パパって楽しい

登板日だったため、すぐには病院に向かえず DeNA井納翔一選手の慌ただしい出産日

  • 2018年3月29日

「今一番欲しいのはベストファーザー賞」と話す、横浜DeNAベイスターズの井納選手。「自分の成績次第では、野球の賞を取れる可能性はありますけど、ベストファーザー賞は取ろうと思って取れるものではないですからね(笑)」

 横浜DeNAベイスターズの井納翔一選手は、2月に行われた沖縄でのキャンプ中も、現地の園児たちが先生と一緒に練習の見学にくると思わず手を振っちゃうほどの大の子ども好き。「2016年に息子が生まれてからは、子ども好きの度合いがさらに増した気がしています」と笑顔で話す井納選手に、お子さんについてお話を伺いました。

    ◇

 息子が生まれる前から、妻は僕が家を出るときには必ずお見送りをしてくれるんですが、今では妻の腕の中の息子も一緒に「いってらっしゃい」と見送ってくれるようになりました。まだ言葉はしゃべれませんが、最近は手を振ってくれる。そんな毎日がうれしいですし、幸せです。

 息子が生まれたのは2016年の9月6日。その日は、偶然にも僕の登板日でした。試合前のミーティング後に出産の知らせを聞き、もういてもたってもいられない気持ちでしたが、まずはマウンドでしっかり仕事をしないといけない。とにかく集中して、落ち着いて投げました。

 結果は6-1でチームの勝利。完投勝利を挙げることができ、ヒーローインタビュー後、シャワーも浴びずに急いで病院に向かいました。着いたときには息子は眠っていましたが、横にウィニングボールとチームのマスコットのぬいぐるみを置いて写真を撮りました。

 本当、勝ててよかったです。実はその日の相手は、対戦成績があまり良くなかった東京ヤクルトスワローズ。もし負けていたら、生まれてきた日の試合結果は内緒にしなきゃいけなくなるところでした(笑)。

 先発で投げる日に子どもが生まれるチャンスって、実はそうないことなんですよ。野手だとレギュラーならシーズン中はずっと試合に出られますけど、先発はローテーション次第なので。ラッキーでした。

息子にどうしても野球をやらせようとは思わない

 息子とは、父親というより友達同士のような感覚で遊んでいます。「おかあさんといっしょ」の“ブンバ・ボーン!体操”をやったり、子どもの言葉をそのまままねして返してみたり。すごく元気な子で、家にあるバットやグローブを持って、ブンブンすることもあるんですよ。

 とはいえ、将来絶対野球をやらせようという思いはありません。自分のやりたいことは自分で選んでもらいたいから。それで、自分が一度決めた道を貫いてほしいんです。

 僕も父親からそういう風に育てられました。一人っ子だったから、他の子たちと触れ合って成長してほしいという父の願いで小1のときに野球を始めたんですけど、それまでは水泳も習っていたんです。どちらかを選ぶように言われて、僕は野球を選びました。

 選んだ理由は野球の方が好きだったから……ではなくて、ちょうどその時期に水泳で中耳炎になっていたからなんですけどね。当時はどちらが好きも嫌いもなかったので、そんな理由で決めました。

 ただ、水泳の経験は野球でも生きました。体づくりの基礎が水泳でできていたおかげで、筋肉があるぶん他の子よりも最初から遠くに投げられたから楽しかったんです。たぶん、それでどんどん野球が好きになって、今日まで続けてこられたんだと思います。

 せっかく大好きな野球を仕事にできたので、お父さんが野球選手だということを息子にも早くわかってもらいたいですね。妻が言うには、今の時点でもなんとなくテレビ中継で映っている僕を認識してくれているようなんですが、息子がもっとしっかり父親の仕事と認識できる年齢になるまで一軍でプレーするのが目標です。

 だから、今シーズンもしっかりと先発ローテーションに入れるようにしないと。妻からも、「野球第一で」と言われています。家にいるときは子どものことをしっかりみますけど、外にいるときは安心して妻に任せて、僕は僕の仕事をする。子どもにも、かっこいいところを見せたいですからね。

 僕が野球をやっている姿を息子の記憶に残せるように、一日一日を大切に、できる限り長く一軍で活躍できるようにがんばります。

(聞き手・渡部麻衣子)

◆井納翔一(いのう・しょういち)1986年5月1日生まれ。プロ野球選手。横浜DeNAベイスターズ所属。

(撮影=三浦由子)

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