男の服飾モノ語り 山本晃弘

クリエーターや自転車通勤者が選ぶ「ギアスーツ」って何?

  • 文 山本晃弘
  • 2016年12月22日

(写真1)ジャケット5万2000円、パンツ2万6000円/ともにザ・ノース・フェイス(ザ・ノース・フェイス スタンダード 03-5464-2831)

写真:<strong>(写真2)</strong>ジャケット3万2000円、パンツ2万円/ともにデサント ポーズ(デザント ブラン代官山 03-6416-5989) (写真2)ジャケット3万2000円、パンツ2万円/ともにデサント ポーズ(デザント ブラン代官山 03-6416-5989)

写真:<strong>(写真3)</strong>ジャケット3万7000円、パンツ2万5000円/ともにアイスブレーカー(ゴールドウイン カスタマーサービスセンター 0120-307-560) (写真3)ジャケット3万7000円、パンツ2万5000円/ともにアイスブレーカー(ゴールドウイン カスタマーサービスセンター 0120-307-560)

写真:<strong>(写真4)</strong>ジャケット4万円、パンツ1万6000円/ともにアディダス(アディダスグループお客様窓口 0570-033-033) (写真4)ジャケット4万円、パンツ1万6000円/ともにアディダス(アディダスグループお客様窓口 0570-033-033)

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 ここ数年、「クラシック回帰」がキーワードと言われつづけてきたスーツに、まったく異なった潮流が生まれている。ジャケットとパンツ。あくまでも形はスーツでありながら、防風、透湿(とうしつ)、防シワ、撥水(はっすい)といった高い機能を有する「ギアスーツ」と呼ばれる新しいビジネスウェアである。

 最初にこういったウェアを採り入れたのは、建築家、グラフィックデザイナー、ITプログラマーといったクリエーター的な職種のビジネスマン。デスクワークで着用しているときの快適さは、カジュアルウェアに負けず、クライアントとの打ち合わせで着用すると、カジュアルウェアよりもきちんとした雰囲気になる。そんなところが、クリエーターたちが「ギアスーツ」を選んだ理由である。

 次に、昨今増えてきた自転車通勤のビジネスマンにも「ギアスーツ」を愛用する人が多い。彼らが選んだ理由は、このウェアが持っているタフさにあるに違いない。先日、ある百貨店で「ギアスーツ」に関するトークイベントを行ったときに、以下のような話をした。「スーパー120の生地だから、いいスーツです。こう勧められて購入したスーツ、自転車通勤で着用していると破れてしまいます」。ビジネススーツを購入するときに聞く、スーパー120あるいはスーパー140というのは、糸の細さを表している。数字が大きいほど細い糸を示しているので、こういった細い糸で織ったスーツは一般的にしなやかである。ただ、それがすべてのビジネスマンにとって「いいスーツ」であるかどうかは、また別の問題。自転車通勤のビジネスマンにとっては、「ギアスーツ」のタフさこそが選ぶべき理由になるというわけだ。

 ビジネスウェアのブランドではなく、多くのスポーツウェアのブランドも「ギアスーツ」を提案。アスリートのために開発した素材を使い、高いスペックの機能性を競っている。例えばザ・ノース・フェイス(写真1)は機能素材「ウィンドストッパー」を使用し、防風と透湿の性能を備える。短めの着丈でコンパクトなバランスにしたデザインが、今っぽさを感じさせる。

 デサント ポーズ(写真2)が提案する「ギアスーツ」は、伸縮性と撥水性に加えて、ジャケットとパンツがともにパッカブルになる(折りたたんでコンパクトに包装できる)優れモノ。コンパクトに収まるので、旅先に持って行くのもいいだろう。

 ゴールドウインの「アイスブレーカー」(写真3)は、化学繊維を活用するほかのスポーツブランドとは一線を画し、天然素材であるメリノウールの温度調整や消臭効果などの特性を生かしている。そのうえで、ディテールにはアウトドア用のウェアで培った機能性を付加。

 ネクタイを合わせるとカッチリしたイメージになるアディダス(写真4)の「ギアスーツ」は、イセタンメンズとの共同開発。スポーツウェアに用いられる高機能ニットの採用で、伸縮性に富み、シワになりにくく、さらには速乾性と通気性も併せ持つ逸品。アディダスおなじみのスリーストライプが袖にうっすらと入り、デザインのアクセントになっている。

 ファッション業界は、いまちょうど、きたる2017年春夏の展示会の最中。来シーズンの商品を見ると、ビジネスウェアのブランドからも、スポーツブランドからも、さらにはカジュアルウェアのブランドからも「ギアスーツ」の提案が増えている。つまり、この新潮流は、クリエーターでも自転車通勤者でもない、新しいユーザーにまで広がる大きなトレンドになると見込まれているということである。用途は、ビジネスだけとは限らない。快適な着心地を重視したいトラベルウェアとして、ちょっとモードな雰囲気でまとめたい週末ウェアとして。その可能性は、大きく広がっている。

※撮影/高木将也(モデル)、スタイリング/櫻井賢之
※掲載した商品は、すべて税別価格。ジャケットとパンツ以外のウェア、小物の価格は含みません。

PROFILE

山本晃弘(やまもと・てるひろ)

「アエラスタイルマガジン」(朝日新聞出版)編集長。男性ファッション誌「MEN’S CLUB」や「GQ JAPAN」などの編集を手がけた後、2008年に朝日新聞出版の設立に参画。季刊誌「アエラスタイルマガジン」を創刊し、ビジネスマンに着こなしを提案。同時に、さまざまなメディアで展開するファッション企画の制作を手掛けている。

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2016冬号 Vol.33

「スーツの着こなし」と「ニュースな視点」が満載!
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「一般のビジネスマンにファッションの楽しさを改めて知ってもらいたい」―― そんな思いの下、AERAの別冊として、2008年11月に季刊として創刊しました。 ハイクオリティなビジュアルと、アエラ別冊ならではの知的な読み物が共存した誌面は、 ビジネスマン読者の共感を呼んでいます。

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