素材にこだわるカフェが服のショップにあり、デザイナーがお菓子をデザインする――。最近、ファッションと食の融合がますます進んでいる。身につけるものも、口に入れるものも、上質な心地よさを求める消費者の志向が背景にある。
東京・丸の内。パリ発のカフェ、ローズベーカリーがあるのはガラス張りのコムデギャルソンの店舗の一角だ。厳選した素材の野菜料理や焼き菓子などが人気で、都内に4店舗ある。
オーナーのジャンシャルル、ローズ・カラリーニ夫妻は元ニットデザイナーで、約20年前に食の世界へ入った。「素材が重要で、人に喜びを与える創造的な仕事という点ではファッションも食も同じ」とジャンシャルル。
丸の内と銀座、ロンドンとソウル、年内オープン予定のニューヨークの5店はコムデギャルソンに併設する。「ブランド付属のカフェではなく、互いに信条を持ち、独自の店づくりをする。本物を求める思いは共通するから、カフェとブティックの間に壁がなくても違和感がない」と言う。
ミナペルホネンのデザイナー皆川明は、和菓子店HIGASHIYA(ヒガシヤ)と共同開発した菓子を9〜10月にヒガシヤのサイトと銀座、青山店で販売。和菓子の技とクリエーターのアイデアを組み合わせる店の年間企画の一環だ。
皆川は銀座に今春オープンした、食と雑貨の店AKOMEYA(アコメヤ)でも、オリジナルの割烹着(かっぽうぎ)や巾着袋をデザインした。「食の地域性は人々のよりどころへの思いを、グローバル性は冒険心をそれぞれかき立てる。デザインを通じて、新しい視点を提案したい」と語る。
アコメヤは「1杯の白いごはんの幸せ」をテーマに、1階は米や調味料、食料品を、2階には食器や調理器具、雑貨、本をそろえる。店を運営するサザビーリーグの新道薫・常務執行役員は「食卓から日常をちょっと豊かにしたい。消費者は衣食住において、表面的なかっこよさよりも、本質的な内面の心地よさを求めていると感じる」。
一方、東京・青山のセレクトショップ、ザ・テイストメイカーズ&コーは6月末、岩手県からソーセージやパテの生産者を招き、店内でイベントを開いた。北舘(きただて)洋一郎・代表取締役は元ファッション誌の編集者。「ファッションは今やライフスタイル。服も食も、モノにまつわる物語を価値として伝え、店を新たなコミュニティーの核にしたい」 「フランスの美しい暮らし」を発信するのはマカロンで人気のラデュレだ。東京や大阪の百貨店に入るサロン・ド・テは家具を本国から取り寄せ、パリさながらの空気が流れる。ハンカチや室内用の香り、化粧品などの雑貨も展開。ダビッド・オルデー社長は「いずれホテルも」と意欲的だ。
衣服と食など複合領域での展開は、ブランドや店の世界観をより強固に伝え、多様な消費者を呼び込む戦略ともいえる。一方、近年のファッション界ではやせすぎモデルが問題となり、自然体の暮らしや環境への配慮をうたうブランドが支持を集める。心身を満たす上質でヘルシーな食への注目は、そうした潮流とも共鳴して見える。(小川雪)
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