EV化が主流に、フランクフルト自動車ショー2017を振り返る

写真

 世界主要モーターショーのひとつ、フランクフルト自動車ショーが9月12日、報道関係者に公開された。今回のテーマは「Future now」。主催者発表によると、世界初公開となったものは大小合わせて前回を九つ上回る228にのぼった。
 思えば、フォルクスワーゲンのディーゼルエンジン不正事件が発覚したのは、前回2015年の一般公開期間中であった。それから2年。イギリスやフランスで、将来的にガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する、いわゆる「2040年問題」のきっかけにもなった。今回、主要メーカーが世界初公開したコンセプトカーは、すべてが何らかのEVシステムを用いた電動化車両となった。
 「メルセデス・ベンツ」ブランドなどを擁するダイムラーは、「自動運転」「電動(EV)化」「コネクティビティー」そして「シェアリング社会」を四つの柱に据えることを宣言した。
 BMWも2025年までに25モデルの電動化車両(うち12台は純粋なEV)を投入することを明らかにした。
 BMWのプレミアムEVである「i」シリーズの製品マネジメント「Eモビリティー」のヘッド、ディルク・アルノルト氏は筆者に対して、EV時代のBMWを以下のように話した。
「EVはデザイナーにとってもエンジニアにとっても、自由度が格段に向上する。たとえばエグゾースト・システム、プロペラシャフトを省略できることだけでも、フロアのフラット化が実現できる。コンパクトな動力スペースはそのまま車室に充てられる」
 いっぽうで、完全に衝突を回避できる自動運転車の開発を見据えながら、車体の安全基準は「現在の車と、やや先進的な車をミックスしながら発展してゆく」と現実的な一面も語る。
 ところで米国ではテスラに続き、ファラデー・フューチャーをはじめとする新興EVブランドが続々名乗りをあげている。それに対してアルノルト氏は「新しいプレーヤーは、市場を活性化するうえで、常に歓迎する」とするいっぽうで、「私たち歴史ある自動車メーカーはどうやって車を作るかを知っている」と述べた。その心は?
 その問いにアルノルト氏は「車は高価な買い物。長年顧客に期待されてきたハイレベルで均一のクオリティーを提供する責任がある」と、既存ブランドとしての立場を、自信に満ちた表情で説いた。
 “大西洋をはさんだEVバトルの本格化は2017年であった”将来そのように振り返るのではないかという気がしてきた今回のフランクフルトだった。
(文 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA/写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA 大矢麻里 Mari OYA)

写真をクリックすると、大きな画像が表示されます。環境によっては表示に時間がかかる場合があります。

PROFILE

大矢アキオ(おおや・あきお) Akio Lorenzo OYA

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。東京生まれ、国立音大卒(ヴァイオリン専攻)。二玄社『SUPER CAR GRAPHIC』編集記者を経て独立。イタリア・シエナに渡る。雑誌、webに連載多数。日本のさまざまなラジオ番組でコメンテーターとしても活躍中。イタリア在住20年ならではの国際的視点によるライフスタイル、クルマ、デザインに関する語り口には、根強いファンがいる。『Hotするイタリア―イタリアでは30万円で別荘が持てるって?』(二玄社)、『イタリア式クルマ生活術』『カンティーナを巡る冒険旅行』(いずれも光人社)、『イタリア発シアワセの秘密 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)など数々の著書・訳書あり

大矢麻里

大矢麻里(おおや・まり) Mari OYA

イタリアコラムニスト。東京生まれ。短大卒業後、幼稚園教諭、大手総合商社勤務などを経て、1996年にイタリア・トスカーナの古都シエナに移り住む。 国立シエナ外国人大学で学び、現地の料理学校で通訳・アシスタントを務めるかたわら執筆活動を開始。NHKラジオテキスト『まいにちイタリア語』をはじめ、イタリア文化や生活関連の連載・執筆多数。 NHK『マイあさラジオ』など、ラジオ番組でもリポーターとして活躍中。著書に『イタリアの小さな工房めぐり』(新潮社)がある。

[PR]