フランスの風を走る

たいせつなものは、目に見えない ―「ピカソ」がつなぐ、ある家族の物語―[PR]

  • 2018年1月31日

  

「みんなで箱根に行くのはどうかしら」

 そう切り出したのは妻だった。ここのところ仕事が忙しく、休日はできるだけ遅くまで寝ていたいと思うようになっていた。加えて、昨年からテニススクールに通い出した小学5年生の康太は、土日も関係なくテニスに没頭し、2つ下の妹の彩香は、小学校の友達と遊びに出かけることが増えてきた。そんな日々が続く中、妻は主張した。「家族の時間が足りていない」と。

 だから、都内から日帰りでも行ける箱根へ家族旅行に行こうと言うのだった。「箱根」と聞いて、「どんなところなの?」と、子どもたちも興味を持ったようだった。

「行ってみるか」

  

 翌朝、私たちは箱根に向かった。道中、5人乗り2列シートのシトロエン「C4 PICASSO」の後部座席で、子どもたちは楽しそうだった。初めての箱根に胸が膨らんでいるようでもあったし、天井が透けて見えるパノラミックガラスルーフのおかげで、ダイナミックに迫ってくる箱根の山々の景色を楽しんでいるようでもあった。フロントウインドウやピラー周りにもガラスエリアが広く確保され、開放的な気分と車窓を流れる景色を思う存分楽しめる。

 そういえば、このクルマを選んだのは家族でドライブに出かけるのにぴったりだと思ったからだった。箱根の山道を走りながら、仕事の忙しさにかまけていた自分に、はたと思い至った。

    ◇

  

「彫刻の森美術館」に到着した。このクルマで箱根に来るならここに来たかった。彫刻の森美術館には「ピカソ館」がある。「ピカソに乗って、ピカソ館に来ました!」というのもご愛嬌。クルマから降りると、冬の箱根の澄んだ空気に包まれた。不可思議なポーズをとっている女性の像やとても大きな手、人の頭の上に逆さまに人が乗っかっている彫刻など、屋外の展示を康太も彩香も興味津々という様子で眺めながら進み、時折彫刻のポーズを真似して私たちを笑わせた。

  

 ピカソ館は館内の一番奥にあった。絵画のイメージの強いピカソだが、彫刻・陶芸作品も数多く残している。ここでは絵画も含めた319点もの作品を順次公開しており、世界有数のコレクション数を誇るそうだ。ピカソは落ち込んだ時には影のあるものを、幸せな時は見ていてハッピーなものをつくったという。自分の心に素直な人だったのだろう。60歳を過ぎてからは、土をこねたり絵付けをしたり、彫刻と絵画双方の要素がある陶芸にのめり込んだという。子どもの絵日記のように自由な発想で描かれ、伸び伸びとした陶芸作品の数々を見ながら、「つくるの楽しそう」と、康太がつぶやいた。

 人生の多くをフランスで過ごしたピカソ。次は、フランスの作家を訪ねるのはどうかと妻が言ったので、「星の王子さまミュージアム」に向かった。サン=テグジュペリの世界的ベストセラー『星の王子さま』を、妻は彩香に読み聞かせたことがある。彩香は作中に出てくるキツネが好きらしい。「キツネ、出てくるよね」と、妻に何度も確認していた。

  

 フランスの街を再現した美しい王さま通りを抜け、展示ホールに入った。サン=テグジュペリの生涯をたどった後、星の王子さまの世界観を表現した展示空間へ進むと、キツネがいた。彩香がうれしそうに駆け寄った。

「たいせつなものは、目に見えない」

 ふと、『星の王子さま』に出てくるフレーズが浮かんだ。ニコニコしながらキツネのオブジェを眺める彩香の両肩に手を置きながら、「キツネさん、いたねー」と、妻が声をかけた。「何でそんなにキツネが好きなんだ?」という風だった康太も、2人に引き寄せられるようにキツネに歩み寄る。遅れを取るまいと、私も康太の後に続くのだった。

 併設するレストランでは「小惑星(ほし)の火山のグラタンハンバーグ」というような『星の王子さま』にちなんだメニューが用意されている。胃袋の中までたっぷりと『星の王子さま』を堪能した後、大涌谷へ向かった。「黒たまごが有名なのよ」と妻が言うと、「たまごが黒いの?」と、康太が顔をしかめたが、彩香は「おいしい?」と目を輝かせている。今しがたランチを済ませたばかりだというのに、娘の旺盛な食欲がほほ笑ましかった。

  

    ◇

 傾斜のきつい坂道や急カーブが連続する箱根だが、馬力があり、走りの滑らかな「C4 PICASSO」でのドライブは快適だった。途中、天井からのぞく美しい杉木立に「きれいだね」と彩香が目を奪われ、「ロープウェーだ」と康太が声を上げ、そうこうしている内に大涌谷に着いた。

 山の中腹からはもうもうと白煙が上がり、硫黄の匂いが鼻をつく。振り返れば、雪を頂いた富士山が悠然とそびえ立っていた。さっそく黒たまごをみんなで食べる。「普通のゆでたまごとそんなに変わらないね」と言う康太に対し、「おいしい」と、彩香はご満悦だった。

  

 その後、元箱根まで下り、海賊船に乗って芦ノ湖を巡ると、日が落ち始めてきた。ふと、夕日を見に行きたくなった。芦ノ湖の西側を走る芦ノ湖スカイラインには、絶景が広がるビューポイントがいくつかあるという。

 行ったことはなかったが、妻と子どもたちも乗り気だったので、芦ノ湖の南側を周り、芦ノ湖スカイラインを上っていく。ちょうど夕焼けが始まる頃合いに、三国峠に到着した。山裾がダイナミックに左右へ広がり、迫力満点の富士山の左手に駿河湾が広がっている。徐々に空が紅く染め上げられていく。「C4 PICASSO」の赤いボディに夕焼けが溶け込み、美しいグラデーションを作っていた。

  

「きれい」

 駿河湾に沈みゆく夕日を前に、皆が吐息をもらした。そのまま、うっとりと夕日を眺めていた。すると突然、康太が口を開いた。

「また、ドライブしたいね」

 思わず、康太を見た。康太の言葉がうれしかった。昨日まで、私は言い訳をしていたのだった。仕事の忙しさや、テニスに没頭するにつれて家で過ごす時間が減っていった康太、友達と出かけることが増え始めた彩香を言い訳にして、家族で出かけることに消極的になっていた。本当は、もっといろんな景色を見せてやりたかった。長瀞の桜のトンネル道や、雲上を走る乗鞍スカイライン、紅葉が映える磐梯吾妻スカイラインを、自慢の「C4 PICASSO」で、妻や子どもたちを乗せてドライブをしたかったのだ。

  

「また、行こうな」

 康太の頭に手を乗せながら言った。次第に辺りが暗くなり始めた。「せっかく箱根に来たんだから、日帰り温泉に寄って帰りましょうよ」と、妻が言った。子どもたちは先にクルマに乗り込んだ。助手席のドアに手をかけた妻に「ありがとうな」と、声をかけた。「何よ、急に」と振り返った妻の表情はまんざらでもなさそうだった。運転席に乗り込みながら、「星の王子さまミュージアム」で見たキツネが、意外と愛らしかったのを思い出した。エンジンスイッチを押す。心地良いエンジン音を上げて、「C4 PICASSO」が動き出した。

  

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(取材・文/渕本稔 撮影/山田秀隆)

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