ドイツ流・古典車ショー『テヒノクラシカ2017』

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 4月5~9日にドイツ北西部の都市エッセンで、ヒストリックカー見本市『テヒノクラシカ』が開催された。
 エッセンはデュッセルドルフから電車で約30分。かつては石炭産業で繁栄し、市内のツォールフェライン炭鉱施設跡はユネスコ世界遺産にも登録されている。いっぽう近年は自動車ファン向けイベントの開催地としても存在感を高めてきた。
 『テヒノクラシカ』はパリのレトロモビルと並ぶ欧州最大級のヒストリックカー・ショー。第29回を迎えた今年は、世界30の国と地域から1250の企業・団体、220の愛好家クラブが出展し、5日間の会期中で販売に供された車両数も2700台に及んだ。会場はとてつもなくスケールが大きい。屋外展示スペースも含めた総面積はおよそ12万平方メートルと、東京ドームの2.5倍に相当する。
 また、欧州の主要メーカーが積極的に参加することも特徴の一つだ。 とくにBMWグループ、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン(VW)グループなどの国内勢は、自社ミュージアムが保有する所蔵車を、公認クラブの車などとともに、かなり広いブースを確保して毎年展示している。
 各スタンドでは、「年男」ならぬ「年車」にスポットを当てるのも恒例だ。
 今年BMWグループはフラッグシップ・セダン「7シリーズ」の誕生40周年を祝った。そのうちの1台1992年式750iLは、ドイツ出身のファッションデザイナー、カール・ラガーフェルドが自身で使用するためカスタマイズに参画したものだ。
 その脇には、映画007 『トゥモロー・ネバー・ダイ』の撮影に用いられた1996年式750iLも展示された。劇中では後部座席に横たわるジェームズ・ボンドが、エリクソン製タッチパッドを介して車両を運転するシーンに登場する。
 VWは電気自動車研究の40年を振り返り、ポルシェは928の40周年を祝った。
 いっぽう毎年、会場の通路でハンマー音を響かせ、溶接の火花を散らして実演しているのはシュヴァインフルトにある自動車修理学校の講師たちだ。プロのレストアラーが技術をブラッシュアップするため通う施設で、このレストア実演は名物イベントとなっている。
 かくもエッセン・テヒノクラシカは、さまざまなブランドの歩みを振り返ることができるばかりか、かつレストアの奥の深さまで立体的に学べる、カーエンスージアストのワンダーランドなのである。
(文  大矢麻里 Mari OYA : 写真 大矢麻里 Mari OYA /大矢アキオ Akio Lorenzo OYA)

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    PROFILE

    大矢アキオ(おおや・あきお) Akio Lorenzo OYA

    コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。東京生まれ、国立音大卒(ヴァイオリン専攻)。二玄社『SUPER CAR GRAPHIC』編集記者を経て独立。30歳でイタリア・シエナに渡る。現在、雑誌、webに連載多数。実際の生活者ならではの視点によるライフスタイル、クルマ、デザインに関する語り口には、根強いファンがいる。テレビ、ラジオでも活躍中。『Hotするイタリア―イタリアでは30万円で別荘が持てるって?』(二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』(光人社)、『イタリア発シアワセの秘密 笑って!愛して! トスカーナの平日』(二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、電子書籍iPad/iPhone/iPod touch用『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。

    大矢麻里

    大矢麻里(おおや・まり) Mari OYA

    イタリアコラムニスト。東京生まれ。短大卒業後、幼稚園教諭、大手総合商社勤務などを経て、1996 年にイタリア・トスカーナの古都シエナに移り住む。 国立シエナ外国人大学で学び、現地の料理学校で通訳・アシスタントを務めるかたわら執筆活動を開始。NHKラジオテキスト『まいにちイタリア語』をはじめ、イタリア文化や生活関連の連載・執筆多数。 NHK『マイあさラジオ』など、ラジオ番組でもリポーターとして活躍中。著書に『イタリアの小さな工房めぐり』(新潮社)がある。

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