「曲学阿世(きょくがくあせい)」といいます。もともとは中国の『史記』に出てくる言葉です。世に阿(おもね)って、真理を曲げること。昔、固生(こせい)という老学者がいました。若い学者たちは皆、固生が煙たくて仕方がありません。その中に孫弘(そんこう)という学者がいて、徹底的に固生に反論しました。その時、固生は孫弘を諭したのです。「今は世が乱れ、それに阿って学説を曲げる者がいるが、君だけは正論を通すように」と。これ以来、孫弘は考えをあらためて立派な学者になったそうです。
日本で「曲学阿世」が知られるようになったのは、吉田茂が使ってからではないでしょうか。1950年の流行語にもなりました。吉田茂は英国通とばかり思っていたのですが、中国文献にも通じていたのです。
吉田茂というと白足袋でも有名でしたが、もうひとつ注目したいものがあります。それはウイング・カラーのシャツです。洋装の時、まず例外なくそれを着ていました。
ウイング・カラーは読んで字のごとく、襟先が翼のように広がっている襟型のことです。19世紀に流行したクラシックなカラーです。クラシックだからこそ、今でも時としてフォーマル・ウエアとして使われます。つまり今のようなダブル・カラー(折襟)になる以前の襟、そうとも言えるでしょう。
もちろん今の私たちが、常にウイング・カラーのシャツを着る必要はありません。ただ、吉田茂に倣って自分自身のカラー・スタイルを決めておくのも、ひとつの洒落方だと思います。
たとえばロング・ポイント・カラー。たとえばラウンド・カラー。たとえばタブ・カラー。たとえばピンド・カラー……。よく考えてみると、自分の好みに最適な襟型が見つかるはずです。
世に阿ずに、自説を通しましょう。

1944年12月16日生まれ。香川県高松市出身。射手座のB型。よくペンネームかと訊かれるのですが、本名。身長177cm、体重75キロ。服飾評論家。ファッション・エッセイスト。国際服飾学会会員。主にメンズ・ファッションの記事を執筆。1960年代にファッション・デザイナー・小林秀夫の弟子となったのが、メンズ・ファッションの道に入った最初。つまり自分ではファッション・ライターになるつもりはまったくありませんでした。幼少期からおしゃれ好きで、結局この道を選んだということでしょう。趣味が仕事になったようなもので、今もってコレといった趣味がありません。強いて言えば散歩と古本屋巡りでしょうか。今、昔風の「古本屋」が減る傾向にあって淋しいことです。好きな作家はサマセット・モオム。好きな画家はロオトレック。好きな音楽家はショパン。好きな花は薔薇。好きな色はピンク。好きな言葉は「夢」「希望」「愛」。
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