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真冬の海に入るってどんな感じ? ヘルシンキで話題の最新サウナ「Löyly」で実践してみた。‬

  • 2018年1月25日

 こんにちは。サウナ男子です。前回記事ではフィンランドの老舗サウナでの体験をご紹介しました。今回は、ヘルシンキで話題のサウナ施設「Löyly」をレポートします。ここでも、自身のサウナ観を覆すような驚きの体験をしました。

2016年、ヘルシンキにオープンしたばかりのサウナ施設です

 「日本の次はフィンランドで"ととのい"を味わってみたい…!」と公衆サウナを訪ねたものの、“ととのい”を味わう以前に、日本とのサウナの違いに戸惑ってしまった筆者。だがひとつ、日本にあってフィンランドのサウナに無い決定的な違いに気が付いた。フィンランドのサウナには水風呂がない…!

 「サウナ・セルラ」にも「コティハルユ・サウナ」にも水風呂はなく、水シャワーか外気浴以外にクールダウンする術はなかった。

 もしかすると、この『水風呂の有り無し」が、日本とフィンランドのサウナの楽しみ方に違いをもたらしているのかもしれない。

 その点、海岸沿いにある「Löyly」は、サウナ後のクールダウンとして海に入ることが出来る。水風呂と海の違いはあるけれど、この施設なら日本に近い条件で"ととのい"の感覚に近付けるかもしれない。そんな考えを抱きながら、ヘルシンキの中心市街地からバスで20分ほど揺られて「Löyly」へと向かった。

だが、しかし……

想像していたイメージとは……

異なる光景が目の前に広がっていた……

 施設周辺に人の気配が無い。日中であるにもかかわらずテラスのお店は閉まっており、海に水着で飛び込む人々などどこにもいなかった。

 閑古鳥が鳴いている理由は明白だ。訪れた日の天気は雨、海岸ならではの荒々しい風が吹きすさび、気温は摂氏0℃に近いのではないかというぐらい寒い。海を水風呂代わりに使うには、あまりに厳しい条件が“ととのって”いたのだ。

“あの”水風呂(=海)に浸かる、という迷い

 受付を済ませた後はサウナ室で暖を取っていた。ただ、サウナ室で流れる汗には、心なしか冷や汗も混じってきた気がする。

 これまで筆者が体験した水風呂で最も冷たく感じたのは、北海道・上富良野にある「吹上温泉 白銀荘」の水風呂である。訪れたのは真冬の季節、雪がしんしんと降り積もる山の中にその施設はあったのだが、水風呂の温度は摂氏8℃。水に入ってみた感想は、冷たいというよりも、もはや「痛い」という感覚に近かった。

“サウナー”として日本の、数多ある水風呂に挑んできたが、あのつんざくような『痛み』をまた味わうとなると、ちょっと気後れしてしまう

 

 だがそもそも…。今回は、「フィンランドで"ととのい"を味わってみたいから」、遠く北欧の地までやって来たのではないか? 日本から遠路はるばるやってきて、それでも海に入らないという選択肢が存在するのだろうか。

 そう考えることで、筆者は迷いを吹っ切ることができた。

 “サウナー”として、バルト海に浸かることをここに誓います。

【動画】意を決して海水でのクールダウンに向かう筆者 

【動画】真冬のバルト海の波は高くて……

 「やばい…!」

 「痛い、痛い、痛い…!!」

 「溺れる…!!!」

 「流される…!!!!」

 大のオトナがその場で絶叫してしまうほどの衝撃。まず水に入った瞬間に、激痛が全身を襲った。同時に荒々しい波に襲われ、はしごから手が離れ、沖に流されそうになる。このままでは危険だと判断して離脱。実際に水に入っていたのは、およそ10秒ほどであった。

※筆者が「Löyly」を訪れたのは真冬であり、他の季節ではまったく違う状況だと思われます。こちらの記事を読んで真似をする方はいないと思いますが、悪天候時の海に入るのは避けましょう。

バルト海から“生還”を果たした後は、しばらく放心状態だった

 「あの海は、白銀荘の水風呂よりも明らかに冷たい水だった」

 「痛いのではなくて、激痛であった」

 海から上がってもジンジンしている身体の感覚が、そのようなことを教えてくれている。

 結果として、ここ「Löyly」においても“ととのい”の感覚を味わう余裕もなく、ただただ無表情のまま、打ちひしがれていた。

どうしても話さずにはいられなかった、老舗サウナでの出来事

「Löyly」にはカフェレストランのスペースも併設されている

 「Löyly」では、フィンランドに移住された日本人の方とお話しする機会があった。靴家さちこさん。もともと日本で外資系企業に勤められ、その後2004年からフィンランドに移住。フィンランド事情に明るく、当然サウナにも多数入られているのではないかな、と勝手に思っていた。

バルト海から上がったあとに頂くカフェラテは格別の味だった

 だが、靴家さんはひと言。

 「公衆サウナ、いわゆるパブリックサウナって、実はあまり訪れたことがなくて

 ヘルシンキに住む人達がわざわざサウナを訪れるということ自体そんなにないのでは…というのが靴家さんの意見であった。東京に住んでいる人がわざわざ東京タワーに登らないのと同じ、という感覚に近いようだ。

 フィンランドには540万人の人口に対し300万カ所のサウナがあると言われており、その大半はマンションや自宅などに存在するらしい。自分達の生活スペースにサウナがあるならば、ヘルシンキに公衆サウナが3カ所しかない実情にも合点がいく。

デッキからはバルト海とヘルシンキの街並みを一望出来る

 フィンランドの老舗公衆サウナを訪れてみて驚いたこと、そして現地の方から日本のサウナについて指摘を受けたことを靴家さんに話をした。

 「なるほど、そんなことがあったのですね…パブリックサウナの中で」

 「でも、フィンランド人が饒舌(じょうぜつ)に会話しているというのは、意外ですね。もともと、フィンランド人はシャイで、口数が多くない人種なんですけどねぇ」(靴家さん)

 「え?………………」(筆者)

        ◇

 サウナでは楽しく会話するのか、それとも静かに過ごすのか。フィンランド人のサウナの楽しみ方はどちらが主流なのだろう。

 異文化を理解するには、どうやらバルト海に飛び込むだけでは足りないようだ。

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(文・写真 サウナ男子)

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