜひ中に入って、座ってみる、立ってみる、寝転んでみる……と体験していただきたいので、脱ぎ履きしやすい靴で来られることをお勧めします。
ショー期間中は私も日本RV協会のブースで、RVパークの魅力をお伝えするミニステージに出演する予定です。ご質問にも出来る限り答えさせていただければと思っています。会場内で見かけたら、どうぞお気軽にお声掛けくださいね。幕張メッセで、お待ちしています!

PROFILE
- 渡部竜生(わたなべ・たつお)キャンピングカージャーナリスト
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サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり。