楊貴妃死の謎を追う天才・空海――監督、俳優、原作者が語る映画『空海』[PR]

  • 2018年2月28日

  

日本が生んだ史上最大の天才とも称される空海が、唐に学んだ若き日に、長安の街を揺るがす怪事件に挑む――。

夢枕獏が執筆に17年を費やした壮大な伝奇小説を、巨匠チェン・カイコ―が圧倒的スケールで映画化。

原作者、監督、俳優が、日中で話題沸騰中の本作を語る。

大画面で見るべき映画(原作者 夢枕獏)

  

 空海を題材にした小説を書きたいという思いは、20代の頃からありました。僕は、どこか遠くへ出かけて宝を得て、成長して戻ってくる人や物語が大好きなんです。そのルーツを自分の中でたどってみると、おそらく西遊記だろうと思います。空海は、無名の若い僧として唐に渡り、わずか2年で密教の最高位である恵果和尚からすべての教えを受けて帰ってきた。なんともスケールが大きくミステリアスな人物です。

 小説はとても長いので、どう映画にするのかと心配しましたが、空海と白楽天の友情物語に焦点を絞っている。このアレンジは見事ですね。染谷将太さんは、主役として前に出る時も狂言回しとして一歩引く時も、自然な呼吸で演じ分けているように見えます。若いのにうまい俳優さんだと感心しました。阿部寛さんは、あいかわらずの存在感で独特のオーラを放っている。このお二人に出演してもらえたことは、原作者として大変光栄です。

 そしてやっぱり、チェン・カイコー監督はすごい。史実と想像を織り交ぜて、誰も見たことのない長安の街を作り上げてしまった。あれだけの映像を構成する力というのはさすがです。ぜひ多くの人に、大画面で楽しんでほしいと思います。(談)

原作者 夢枕獏:ゆめまくら・ばく/1977年作家デビュー。『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞、『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞、『大江戸釣客伝』で泉鏡花文学賞、舟橋聖一文学賞、吉川英治文学賞。昨年は菊池寛賞、日本ミステリー文学大賞を受賞。

夢のように鮮やかな悲劇(監督:チェン・カイコー)

  

 今回、映像面で特に重視したのは、中国文化の伝統、東洋ならではの色や美意識をきちんと画面に収めるということでした。だから1200年前の長安の街も、可能な限りCGを使わず再現しています。基礎からしっかり建物を建てたので、そうと知らなければセットには見えないでしょう。完全なひとつの街です。

 空海が訪れた時代、繁栄を極めていたこの街の、大輪の鮮やかさと散りゆく寸前の危うさ、その両方を表現することが重要だと思いました。それは、楊貴妃に捧げられた宴のシーンでも同様です。史実ではその後、悲劇が彼女を襲い、唐は衰亡へと向かうことを私たちは知っています。だからこそ宴は盛大で、夢のように美しい必要がありました。ぜひ注目してほしい場面のひとつです。

 夢枕獏さんの小説を最初に読んだ時、人であふれた街中をゆうゆうと歩く2人の若者の、自由さと快活さが印象に残りました。彼らは身も心も実に軽やかで、前に進むことが楽しくて仕方ないように見える。小説では空海のパートナーは橘逸勢ですが、日中合作であるこの映画では、白楽天にその役を任せました。原作ファンは驚いたかもしれませんが、理性の空海と感性の白楽天というのは、謎を追うコンビとしてはなかなかいいバランスだと自負しています。2人の若き日に、本当にこんな冒険があったかもしれないと想像してみるのも楽しいですね。(談)

監督:チェン・カイコー/1952年北京生まれ。84年、長編監督デビュー作『黄色い大地』でロカルノ国際映画祭銀豹賞、93年『さらば、わが愛/覇王別姫』ではアカデミー賞2部門にノミネート、カンヌ国際映画祭パルム・ドール、ゴールデングローブ賞外国語映画賞に輝く。他に『始皇帝暗殺』『キリング・ミー・ソフトリー』『北京ヴァイオリン』など。

人に、時代に愛されて(楊貴妃 役:チャン・ロンロン)

  

 玄宗皇帝の寵愛を一身に受け、時代にも人々にも崇められた楊貴妃を演じるにあたり、チェン・カイコー監督からは「現実味を無くした姿で作品に存在して欲しい」という要望がありました。生身の人間のリアリティーを消しつつ、それでも人々を引きつけた楊貴妃の美しさ、オーラはどのようなものか、それを表現するには何が必要かなどを必死に考え、勉強しました。初の時代劇、初のチェン・カイコー監督作品で、楊貴妃を演じさせていただいたこと、映画作り、役作りにおいて学ばせていただいたことに感謝しています。

 作品の中で最も絢爛豪華な「極楽の宴」のシーンでは、セットができ上がり、スタッフがスタンバイし、共演者もエキストラの皆さんもそろったところに私が入っていきます。そのただならぬスケールのセットで、作品に関わる大勢の人に迎えられたとき「楊貴妃である私がここで動じてはいけない」と背筋が伸びる思いでした。そして「これだけの人と思いと労力に応えなくては」と自分に言い聞かせました。

 共演した阿部寛さんは大好きな俳優さんなので、一緒に作品を作ることができて幸せです。私の横を通り過ぎるだけで、阿倍仲麻呂の気持ちが伝わってくる演技に魅了され、役者としての姿勢も学びたいと思いました。この作品は、登場人物の誰を見るか、どんな視点から見るかで印象が変わってくる映画。いろいろな角度から、何度も楽しんでいただけるとうれしいです。(談)

楊貴妃 役:チャン・ロンロン/1987年4月10日生まれ。主な映画出演作品に『我們全家不太熱』(英語タイトル『We Are Family』2015)、『消失的愛人』(英語タイトル『The Secret』16)、『52Hzのラヴソング』(17)などがある。

  

■出演する染谷将太と阿部寛の対談はこちら

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