ニットデザイナーのニール・ラグズィエルミラノの主要鉄道駅のひとつ「ガリバルディ駅」の裏手に広がる下町イゾラ地区。広い線路と壁に遮られ、隔絶された地域であったため、「イゾラ(島)」と呼ばれるようになった。
現在は再開発がスタートし、建設中の高層マンションが並び始めたが、市の中心地では消えゆく運命にある金物屋、靴修理職人、木工屋なども残っている。広場では子供たちがサッカーに興じていて、ファッションの街・ミラノのイメージとはかけ離れた、庶民的な下町の風景の残る地域だ。
そのイゾラに点在するのが、デザイナーのアトリエ工房とショップを兼ねたアトリエ・ブティック。デザイナーといっても、ミラノコレクションを中心に展開するファッション界とは全く異なるスタンスでのクリエーションを続ける、一癖ある魅力的な商品を創り出す面々。彼らに共通するのは、ものづくりの過程へのこだわりだ。
ニットデザイナーの「ニール・ラグズィエル」は、今年2月、ミラノのおしゃれゾーン、ブレラ地区からイゾラに移転してきた。「店をオープンした20年前と比べて、ブレラ地区は観光客が多くなった。それに対して、イゾラに通う人々はものづくりに興味を持ち、製品の背景にあるものを理解してくれる」と移転の理由を語る。
併設工房で、独特な編み地とカラーリングのオリジナルニット地を編み、裁断、縫製、仕上げまで行う。商品はすべて一点もの。
「ギ・ラロッシュでのニットデザインを皮切りに、ニット一筋」というニールのもとには、服の試作や、糸の出来栄えの評価の依頼が国内のさまざまなニット用糸のメーカーから寄せられるほど、ニットに関する知識と経験が豊富。彼のファンタジーを表現した一点もののニットのファンは、世界中にいる。
◇
サラ・ロッタ・ロリアとパオラ・ペッツァがデザインする、子供服とレディスを扱う「ラパ・デザイン」は、6年前にオープン。
店内の工房スペースでデザイン、型紙製作とアップリケや刺繍の工程を行っている。レディスは毎シーズン買う人もいるという独特なフォルムのパンツが定番アイテム。上質な麻やコットンなど天然素材中心の、ゆったりとした大人のシックな日常着だ。子供服も上質な素材にアップリケがついた、カジュアルシックなイメージ。「めまぐるしく変わる流行はどこ吹く風」といった風情の個性派マダムがショッピングしている。
◇
「私は“デザイナー”ではなく“職人”」と断言するモニカ・カスティリオーニは、ジュエリー“職人”。イゾラとニューヨークを行き来し、写真やビデオアートも手掛ける。 店内の工房には蝋型や鋳造後研磨を待つジュエリーが所狭しと並んでいる。いつも常連が集い、カフェを飲みおしゃべりしながらショッピングしている。
モニカは、30年前、人の肌によって色や輝きを変えるブロンズという素材に魅せられて以来、主にブロンズのジュエリーを作り続けている。どことなくウィットを感じさせる形の、彫刻のような指輪やネックレスは、一目で「モニカの作品」だとわかる個性的なフォルムだ。ちなみにモニカの父は建築・工業デザイナーのアキッレ・カスティリオーニ。形への好奇心やウィットは父親ゆずりかもしれない。
個性的なデザインと職人技が融合した、質の高いハンドメイドを提供するイゾラのアトリエ・ブティックには、「私だけの私らしい一点」を求める個性ある人々が集う。モンテナポレオーネ通りのブランドファッションとはまた一味違う、イタリア式インテリおしゃれを探しに、イゾラ散策にでかけてみては?
子どもから大人まで楽しくスイーツ作り!電源不要のローリングアイスボール
蒸し暑い夏を乗り切るためのヒット商品をセレクト