閉じると深みのある光沢をたたえる緑一色の傘。開くとストライプ地に青色や黄色、緑のボンボンがカラフルに彩り、差す人の目を楽しませる。外と内の表情が全く違う雨晴兼用傘「1866」は、山梨県西桂町の傘地メーカー「槙田商店」が生み出した。
傘地メーカーとしては珍しく、傘職人を抱える。2年前から本格的に独自で傘を作り始めた。一帯は甲斐絹(かいき)の産地で、織られる布は「郡内織(ぐんないおり)」とも呼ばれる。細い絹糸を高密度に織る技術を生かし、戦後は化繊の傘地が盛んに。槙田では欧州ブランドの受託生産(OEM)をしてきたが、アジアとの価格競争にさらされ、そこへリーマン・ショック。受注が落ち込んだ。
「自分たちの名前で売れる商品がなければ」。入社したての槙田洋一常務(33)のかけ声が転機になった。
強みは1万本以上の縦糸を操る電子ジャカード織機だ。複雑な模様を自在に織る技術で服地も手がけ、パリ・コレクションの参加ブランドからも発注を受けている。
服地を傘に生かしたいが、防水性に欠ける。そこで出合ったのが「蛙(かわず)張り」。日傘に多く用いられる技法で、内と外に布を張る。外側は高密度のシャンブレー地に。先染め糸で織る郡内織の伝統が最も生かされた布だ。内側は服地の技術で、刺繍(ししゅう)と見まがう模様やボンボンを織りで表現した。伝統と技術を融合させた傘のブランド名は、自社の創業年からとった。
熟練の職人でも、1本作るのに通常の傘の3倍の時間がかかる。価格は3万3600円(税込み)。「売れるのか」と不安の声もあったが、6月に東京・新宿で開いた個展では、2週間で8本売れた。手応えはある。「製品を通じて産地の魅力を直接訴えかけていきたい」(帯金真弓)
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