「CES 2018」自動翻訳機能は“バベルの塔”を克服できるか?

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 1月9日から12日に米国ラスベガスで開催された世界最大級のホームエレクトロニクス見本市「CES 2018」。メインである家電・エレクトロニクス部門では、今回も日本・韓国そして中国のブランドを中心に、さまざまな新製品がひしめいた。

 すでに日本の家電量販店や通販でもおなじみのスマートスピーカーと、それを支えるAIアシスタント「Googleアシスタント」「Amazon Alexa」「Clova」をどのように統合するか、前回以上に活発に提案されている。

 家電メーカーも自社のAIプラットフォームをベースにしながら、音声認識などのデータを、そうした“AIアシスタント市場の覇者”に依存することにより開発コストの抑制とともに、より拡張性を図ろうとしている。近い将来AIアシスタントはスマートスピーカーを通じて、ユーザー家庭のすべてを記録し把握してゆくだろう。

 AIアシスタントを用いた自動翻訳も一部でみられた。プロトタイプも含め複数のブランドを試したところ、現段階ではショー会場のような雑音の多い場所では、円滑な認識が難しい。実際には、こうした場所で最も需要が見込まれるだけに、さらなる改良を期待したい。いつかは、有名な旧約聖書の「バベルの塔」の悲劇(人間のおごりに怒った神が、単一言語だった人間を、互いに通じない違う言語を持つように変えてしまった)を克服できる日が来るのだろう。

 参考までに、ネット上で配信されているブルートゥース・イヤホン「MARS」のプロモーション・ビデオでは、自動翻訳機能と接続したイヤホンを装着する日本語の女性と、英語の男性が屋台で会話を交わすシーンが収録されている。

 ただし、“バッテリーが切れたら2人はどうするのか”と心配してしまうのは筆者だけだろうか。現代における「神」はネット環境やバッテリーということか。

 そのようなことを考えていたら、会期2日目である10日昼前から約1時間半にわたり、主会場であるコンベンション・センターが停電に見舞われた。家電見本市でブラックアウトとは。前日までの大雨が影響したらしい。神を超越しようとしている人間への「天からの試練」だったのかもしれない。

(文 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA、大矢麻里 Mari OYA/写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA、大矢麻里 Mari OYA)

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    PROFILE

    大矢アキオ(おおや・あきお) Akio Lorenzo OYA

    コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。東京生まれ、国立音大卒(ヴァイオリン専攻)。二玄社『SUPER CAR GRAPHIC』編集記者を経て独立。イタリア・シエナに渡る。雑誌、webに連載多数。日本のさまざまなラジオ番組でコメンテーターとしても活躍中。イタリア在住20年ならではの国際的視点によるライフスタイル、クルマ、デザインに関する語り口には、根強いファンがいる。『Hotするイタリア―イタリアでは30万円で別荘が持てるって?』(二玄社)、『イタリア式クルマ生活術』『カンティーナを巡る冒険旅行』(いずれも光人社)、『イタリア発シアワセの秘密 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)など数々の著書・訳書あり

    大矢麻里

    大矢麻里(おおや・まり) Mari OYA

    イタリアコラムニスト。東京生まれ。短大卒業後、幼稚園教諭、大手総合商社勤務などを経て、1996年にイタリア・トスカーナの古都シエナに移り住む。国立シエナ外国人大学で学び、現地の料理学校で通訳・アシスタントを務めるかたわら執筆活動を開始。NHKラジオテキスト『まいにちイタリア語』をはじめ、イタリア文化や生活関連の連載・執筆多数。 NHK『マイあさラジオ』など、ラジオ番組でもリポーターとして活躍中。著書に『イタリアの小さな工房めぐり』(新潮社)がある。

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